大江健三郎の『沖縄ノート』の記述を巡る訴訟と近世以降の沖縄の歴史から考えたこと

ノーベル賞受賞作家・大江健三郎氏の著作『沖縄ノート』にある沖縄・座間味島、渡嘉敷島での住民集団自決の記述を巡って、元守備隊長と遺族らが慰謝料・出版差し止めなどを求める損害賠償裁判を起こしていたが大阪地裁は原告の訴えを退けた。裁判の焦点は『集団自決に日本軍の命令・関与はあったのか?』ということであるが、大阪地裁は軍の『深い関与』があったこ…
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ヴォルフガング・ブランケンブルク『自然な自明性の喪失』の考察:“当たり前(常識)”を共有できない苦悩

統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)は健常者には存在しない心的過程を経験することを意味しているが、精神病理の苦悩の多くは『日常性・自明性からのズレ』によって生まれている。病態水準の重い精神疾患や妄想・興奮に基づく逸脱行動は、多くの場合において、既存社会に適応している人たちの不安や恐怖を高めやすい。そのため、精神保健福祉領域の歴史的活動は『…
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茨城県土浦市の無差別殺傷事件の報道に対する雑感と人生・家族関係に対する行き詰まり感の問題

3月23日に茨城県土浦市のJR常磐線荒川沖駅周辺で8人を殺傷する悲惨な事件が起こりましたが、24歳の容疑者男性の就労状況や趣味娯楽、生活態度、成育歴などに対するメディアバイアス(メディア報道における偏った印象形成)が大きくなっており、事件と加害心理の本質から遠ざかっているように感じます。容疑者男性の趣味であるゲームやオタク的な生活態度が…
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自己暗示的な神経症症状(自律神経失調)と精神的ストレスへの逃避的適応:古典的神経症における疾病利得

『前回の記事』では、『身体的疲労・精神的ストレス・睡眠不足』によって作業効率や仕事能力が低下する神経衰弱を解説しましたが、19世紀の古典的な精神医学では神経衰弱はノイローゼ(neurosis, 神経症)の下位分類に置かれていました。過去に書いた記事で神経症(neurosis)の定義を、『精神的原因による器質的障害を伴わない心身の機能障害…
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Googleのトップページのリニューアル・Amazonの電子書籍リーダー“Kindle”について雑感

Googleの日本語版のトップページがリニューアルされたが、「検索窓だけのシンプルなデザイン」から「ウェブサービスの利用を積極的に勧めるデザイン」への変更というコンセプトを感じる。ポータル志向の“Yahoo!”と検索エンジン重視の“Google”は自ずからウェブデザインのコンセプトが違ってくると思うが、日本のユーザの選好や行動パターンを…
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“道具としての外国語(英語)”の学習とL.S.ヴィゴツキーの内言・外言による言語の発達観

前回の記事の続きになりますが、太田雄三の『英語と日本人』という書籍では、日本人が外国語の日常会話がなかなか出来るようにならない理由として、『一つの言語体系を完全にマスターしようとするような無謀な完全主義欲求(ネイティブであっても完全に自国語の言語体系を完全にマスターしている人などはいない)』について言及されています。 これは、子ど…
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サブプライムローン問題から続くアメリカの金融不安と『円高ドル安・株安・物価上昇』の同時進行

日本の政治がポスト福井俊彦の日銀総裁人事を巡る政局で混乱している中、世界経済が大きな変化を見せ、アメリカドルの暴落、日本円の急騰が続いている。17日の外国為替相場で遂に円(対ドル)が100円を大幅に割り込み、12年7カ月ぶりとなる1ドル=95円台の円高・ドル安水準となった。日本とアメリカでの相乗的な景気悪化が起こり、世界の投機筋からドル…
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漫画やゲームに登場する“創作上の人物”に対する表現規制の問題:『表現の自由』と『メディア学習』

あらゆる情報(コンテンツ)を容易に複製・頒布・共有できるインターネットの普及に伴って、音楽や映像作品などの『著作権の問題』が取り上げられる機会が増えましたが、ここ最近は、インターネットを含む各種メディアを介在した『有害情報の規制』に関連する政治的議論が活発になっているようです。有害情報とは何かを一義的に定義することは出来ませんが、多くの…
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中世ヨーロッパの精神的支柱となったキリスト教とスコラ哲学:精神(観念)の実在性と内面(欲求)の自由

古代ヨーロッパ世界の政治秩序は、皇帝(アウグストゥス)を頂点とするローマ帝国によって形成されていましたが、大波のようなゲルマン民族の侵攻とローマ市民としてのアイデンティティの崩壊、農業経済の基盤崩壊によってローマ帝国は瓦解します。ユリウス・カエサルの登場以来、蛮族の侵入を阻止してきた安全保障の防衛ラインを踏み破られた永遠の都ローマは、無…
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『勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド』の書評:経済的・精神的自立と個人の幸福追求

本書は2006年1月に勝間和代氏が書いた『インディでいこう!』のリメイク版ということですが、基本的には、これから就職活動をしようという女性に向けて『職業キャリア(人生設計)の大まかなビジョン』を提示した自己啓発的な内容になっています。前書きでも、20~30代の女性向けに書いた本とされており、雇用情勢や将来保障が不安定になる中でインディペ…
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中年期以降の自己アイデンティティの再体制化:“性的な自我意識”と結びついた承認欲求・見捨てられ不安

どの年代でもどちらかが別れたくない場合の『別れ話』では男女間トラブルがつきものだが、年齢差の大きなカップルの場合には年齢が上の相手のほうが心情的に弱い立場に追い込まれやすい。莫大な財産を所有しているとか常に複数の愛人がいるとか極めて特殊な事例を除いて、数十歳も年齢が上の人物のほうが『次の恋愛機会の獲得』という面で不利であり、『対象喪失の…
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50歳代の校長(教師)と生徒(教え子)の交際とその破滅的な訣別:中年期の危機に起こる男女間のトラブル

埼玉県川口市立川口高校で、50歳代後半の校長が、交際していた元教え子の女性会社員(20歳代)に執拗に復縁を迫り、『脅迫的な文言のメール・手紙』を繰り返し送付して逮捕された。メール(手紙)だけではなく電話でも女性の交際相手に危害を加えるという内容の脅迫を行っているが、校長の学校での評判は、生徒との恋愛などをイメージさせない真面目な人物、職…
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近代的な結婚観に基づく“目的論的な家族像”の衰退と個人の自由選択に任された“結婚・出産・育児”の問題

女性の妊娠出産や家庭での育児を巡る問題は、『近代的な家族像・結婚観の変化』や『ジェンダー(社会的性差)の変化』と深く関係しています。ある人にとっては出産育児の決断はそれほど悩むべき問題ではなく、むしろ自分が父親・母親となって子どもを持つことを『人生の主要な目的』だと考えています。ある人にとっては出産育児の決定は深刻な悩むべき問題となり、…
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乳幼児期の言語発達(ことばの発達)と“話し言葉・書き言葉”の学習プロセスの違い

『英語と日本人の書評』では話し言葉と書き言葉の学習方法の違いについて述べましたが、実際に、子どもが『母語としての言語』を覚えていく場合にも話し言葉と書き言葉の学習は異なる特徴を持っています。『乳幼児期の言語発達』では、生後2ヶ月頃から単純な発声である『喃語(なんご・赤ちゃんの単純な発声)』を出し始め、生後8ヶ月頃になると喃語がやや高度化…
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家庭生活(夫婦・育児)と仕事の両立に関係する多重役割の受容とポジティブ・スピルオーバー

現代的な核家族における母親の育児不安について、過去の記事でワーク・ライフバランスの観点から書きました。一般的に、育児不安を構成する要素は以下の6点に集約されますが、子どもを持つDEWKS(double employed with kids)の世帯では特に『母親・父親の多重役割(multiple role)の受容』の問題が立ち上がってくる…
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日本の将棋の起源とケガレ思想による将棋のマネーゲーム化:『逆説の日本史8』の雑感

将棋(しょうぎ)とオセロというのは日本で最もポピュラーなボードゲーム(盤上遊戯)であり、子ども時代に誰でも一度は友人と勝負したことがあるゲームだと思いますが、将棋は特に古来から日本にある伝統のゲームという一般認識が持たれています。日本の将棋、中国の象棋(シャンチー)、西欧のチェスを合わせて世界三大将棋といいますが、それらの起源を遡ると古…
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森博嗣『Θは遊んでくれたよ』『τになるまで待って』の書評

森博嗣の小説を読んだのは、真賀田四季シリーズの『四季 春・夏・秋・冬』を読んで以来でしたが、『φ(ファイ)は壊れたね』から続くGシリーズはS&MシリーズとVシリーズの続編のような形式になっています。お嬢様の大学院生・西之園萌絵と工学部助教授の犀川創平を主役とするS&Mシリーズが『すべてがFになる』で始まったのが、Amazonを見てみると…
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