匿名掲示板・SNS・ブログといったメディアの特徴と差異:ネットの匿名性・依存性・ストレス

先日書いた記事の事柄を踏まえながら、ネットのメディア関連の考察とネット利用のメンタルヘルスの雑記を付け足しておきます。
書き終えてみると余り一貫性のない雑駁とした文章になりました。
冒頭で、匿名掲示板とSNSのコミュニケーションや利用法の違いを提示し、インターネットの『匿名性・依存性・コミュニケーション特性・テクノストレス』などについて色々と思いを巡らしてみました。

まず、前回のmixiと2ちゃんねるの話題について、(個人的な印象に基づくものですが)双方の『コミュニケーションを規定するインターフェイス』『情報発信スタイルを規定するアイデンティティ特性』を前提としてその違いを考えると以下のような要素に還元できるのではないかと思います。


2ちゃんねるとmixiの利用者の特徴とコミュニケーションの差異


2ちゃんねるmixi
匿名的(名無し)な参加者顕名的(固定ID)な参加者
固定HN以外のアイデンティティ(連続性ある自己同一性)無しID・実名・仮名によるアイデンティティ(連続性ある自己同一性)有り
匿名による発言の自由性と乱雑性発信拠点(固有ID)と人間関係による発言の自由度の抑制と有責性
話題性のある情報を中心に人が集まる人を媒介にして人が集まる
個別的人間関係はほぼ皆無個別的人間関係は深い
人間関係はドライで発言内容のインパクトや価値が問われやすい人間関係はウェットで発言者との関係性や共感性が重視される
個人の行動をトレースできない(暫時的IDはあるが可変的)個人の行動をある程度トレースできる(ログイン時間や足跡機能など)
ネタ的なコミュニケーション中心ベタなコミュニケーション中心
ネタは多いが、不正や欺瞞に敏感ベタ(定型的)だが、形式倫理より友達との共感連帯を重視
板(スレッド)やトピックによる棲み分けマイミク調整やコミュニティによる棲み分け



上記の表にした『2ちゃんねるとmixiの利用者の特徴とコミュニケーションの差異』を参照しながら、インターネットのコミュニティとコミュニケーションの特性や情報化社会の問題点などを思いつくままに考えてみたいと思います。

■匿名的コミュニケーションの魅力と問題点

2chに限らず、ネットの掲示板(BBS)やフォーラム、メーリングリストなどのユーザ参加型コンテンツでは、『インターネットの匿名性』が自己の発言に対する責任意識や他者の権利に対する配慮を麻痺させやすいという指摘があります。
しかし、法的に問題のある名誉毀損や犯罪予告などの発言を行った場合に、警察などから問い合わせがあればサイト管理者やISP(プロバイダ)は、IP情報や接続時間等の個人情報提出の義務がありますから、匿名性といっても不完全なものに過ぎないという認識は必要でしょう。

インターネットカフェから書き込めば匿名性を維持できるではないかと数年前までは言われていましたが、現在では、ネットカフェでも通常の利用をすれば匿名を維持することは難しいと思います。
インターネットカフェは数えるくらいしか利用したことがないのですが、私が訪れたお店では免許証等の身分証明書の提示を求められました。おそらく、今では何処のお店でも身分証を提示してからでないと、ネットを利用できないのではないかと思います。

基本的にネットにおける『匿名性』とは、法規範や他者の権利を守る範囲内において有効な匿名性なのだと思いますし、そういった『不完全な匿名性への意識と発言への責任』を高めることでネット社会のモラルも向上していくのではないかなと思います。

ただ、不当な人格攻撃や名誉毀損、事実無根な誹謗中傷、明確な犯罪行為などは論外だとしても、匿名(HN)を利用可能なことによって自分の社会的地位や職業的立場を離れた自由闊達な意見のやり取りが出来ることは大きなインターネットの魅力だと思います。
更に、全員が匿名でやり取りをするコミュニティや掲示板では、異なる世代に属する人同士の対話を活発にして、世代間交流を促進する働きがあります。

一方、一部の出会い系サイトやアダルトサイトでは年齢確認が有名無実化していて、本来、出会う機会がないはずの大人と興味本位にアクセスした子どもが接触可能であるという問題も起きているようです。
取り扱う話題・情報やネットの利用目的によっては、世代間交流が望ましくない場合も多くあるので、その辺のネット・リテラシーや子どもにとっての有害情報や危険な出会いをどのように学校教育などで教えていくかはこれから考えていかなければならない問題だと思います。
情報化社会における未成年者の世代間交流や主体性に任せたネット利用には多くの危険性がありますが、自己責任で行動できる年代になってくれば、異なる世代に属する人たちと自由に意見や情報を取り交わすことはとても有益なことなのではないかと思います。

普段の日常生活では出逢うことが出来ない人たちとのコミュニケーションを可能にすること、その場限りのしがらみのない2ch的な情報中心の意見交換ができることというのも『匿名で参加できるインターネット』の醍醐味かもしれません。

私が匿名性の掲示板の長所だと思うのは、『一定の距離感のあるドライな人間関係の中で、情報や知識のgive and takeが実現できること』だったり、『対人関係に基づく依存性や義務感が生じにくいこと』だったりします。
2chの名無しの場合には、ドライな人間関係も何もなく、ただの無名の発言者という認識になり、そのスレッドに実際に何人の人がアクセスしているのか、上下の二人が別人なのかも確認できないことがありますが、一般的な掲示板(BBS)では、Yahoo!のように幾つかのHNを使用するものやリモートホストが表示される形式のものが多く、2chほどの匿名性(アイデンティティの欠如)はないと思われます。

2chの場合には、過去の発言者と自分が同一人物であるというアイデンティティを示そうと思えば、その発言番号を“>>285”のような形で示すケースが多く、初めに行った発言番号によってアイデンティファイされることがありますが、多くの参加者は特定される個人としてのアイデンティティを欲していません。

固定HNを用いる掲示板の場合には、ブログやmixiほどではなくても、個人としてのアイデンティティが確立されてきますから、長期間同じ掲示板を利用し続けていればある程度親密な人間関係が形成されたり、個人の性格傾向や生活状況に対する認識や配慮が生まれてくることもあるでしょうね。
そして、それが匿名掲示板とは違う固定HNを用いた交流の魅力でもあります。ネット内で友好的な人間関係を作りたい人や継続的に交流する話し相手を見つけたいというような人の場合には、匿名性の掲示板よりもそういった相互に決まったHNで個人を認識し合う掲示板のほうが向いていると言えます。


■高度情報化社会における『依存性』と『不安感』が過剰になると発症するテクノストレス症候群(technostress syndrome)

インターネット内部でのコミュニケーションや情報収集にはよく『依存性』が指摘されますが、元々、インターネットやゲームにはオペラント条件付け的な依存性が備わっていると考えられます。
インターネットは、キーワードで気になる情報を検索したりリンクを辿って自分が欲しいと思うコンテンツを探せば、終わりなく探求を継続できる人間の認知限界を超えた広大無辺な世界です。

その為、インターネットは、文字情報やゲーム、文字コミュニケーション、様々な出会いをバーチャルに手軽に楽しもうとする人にとって、実質的に無限の快の報酬が『正の強化子』として準備された世界だということが出来ます。
但し、ネットやゲームをする事によって得られる刺激が“快の報酬(正の強化子)”となり、オペラントな条件付けを形成しますが、仕事や勉強、現実世界の人間関係に支障を来たさなければ依存症的なテクノストレスの問題はないといっていいと思います。

また、『仮想世界と現実世界の完全な混同』により常識的判断力や倫理的分別を失うような過剰な生活不適応や妄想的認知や行動が起こってきた場合には、テクノストレスの問題というよりも、その他の意識や認知の障害を主体とする精神疾患の問題を考慮する必要があると思います。
ゲームやネットを毎日長時間利用することによって、大脳の前頭葉の血流量が減少し、その結果、衝動の抑制能力が衰えたり、対人コミュニケーションでの思いやり(共感感情)が低下するといったゲーム脳などの俗流科学はありますが、現段階では信頼するに足る十分なエビデンスはないように思えます。

とはいえ、何事も異常なほどのめりこみ過ぎることは嗜癖の病理を形成する原因となるのでよくありません。
ゲーム・ネット以外の社会的活動や人間関係を一切行わないという極端なテクノやゲームの依存症のケースになれば、やはり、決められた時間の枠組みの中で現実生活とのバランスをとってネットやITを利用できるように心理変容や環境調整を行っていかなければならないでしょう。

テクノ依存症と呼ばれるような『自律的な行動のコントロールが難しい依存性』が形成されると、現実世界への関心の低下や人間関係への意欲の低下、生活行動の緩慢などの影響が見られやすくなり、社会的行為や職業的活動への意欲が引き起こされることが多くなってきます。
仮想のデジタル世界に過度にのめりこみ没頭し続けることは心身の健康にとって余り良いとは言えませんから、リアルの生活や仕事とバーチャルの趣味や遊びのけじめをしっかりとつけることが大切ではないかと思います。

IT関連やウェブ制作の仕事をしていて一日中、ディスプレイに向き合わなければならない人も、眼精疲労によるドライアイや長時間の意識集中によるストレス、同一姿勢維持による筋肉の疲労や肩凝り腰痛などを防ぐ為に、二時間に一回程度は10分以上の休憩を入れたほうが良いと思います。
パソコンに向き合っている時はそれほど疲れていなくてまだまだ仕事を続けられると思っていても、何時間も継続して意識の集中を必要とする作業をしていると、仕事を中断した途端に一気に全身疲労感や精神的な倦怠感が襲ってくるようなことがあります。

新奇な情報や有益な知識の刺激による知的好奇心の充足や興味深い話し相手とのコミュニケーションをインターネットでは無限に行うことが出来ますが、テクノストレスの弊害を避ける為には、現実世界や対人関係とのバランスを考えてある程度計画的にインターネットやパソコンを利用していくことが必要です。


■関連URL
Web of the Year 2005:人と人をつなぐmixiと膨大な情報が渦巻く2ちゃんねる

■書籍紹介
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