ライフサイクル理論と社会変動のリアリティを強めて“たまごっちブーム再燃”:現実と仮想の交錯する現代

たまごっち:通信機能付き新登場 8年ぶりにブーム再燃 

昨年11月に玩具メーカーのバンダイが発売した「祝ケータイかいツー!たまごっちプラス」(2625円)が子ども達の驚異的な人気を得て爆発的に売れているようです。
たまごっちというと非常に懐かしく感じますが、記事を見ると1996年に発売されて約4000万個を売り上げたということで、もうあのブームから8年以上の月日が流れているわけですね。
96年のたまごっちが流行した時には、小学生や中学生といったゲームに熱中しやすい世代だけでなく、大学生や社会人にもたまごっちを購入して暇を見ては餌を上げたり、遊んであげたりしている人たちが多く見られました。

液晶画面の中で、適切な世話をする事によって成長し、様々な姿に変化していくたまごっちは、仮想世界の擬似的な“子どもの表象”であり、子どもであれば記事にもあるようにかつてのままごとの“代理的な遊戯”として位置づけることが出来るのでしょう。
大人の場合は、実際の子どもに接する煩わしさや面倒さを排除したお手軽な育児感覚を経験したり、保護や世話をすることによる代理的な満足を得るゲームといった感覚が当て嵌まるのかもしれません。

とはいえ、現実の子育てには、子どもの排泄の処理をしておしめを代えたり、わがままを言って大声で泣き叫んでいる子どもを躾たり、夜中にミルクが欲しいといって泣く子どもに睡眠時間を削ってミルクを与えたりする苦労と手間(それ以上の感動や幸福が育児にはあるので苦労を苦労とも思わないのが理想的ですが)が伴うので、擬似的なたまごっちの手軽な育児感覚は、あくまで娯楽や趣味としての楽しみに過ぎないとも言えます。
何より、現実社会で親になるということは、子どもの生命の保護と人生の基礎部分の形成に対して大きな保護責任・養育責任を負うのですから、面倒くさくなったら途中でリセットしたり、気に食わない姿に成長したら一からやり直すことの出来るままごととしての生育ゲームとは余りにも大きな懸隔がありますね。

インターネットのウェブサイトに設置できる電子ペットやハーボットなどのキャラクターも、育児感覚とは少し異なりますが類似した保護的な心理から愛着や癒しを感じる人が多いのかもしれません。
少し批判的な見解も記しましたが、たまごっちのようなゲームによる擬似的な育児感覚によるリラックスや満足感は、様々な生活場面や人間関係から受けるストレスを楽しく緩和する効果もありますね。
ゲームやネット内部の擬似的な生命や動物に対して、温かい愛情や優しい気持ちを注げるという事実によって、日常生活の中でなかなか人に優しく振る舞うことが出来ない人でも、自分の内面にある温かさや優しさに改めて気付くことが出来たりするかもしれません。

また、仮想空間で現実世界と類似した行為や事象を取り扱う事に反対す心理学者や有識者が時にいますが、大部分の適切な自我機能が確立している大人にとっては仮想空間の出来事と現実世界の出来事を混同することは有り得ません。
現実と想像の境界線が完全に破壊されれば、それは精神病圏の統合失調症的な妄想や幻覚の症状によって現実検討能力が障害されているという事になります。

ただ、自我の発達途上にある子ども達が、仮想空間でのコミュニケーションだけしか行わなかったり、ゲームの中の戦闘や殺戮に快楽を感じる経験を慢性的に継続することはあまり好ましくないかもしれません。
飽くまで、現実と仮想のバランス感覚と時間配分の問題ですが、子どもの成長段階で適切な現実認識能力を形成していく為には、現実の社会の規範とゲームの世界の自由は異なるということを教育することが必要であり、現実世界での人間関係やコミュニケーションを多くとることによって、自我の現実感覚を高めていかなければならないでしょう。

つまり、実際的な親子関係の対話で社会内の基本的なルールやマナーを分かりやすく話し合ったり、友達関係での遊びや喧嘩を通して、他人が自分と同じ喜びや痛みを感じる人間であることを実感的に情動的に理解することが出来れば、先日報道されたような『幼稚園児をハンマーで殴打した少年の事件』のようなケースは減少するのではないかと思います。

この少年に、先天的要因の関与する発達障害や行為障害があり、脳の器質的障害を抱えた道徳感覚の欠如や現実認識能力の不全があったのであれば、ここで述べたような育児環境の調整では少年の他者を傷つける行動を抑止できない可能性もあります。
しかし、後天的要因による心理的な発達の問題があって、幼児的な自己の全能感や自己中心的な世界観による現実認識の錯誤が原因なのであれば、人とのふれあいや対話を増やす育児環境を準備したり、現実と仮想の境界線を明示的に強化する教育方法を採用することによって、ある程度の抑止効果を期待できると思います。

大阪府東大阪市で起きた少年事件報道を元に、考察を深めたい社会や教育の問題や分析を進め
てみたい病理学的心理も幾つかありますが、また時間のある時に色々と考えてみたいと思います。

8年前のたまごっちブームの時には、大人が車の運転中に、たまごっちの餌を求める呼び出し音に気を取られて事故を起こしてしまうというような行き過ぎたゲームへの耽溺も見られましたが、バーチャルなネットやゲームの中のキャラクターや生物に本当の生命があるという感覚を投影してしまうと、どうしても依存的な心理や過保護過干渉の心理に陥り易くなります。
今回の新しいたまごっちの特徴は、携帯との通信機能を備えていて携帯電話のウェブサイトにたまごっちの古里・たまごっち星があって、地球との間で様々なポイントのやりとりやたまごっち星に済む親からの仕送りなどができるみたいです。

前回のたまごっちでは、配偶者の選択から結婚と出産などのライフイベントを盛り込んだことがセールスポイントになっていましたが、今回のたまごっちでは世代間のコミュニケーションや経済的依存関係なども組み込まれていることとなり、ますます人間のライフサイクルと社会構造の変動に類似させたリアリティを追求しているとは言えるでしょう。

私は、現在では、全くゲームを楽しむ時間がなく、ハードさえ所有していないのですが、たまごっちという懐かしい響きにつられて、今回の記事を書いてしまいました。




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