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zoom RSS ロジャースのクライアント中心療法と心理カウンセラーの基本的態度

<<   作成日時 : 2005/03/17 05:31   >>

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一般的なカウンセリング技法として用いる『来談者中心療法・クライアント中心療法(client-centered therapy)』は、1950〜1960年代にカウンセリングの神と呼称されたカール・ロジャース(Carl R. Rogers)によって創始された非指示的な技法です。
かつては、カウンセリングといえばロジャースという程に隆盛を誇った技法ですが、現在ではロジャースの技法・理論が独立したものとして強い勢力を持っているわけではありません。
1970年代以降は、高度な専門化や複雑な理論化が為された行動療法や認知療法をはじめとする種々の心理療法やカウンセリング技法が開発されて、来談者中心療法はそれまでの栄光の座からは一歩後退してしまったという観があります。
来談者中心療法は、個別の心理的問題や苦悩に対応する専門的技法という意味合いが薄れ、今では、心理カウンセラーが体得すべき基本的な態度・人間観・会話法といった形で認識されることの多い技法です。

ロジャーズは、アメリカのデューイやジェイムズといったプラグマティズム(実用主義)や個人の権利を重視する自由民主主義の影響を強く受けていて、“個人の価値と尊厳に基づく自立性・主体性”を最大限に尊重する基本的な態度をもっていました。
ロジャーズは、初めに学校教育の場面に、それまでの権威的な指導・強制と対照的なカウンセリングを持ち込んだのですが、カウンセリングの歴史についてはまたの機会に色々と書いてみたいと思います。

来談者中心療法によって提示された心理カウンセラーの基本的態度として、私が大きな意義があると感じている部分は、カウンセリングの場を一方的な助言忠告や指導の場にせずに、出来うる限り対等な立場で、お互いの人格を尊重して対話を交わす大切さを説いている部分です。
ロジャースの楽観主義は、ありのままの一人の人間としてお互いを尊重し、共感的で受容的な対話を重ねれば、自然な流れの中で適応的・回復的な心理的変容や行動の変容が起こると考えたところにあります。

ロジャースの前向きの姿勢を崩さない理論は確かに魅力的ではありますが、勿論、実際のカウンセリング場面では、来談者中心療法以外の技法の適用や理論知識の参照も必要になってきますし、臨機応変でフレキシブルな対話状況と信頼関係の構築が大切だと思います。
心理状態や苦悩・葛藤の内容がそれほど深刻でなく、問題や苦悩の性質がそれほど専門的な対処を必要としない場合には、来談者中心療法のみで対応できますが、私は、クライアントの心理状態や問題や苦悩の重篤度を考慮に入れながら、個々のケースに適応した技法や理論を用いていくことが必要だと考えています。

『話したい事柄を、自由に話す事のできる安心した環境』『相手から批判されることなく、話す内容を受け入れてもらえる信頼できる人間関係』を整えて、共感的な温かい雰囲気の中で、心理的な問題や苦悩について率直に話し合う事による成長促進や問題解決の効果を得られることが、来談者中心療法の意図するところだと言えるでしょう。

クライアントの持つ自然回復力や自己実現傾向といった潜在的な人間(生物全般)の可能性を深く信頼するロジャースの心理学理論は、心理学の第三勢力と呼ばれる『人間性心理学(humanistic psychology)』に分類されます。
ロジャースは、カウンセリングとサイコセラピーという学問分野・臨床実践には、実際的な境界線はないと考えましたが、一般には、カウンセリングはサイコセラピーよりも健康で安定したパーソナリティのクライアントに対する相談助言といった意味合いの強い概念として認識されています。

フロイトの精神分析は、神経症水準の患者を主要な対象として高度に理論化されていった背景を持つ為に、その根底には、『無意識的な本能的欲望や過去の激しい情緒的葛藤』に巻き込まれやすい悲観的で陰鬱な人間観の影が射しているイメージがあります。
ロジャースの自己理論に基づく来談者中心療法は、精神分析や行動主義心理学(行動科学)などとは対照的に、明るく健康的な人間観がその背景に絶えずある点が特徴的です。


ロジャースの自己理論や人間中心アプローチによれば、人間は、共感的で深く信頼できる人間関係や生活環境と出遭うことができれば、ありのままの自然な傾向として『発展・成長・回復・健康』といった適応的な良い方向へと変容していく性質(内的資源)を本来的に持つとされます。

ロジャースの肯定的な人間観の深奥にあったのは、『潜在的な成長力・本来的な可能性への確信』であり、人間はどんなに困難で苦痛な心理状態や生活環境にあっても、自分の内部に自分を回復させ成長させる傾向を持っているとしました。
この、自分を自然に回復して立ち直らせ、新たな成長を成し遂げさせる本来的な人間の性質を、ロジャースは“実現傾向”と呼び、心理的な問題症状や不適応を生み出す原因を自分で根本的に解決する力を全ての人が持っていると想定しました。

ロジャースが、心理カウンセラーの基本的態度として掲げた幾つかの項目は、この実現傾向による成長可能性や回復可能性を促進するような態度のことだと言えます。
成長・回復を促進する基本的態度には、以下のようなものがあります。


見せ掛けの役割アイデンティティを確立しない真実性……心理カウンセラーが、専門家であるという役割意識に基づく権威性のペルソナ(仮面)をかぶるのではなく、ありのままの対等な一人の人間としてクライアントと率直な対話を行うことが“真実性”や“純粋性”につながってきます。


自己一致……自己一致とは、『自分がどのような人間であるのかという自己概念(自己イメージ)』と『自分の現実社会での経験(思考・感情・態度・行動)』が一致していて、矛盾がない状態を意味します。
つまり、自分自身の心理状態への深い洞察や適切な自己分析が出来ていて、自分が自分であることへの違和感や苦痛を抱えていない健全な心理状態の管理が出来ているという事です。


徹底的傾聴……クライアントが話している内容を、途中で遮ったり、自分の意見や価値観を挟んだりせずに、徹底的にしっかりと聴取する態度を重視します。
自分の意見や質問などが必要であると判断する場合にも、最小限度の介入に抑えて、出来るだけクライアントの言葉で心理・感情・状況や関係を自由に語らせるように配慮します。


共感的理解……クライアントの立場にたって、問題となっている人間関係や社会環境においてどのような感情や情動を感じているのかを共感的に理解するように努めます。
クライアントの抱える不安・恐怖・怒り・悲しみといった強烈な感情を、最大限の想像力と感受性を張り巡らせて共感的に理解することで、クライアントの気持ちや思いを正確に体感的に理解していることを伝えることが出来ます。
共感的理解を積極的に行っていく事で、苦悩や問題につながる感情の共有が促進され、僅かなりとも感情的な苦痛を緩和させる効果が期待できます。


無条件の肯定的尊重・無条件の積極的受容……来談者中心療法のアプローチによるカウンセリング場面では、クライアントは自分の話したい話題や気持ちを自由に制限なく話すことが基本的に保障されています。
カウンセリング場面においては、心理カウンセラーは、クライアントのありのままの率直な感情表現を無条件に温かく受け容れ、個人的な価値観に対しても反論や批判を加えずに尊重し、社会に対する基本姿勢が反道徳的なものであってもその気持ちを出来る限り包容的に理解しようと努めます。
世間一般の価値観や倫理的な善悪判断といったものによって、クライアントに条件を付けて評価を下してしまうと、クライアントが内面に鬱積させている激しい感情や情動を共感的に受け容れることが不可能になってしまう恐れがあります。
その為、カウンセリングでは基本的に『クライアントの感情表現・話したい話題・人生に対する価値観・社会システムに対する態度』などについて、常識的な価値観や倫理的な善悪観から批判したり、反駁したりすることはありません。
暴力行為や犯罪行為などの特段の事情がない限り、クライアント個人の人格を無条件に尊重し、話したいと思う内容を無条件に受容していくといった姿勢を基本的な態度としています。







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タイトル (本文) ブログ名/日時
“過去・現在・未来の認知フレーム”で捉えられる時間的構造と心理療法理論の対応
カウンセリングを行う際の前提的知識となってくる人間の心理メカニズムや人生の過程と問題をより良く理解する為には、『人生の時間的構造』と『環境の心理的影響』について知る必要があります。 人間は、基本的に自らの生きる人生を『過去・現在・未来』の時間軸で捉え、現在という時間を生きながらも、過去の記憶や未来への想像に大きく影響され、明るい希望に胸を弾ませて快活な気分になったかと思えば、悲観的になって抑うつ的な気分に落ち込んだりもします。 ...続きを見る
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