Googleのトップページのリニューアル・Amazonの電子書籍リーダー“Kindle”について雑感

Googleの日本語版のトップページがリニューアルされたが、「検索窓だけのシンプルなデザイン」から「ウェブサービスの利用を積極的に勧めるデザイン」への変更というコンセプトを感じる。ポータル志向の“Yahoo!”と検索エンジン重視の“Google”は自ずからウェブデザインのコンセプトが違ってくると思うが、日本のユーザの選好や行動パターンを考えると、検索窓と小さなリンクだけを配したGoogleのトップページは自由度が高すぎて視覚的に殺風景過ぎるという問題がある。

元々、GoogleはYahoo!よりもウェブやIT技術に詳しくネット利用歴の長いユーザに人気のあった検索サービスだったが、ここ数年でGoogleの知名度は上がりキャズムを超えて急速なスピードで人口に膾炙した。しかし、一般的には検索エンジン以外に何を利用すれば良いのか分からないというユーザも多く、GmailやYouTube(動画共有サイト)以外のウェブサービスの存在を知っている人も少ないのではないかと思う。「ニュース・オークション・ショッピング・天気・ファイナンス・掲示板・求人情報」などすべてのコンテンツをパッケージしたYahoo!JAPANのトップページと比較すると、Googleのトップページは極めてシンプルで、一つのページに詰め込む情報量を最小限度に押さえ込んでいる。

「自分に不要な情報」が一切表示されていないというのがGoogleの良さであり、「必要な情報」をその都度検索するというのがGoogleの利用法なのだが、ネット初心者やポータルサイトをメインに使っているユーザだと、初めから利用できるサービスやコンテンツを表示していないということがデメリット(不親切さ・分かりにくさ・拒絶感)と受け取られる恐れがある。今回のGoogleのリニューアルは明らかに、今までGoogleのサービスを使ってきたユーザに向けたものではなく、これからGoogleのサービスを使ってみたいと思うユーザに向けたものである。更にいえば、普段からGoogleの検索やウェブサービスを使っているユーザは、Googleのトップページにアクセスする機会自体が今では殆ど無くなっているのではないかと思う。

私自身は、日常の検索ではGoogleのトップからではなく、ブラウザ(Firefox, IE7.0)の上部にある検索窓かFirefoxのアドオン「Context Search」を使った文中検索を行っているので、トップページにアクセスすることはまずない。ブラウザを立ち上げた時に表示するホームページには、GoogleではなくiGoogleかYahoo!ニュース、Biglobeニュースを設定していることが多いが、それはウェブにアクセスした時点で一日の大まかなニュースをチェックしたいからである。ニュース提供のコンテンツという意味では、Biglobeが少し前にスタートさせた「気持玉一覧」は結構面白いサービスだと思うし、ユーザ参加型の新聞社サイトを一気に盛り上げるヒントをBiglobeが示唆しているように感じた。

この『気持玉』というのは、各ニュースにユーザが『自分の気持ちの顔アイコン(喜怒哀楽)』と『コメント(意見)』をつけられるというシンプルなサービスなのだが、最新トピックスで自分の感情(感覚)とは異なる顔マークがついているとついクリックして見たくなることがあり、一般のニュースサイトにあるトラックバックやコメントよりも個人的には見る頻度が高い。Biglobeニュースは大手のメディアサイトと比較すると十分なアクセスがあるとは言えないので、各ニュースについているコメント数はそれほど多くない(数個~数十個)のだが、このユーザ評価機能を、例えば先日オープンした『新s(あらたにす)』のニュース欄や社説欄などにつければアクセス数やコメント数は飛躍的にアップするのではないかと予測される。

「新s(あらたにす)」は一日のニュースを効率的に知るという目的に絞れば便利なサイトだが、「サイトへのユーザ参加」を促進する付加機能が無いのでどうしても「読みたいと思う優先順位」で他のニュースサイトやコミュニティよりも遅れを取りやすくなる。ユーザのコメントを無制限に受け付けるとサイト管理の手間・コストがかかって大変というのも十分理解できるのだが、「気持玉のような感情表現のアイコン」をつけるだけでもサイトの雰囲気が全く変わってくるし、ユーザ参加型のニュースサイトという新たなコンセプトを強調することができる。同一IPでの顔アイコンのクリックを禁止すれば各社説への大まかな賛否が分かって面白くなってくるし、ユーザに固有のIDを割り振ってコメントできるようにすれば、一定の発言責任を担保してmixiニュースのようなコミュニティの雰囲気を醸成することも出来るかもしれない。

気持玉のコメントは文字数制限が厳しく、個人の主張や意見を十分に論理的に展開することは出来ないが、それだけに率直な感情や印象に基づくニュースへの意見(評価)を聴くことができ、(理屈によって補強されていない)世論の大勢や雰囲気を感じることが出来るという魅力がある。また、あまり文字数を長く入力できるようにすると、反論の応酬や激しい議論で場が荒れやすくなるので、マスメディア的な位置づけのサイトでは100文字以下程度の文字数制限があったほうがサイトの管理がしやすくなるというメリットもある。

実際にはBiglobeニュースだけではなくて、Yahoo!ニュースにも同じような『みんなの感想』という機能があるのだが、こちらは賛否が分かりやすい『顔アイコン(感情表現)』ではなくて肯定的な選択肢から選ぶ『レーダーチャート(考えさせられる・役に立つ・興味深い・誰かに教えたい・びっくりした)』なので、顔アイコンよりも率直な感想が見えにくい傾向があるだろう。
Googleのトップページのリニューアルの話題から逸れたが、新デザインでは『おすすめ・いろいろな検索・便利なツール・もっと楽しく』のメニューが下部に配置されており、Googleがどんなウェブサービスを提供しているのかが一目で分かるようになっている。Googleのヘビーユーザがトップページにアクセスして検索する頻度の低下を考えると、今回のデザイン変更は新規ユーザを集めるための合理的な判断だと言えるが、YouTubeを二つのメニュー(おすすめ・もっと楽しく)に入れるならば、どちらか一つにポータル的な位置づけとなるiGoogleのリンクを入れたほうが良かったのではないかと思う。

インターネット全体の利便性の向上という点では複数のサービスに一つのIDでログインできる「OpenID」にも関心がありますが、Yahoo!やmixi、ライブドア、はてななどでOpenIDの普及が急速に進んでいるようですね。OpenIDにはセキュリティ上の懸念もあるようですが、一番最初にOpenIDを取得するサービスにしか登録している情報は渡らないようですので、各サービスの共通IDとして使う「最初のID」をどのサービスで取得するのかが重要なようです。匿名で登録している人の場合には余り心配要らないと思いますし、一つ一つのサービスで何度も認証するというのは手間がかかりますので、OpenIDが利用できるサービスが増えたほうが利便性は格段に上がるでしょう。


■Amazonが発売した電子書籍リーダー“Kindle”についての雑感

IT関連のニュースでは、「Amazon「Kindle」大人気、供給不足でCEOが謝罪」というものもありましたが、今まで売れないと言われていた電子書籍リーダーの売れ行きが好調というのは興味深いです。個人的には本は「デジタル情報」よりも「紙の本」で読みたいほうですが、その最大の理由は、紙の本のほうが大量の文章を読んでいても疲れないからですが、「紙に書かれたテキスト」がデバイス(周辺機器)に依存しないというのも大きいと思います。「文字の読みやすさ」という点では、昼の太陽光の下ではノートパソコンの画面でもかなり見にくいし、携帯の液晶ディスプレイも光が強いと非常に見にくいという欠点があります。

紙の書籍は、何処にでも簡単に持ち運べて機械の故障やバッテリー切れで読めないということがないというのが魅力なのですが、いつもAmazonで書籍を購入しているようなユーザだとAmazonが発売したということで「Kindle」に興味を持つのかもしれません。後、電子書籍リーダーの魅力として考えられるのは、「その場ですぐに書籍をダウンロードできる(本が届くまで待たなくて良い・24時間いつでもDL可能)」、「一冊の単価が紙の本よりも安いこと」、「大量の本を電子書籍リーダーのHDDやSDメモリカードに保存できる」が考えられますが、「Kindle Storeで買った書籍であれば検索可能」というのも結構大きな利点かもしれません。

紙の本は付箋紙を貼ったりして書いてある情報をある程度管理できますが、大量の本を読んでいるとどこにどんな内容が書いてあったのかをすべて記憶することは出来ませんから、キーワード検索できるのは助かります。とはいえ、Kindleそのものの価格(399ドル)が比較的高く、紙の本ならではの利便性もあるので、新しいガジェット(デジタル機器)が好きな読書家以外のユーザに何処まで需要があるのかは微妙なところがありますね。音楽コンテンツの場合にはCDにせよデジタルプレイヤーやPCにせよ必ず何らかのデバイスが必要なので、音楽をダウンロードする「iPod」と本(情報)をダウンロードする「Kindle」には需要の絶対値にある程度の開きがあるかもしれませんが、「大量の本」を一つのメディア・機器に保存して検索できるというのは今までにない読書スタイルの可能性をイメージさせるものではあります。

「モノとしての本」よりも「情報・内容そのもの」に関心がある場合、内容だけをさらっと読み流したい場合などには、一冊一冊を安く買える電子書籍リーダーのほうがコストメリットに優れている部分もあるでしょう。アメリカでは購入まで「6週間待ちの状態」が続いているということですが、日本のAmazonで「Kindle」を検索してみたところ、まだKindleの商品は表示されず購入することは出来ないようです。






■関連URI
ジョン・バッテル『ザ・サーチ グーグルが世界を変えた』の書評

ブラウザ化するパソコンとモバイル化(携帯化)する社会、迷走するMicrosoftのウェブ戦略

Googleが独走する検索エンジン市場と群衆の力(表現欲求)を梃子にするWeb2.0のビジネスモデル

Amazonが開始した年会費3,900円の“Amazon プライム”とリアルの書店との使い勝手の違い

■書籍紹介
ウェブを変える10の破壊的トレンド

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのトラックバック