ネットの依存性とテクノストレス症候群:QOLを向上させるITライフの重要性

心理臨床や精神医学の分野でも、正式なテクニカル・タームではないもののパソコンやIT機器を長時間利用することによる“テクノストレス(テクノストレス症候群)”の問題が指摘されることがあります。
テクノストレスという用語そのものは、アメリカの臨床心理学者クレイグ・ブロード(Craig Brod)が1984年に提唱したものです。ITとインターネットが世界で最も早く発達したアメリカで確認されて以降、パソコンの普及が進みインターネット利用者が増加した国や地域で見られるようになり、特に、『非社会的な行動パターンとの重複による現実生活への不適応』が問題視されています。

テクノ・ストレスはパソコンとインターネットの普及によって増加してきたストレス性疾患で、大きく“テクノ不安症”“テクノ依存症”に分類することができます。

ネットやコンピューターに過度に依存して現実社会への適応を失う“ネット中毒・テクノ依存症”が、IT関連の仕事をしている人のストレス反応やひきこもり等の非社会的問題で指摘されることがあります。これは、病理的な状態であると同時に、雑多な情報が氾濫する『IT社会への過剰適応』でもあります。
テクノ依存症の主要症状には、『現実生活への関心の低下・対人関係からの撤退・喜怒哀楽の感情表現の減少などアレキシシミア的状態・社会活動(仕事学業)に対する責任感の欠如・極端なデジタル思考(全か無か思考)』などがあります。

一般的にネット依存症(テクノ依存症)には、『情報に関する依存状態』と『人とのコミュニケーションに対する依存状態』の二つがあります。
先日、All Aboutの記事に、現代社会の情報に対する強迫的な依存症を説明している興味深い記事がありました。
その記事の中では、主体的な判断能力を維持して、自分の生活を豊かにする為に、以下のポイントに気をつけて情報を活用すると良いと書かれていますが、ネットの依存症に限って言えば『目的意識を持ってネットを計画的に利用すること』や『何の為にその情報を求めているのかのこまめな確認』『現実社会や人間関係、職業活動での積極的な情報の活用』が大切だと思います。


ひょっとしてあなたも「情報依存症」?

情報を自分のために生かせるよう、最低限以下の4つのポイントを押えておきましょう。

1) 情報は、あくまでも「参考」にするもの
たとえ専門家の見解であっても、すべてを鵜呑みにしないこと。情報は参考にとどめ、最終的に物事を判断するのは「自分」だということを忘れない。

2) 情報はさまざまな角度から複数求める
ひとつの情報にとらわれず、いろいろな角度から探してみること。複数の情報を参考にすることで、より視野が広がります。

3) 「常識」に惑わされない
長く常識とされてきたことであっても、頭から信じ込まないこと。時代や社会の変遷とともに、常識も変化します。

4) 少数派になっても恐れない
「みんながこういっているから」といわれても、惑わされないこと。多数の意見に迎合せず、自分の判断や直感を大事にする習慣を


盲目的な情報収集や依存的なネットを介在した人間関係に過剰に没頭しきってしまうのではなくて、QOL(生活の質)を向上させるようなITライフを実現する目的を持ってインターネットやマスメディア、ネット内の対人関係と向き合う必要があるのではないかと思います。

テクノ不安症のほうはデジタル機器とインターネットに慣れ親しんだ10代~30代の若い人たちには殆ど見られませんが、それまで殆どパソコンやインターネットを利用してこなかった中高年齢層でIT機器を使うことが苦手な人に多く見られます。
今までITを全く利用してこなかった人が、突然、仕事などでパソコンやインターネットを使うことになり、その勉強に付いていけなかったり、ITに対する苦手意識や不安感を感じ続けることによって過剰なストレスが継続しテクノ不安症が発症します。
知識や操作方法をなかなか習得できない場合には、適切な指導者の元で一つずつステップを踏んで学習を進めていくことを重視し、パソコンの操作や技術の上達を焦りすぎないようにすることがテクノストレスを和らげます。

また、ITの技術や知識以外の仕事・能力にも注意を向けて、絶望的な劣等感に囚われ過ぎないようにしたり、仕事帰りに気が置けない同僚と気晴らしの食事やお酒を楽しむなど自分なりのストレス解消法を見つけてストレスに対する対処能力を高めると良いでしょう。
勉強がうまくいかないからといって過労状態になるほど根を詰めて一生懸命に頑張りすぎると、返って学習の効率を低下させイライラや不安を高めるので休むべき時には思い切って休むことが大切だと思います。

メンタルヘルスの話に大きく脱線しましたが、『依存性』という視点で、2chやmixiを見てみると、人と人とのネットワークを拡大して強化していくシステムの特性を持つmixiのほうが依存性は高いのではないかと思います。
足跡機能(訪問履歴)やログイン時間などのユーザ・インターフェイスによって、mixi内部の人間関係が濃密で自分にとって不可欠だと思えれば思えるほど、mixiに対する依存的な利用形態が習慣化していく可能性があります。

心理学的には、『相手が訪問してコメントを残してくれたから、自分も相手を訪問してコメントを返さなければならない』という相手の信頼や期待に応えて人間関係を良好に保ちたいとする義務意識や拘束感が働いたり、『自分がこれだけ頻繁に日記を書いて、相手の日記にもコメントしているのだから、相手もそれなりの好意や関心を示してくれるだろう』とする“好意の返報性”への期待の意識が働いていることが依存性形成に関与していると考えられます。

ブログの場合にもコメント欄などを利用した好意の返報性はありますし、自己の意見や主張の正当性を確保する為に『コメント欄への批判や悪意』に対する反論を繰り返す形での依存性が形成されることもありますが、特定個人に対する依存的なコミュニケーション形態が常態化することは稀ではないかと思います。

親密な相手との携帯メールや掲示板などによるコミュニケーションにも軽度の依存性はありますが、mixiの場合にはログインの時間や訪問履歴をお互いに確認できることにより、相手の反応を強く期待してしまい、期待していた自分への関心を明示化する書き込みが得られないとストレスを溜め込むといったケースが想定されます。
特に、元々、『対人関係への感情的な依存性』『孤独耐性の脆弱性』『承認欲求や愛情欲求の過剰』『他者への過干渉や独占欲』といった性格傾向を持っている人は、mixiに限らずネット内の人間関係への依存性を高める傾向があるのではないかと思います。

しかし、どんなゲームやウェブ上のサービスにしても、のめり込んで熱中して貰うことを前提にして設計し開発していると思うので、ある程度の依存性や習慣性を形成してしまうのは仕方ない面があります。
問題となるのは、仕事や学校、家庭、現実の人間関係などに支障を来たして、社会生活への不適応や精神的・経済的不利益が起こってきたケースだと思いますが、もし、mixiなどで過剰な依存性を形成してしまった場合には、継続的にコミュニケーションを取りたい相手と事前に相談するなどして、一日に利用する時間帯を制限するなどの行動療法的な対処が有効なのではないかと思います。


■ユーザがコンテンツを自発的・積極的に制作し始めるWeb2.0の時代

私は見る機会を逸したのですが、mixiなどのSNSがテレビ番組で言及されたことがあるようで、日増しにSNSの認知度も高まっていると推測されます。
テレビや新聞雑誌などマスメディアでの紹介や露出が増えれば、認知度が高まり参加者は増えていくと思いますが、基本的にSNSはブログと同様、自分自身が能動的にコンテンツを作成したり会話をしたりしなければならない参加型メディアです。
その為、閲覧だけで楽しめる2ちゃんねるなどの掲示板より参加コストが高く、実際に積極的に利用し続ける人の増加数はあるレベルで打ち止めになる可能性がありますし、長期間にわたって継続的に良質なコンテンツを生み出し続けるブロガー。

ブログに限って言えば、開設数の多さよりも定期的に更新されるアクティブなブログ数の多さのほうが重要なわけで、開設してもすぐに更新を止めてしまう人や書き溜めたブログのコンテンツ全体を削除してしまう人が増えてくると、ブロゴスフィアに産出されるコンテンツの量は低下することになります。

とはいえ、参加者の数が膨大な数になれば、必然的に良質なコンテンツの出現率が上がり、コンテンツの制作そのものに面白味や価値を感じる人が増えてくると考えられるので、ブログスフィアのコンテンツの質に関してはそれほど悲観する必要もないように思えます。コンテンツの量に関しても、制作者が削除しなければストックは貯まる一方ですから、その中から有益性や娯楽性、速報性などの観点から利用価値のあるものを検索する技術の洗練が期待されてくるのかもしれません。
Web2.0の時代におけるCGMなどの概念の実用化を見ていると、今後はアフィリエイト以外のブログの経済的利用なども活発化してくる可能性もあると思います。

今話題のWeb2.0の概念を構成する要素の一つが、ブログやSNSなどのサービス会社が提供するCGM(Consumer Generated Media)であると言われます。
CGMはウェブのサービス提供会社のマーケティング的な側面を上手く表現した概念で、GoogleAdsenseやAmazon Associateなどに典型的なようにユーザが作成したコンテンツに上手く適合した広告やサービスを提示することで、コンテンツの制作管理コストを下げて効率的に収益を上げることなどが典型的なCGMの利用法なのではないかと思います。

ユーザ側の能動的なコンテンツ制作によるメディア機能の発揮をWeb2.0の文脈で語るのであれば、コンテンツ制作の労力や手間を格段に低減させるCMS(Contents Management System)としてのブログやSNSに注目すべきなのかもしれません。
Web2.0を包括的に語れるほど技術にもインターネットにも全く精通していないのですが、インターネットのユーザ側にとってのWeb2.0の影響というのは、コンテンツの消費者から生産者の側へ回れること、生産したコンテンツをもとに簡単にインタラクティブなコミュニケーションができること、複数のユーザによる情報の収集整理作業(簡易な集団知やフォークソノミーの実現)に関与できることではないかと思います。

プロバイダやはてな、fc2などウェブサービス会社が提供するCMSとしてのブログがユーザをコンテンツ制作者の側に回らせ、インターネット全体に魅力的なコンテンツを増加させます。
勿論、多種多様な知識や経験、意欲、文章力を持った人たちが膨大なコンテンツを作成すれば、あまり必要性や需要のないノイズも増えるのですが、それでも、新たなコンテンツが全く供給されない状態よりもマシなわけです。
純粋な精選された情報だけが欲しいのであればネットよりも完成された書籍を読んだほうが効率的だということになります。

ブログやSNSをビジネスの観点から見ると、ブログユーザは小さな金額を稼ぐアフィリエイトなどの対価しか得られないわけでCGMの部分を担うに過ぎませんが、現段階では自分独自のコンテンツを作成する楽しみやインタラクティブな交流をする満足感みたいなものが強い人でないと長期間ブログやSNSを作成し続けるのは難しいと思います。

知り合いとのコミュニケーションの喜びを求めてコンテンツやレスポンスを作成するSNSでは、情報や話題そのものからコミュニケーションを拡げるブログと比較して、内輪ネタ的なやり取りや日常生活に密着した何気ないコミュニケーションが中心的になる傾向があります。
日記などのコンテンツも、比較的短文で友人があまり考えずに返答を返しやすい気軽な生活や趣味の内容が多くなるのではないかと思います。

そういった意味では、ブログは『情報発信や情報整理に対する意欲や能力のある人』に向いたメディアで、SNSは『対人関係の拡大や日々の記録に対する意欲や能力のある人』に向いたメディアなのではないかなといった印象がありますが、ブログにしてもSNSにしても、これまで不特定多数に情報を発信することが不可能だった個人が多種多様な情報や意見を簡単に公開できるようになったことの影響は良い意味でも悪い意味でも大きいでしょうね。
個人的な感想としては、ジャーナリストや作家といった文章のプロ以外の個性的な文章や経験に基づくコンテンツを読むことが出来る時代というのはなかなか刺激的で、インターネットを利用した楽しみの幅が広がったなという思いがあります。

■関連URL
匿名掲示板・SNS・ブログといったメディアの特徴と差異:ネットの匿名性・依存性・ストレス

■書籍紹介
テクノストレスに効く55の処方箋

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