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zoom RSS 森田正馬の神経質の症状形成と精神交互作用1:注意・意識を向けすぎると悪化する

<<   作成日時 : 2017/10/12 15:34   >>

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日本の精神科医の森田正馬(もりたまさたけ,1874‐1938)は、些細な違和感や感覚・思考の異常に過度に注意を向けすぎることによって、『不安・心配・苦痛の症状』がより悪化していくという『森田神経質』を提案したことで知られます。

森田神経質(森田神経症)というのは、今でいう社会不安障害(対人恐怖症)や不安性障害(不安神経症)、醜形恐怖障害などに当てはまることが多いのですが、いわゆる『神経質な性格傾向』が不安や緊張・強迫性・自己嫌悪を強めてしまった病的状態のことを表しています。

神経質な性格傾向……完全主義、小さなことを気にしすぎる、潔癖、几帳面、悲観的、人の評価や思惑を気にしすぎる、慎重で臆病、刺激過敏性、プレッシャーに弱い、取り越し苦労など。

『神経質な性格傾向』そのものは性格特性のグラデーション(程度問題)として誰にでもあるのですが、絶対にミスをしてはいけないとか自分はいつも人から悪く思われている、頑張ってもどうせ上手くいくわけがなく不安だとかいうように『過度の神経質さ・自意識過剰』が長く続いて習慣化すると心理的問題として深刻になってきます。

森田正馬は、森田神経質の症状形成メカニズムについて、『神経質の病的状態=素質(ヒポコンドリー性基調)×機会×病因(精神交互作用)』の方程式を提唱していました。小さな身体感覚の違和感を、重大な病気の証拠と考える『ヒポコンドリー(心気症)』とその違和感にずっと注意を向けて気にする『精神交互作用』が『機会(症状自覚の出来事)』と合わさることによって森田神経質が発症します。

森田正馬の神経症理論では神経質性格というのは、『弱力性(内向性・心配性・過敏症・心気症・受動性)』『強力性(完全主義欲求・優越欲求・自尊感情・健康への欲求・支配欲求)』を併せ持った性格と定義され、自分の性格構造(内面)に存在する『弱力性と強力性の矛盾』を受け容れられずに苦悩することになります。

森田正馬は弱力性と強力性の性格特性の自己矛盾と合わせて『思想の矛盾』が、神経質性格を形成して維持するとしています。思想の矛盾とは、簡単に言えば強力性に象徴される『理想自我』と弱力性に象徴される『現実自我』の矛盾のことです。森田は思想の矛盾について理想の自分と現実の自分のギャップであり、かくあるという『事実』とかくあるべしとする『思想(理想)』のズレであると述べています。

人は神経質な性格傾向が過度に強まって、些細なことに不安・緊張を感じることが習慣化すると、『森田神経質』と呼ばれるような日常生活・人間関係に支障がでてくる病的な心理状態になってしまいやすいのです。森田正馬のいう森田神経質は、ジークムント・フロイトが初期に肛門期性格と関連づけて定義した『強迫神経症』と似ている部分も多いのですが、森田神経質の症状形成機序は『ヒポコンドリー』『精神交互作用』によって成り立っています。

ヒポコンドリー(心気症)……小さな身体の違和感や不快感から、自分が心臓疾患やがんなどの重大な病気なのではないかと過度に心配する神経症の一種で、医学的検査を受けても異常所見(病気の事実)は見つからない。

精神交互作用……森田神経質の症状を形成する中心的な心理メカニズムで、『身体・心理の些細な変化や違和感』に過度に意識・注意を向けることによって、更にその小さな違和感・症状が強調されて悪化していくことになる。『気にしすぎて病気になる・注意を向けすぎてその不安だけで頭がいっぱいになる』という典型的な心理状態である。

森田神経質のきっかけや原因になるものとしては、幼少期・児童期の恥辱感や劣等感(自信喪失)の強化に関わってくるトラウマ的な体験があります。

またそういった特定可能なトラウマ的体験がない場合でも、元から内向的な性格の人が『1回〜数回のありふれた失敗・恥の体験』を気にしすぎることによって、社会不安障害(昔の赤面恐怖症・人前で文字が書けない書痙など)や不安性障害のような慢性的な状態・症状に苦しめられてしまうことがあります。

森田神経質になってしまう人には、『内向的な性格・小さなことを気にしすぎる・他人の悪意を想像しすぎる』と合わせて、『向上心や自意識(恥の回避)の強さからくる完全主義欲求』があることが多いと言われています。

1回〜数回の失敗をして恥ずかしい思いをすると『次からは絶対に失敗してはいけない・もう二度と恥をかきたくないという完全主義の構え』で固まってしまい、余計にリラックスできなくなって本来の能力・性格を出せなくなってしまうのです。

うつ病(気分障害)に対する認知療法的なアプローチでも、気分・感情を落ち込ませて自信ややる気を無くしてしまう認知の歪みとして、『完全主義欲求・白黒思考(1か0かの二分法思考)』がクローズアップされることは多いのです。『不完全であるしかない人間(私)』がガチガチに構えて完全でなければならない、ミスをしたらすべてがダメになると強迫的に思い込むところから、さまざまな精神の不調が始まることは少なくありません。

『気になる症状・感覚の違和感・ミスする可能性』に注意を向けて意識すれば意識するほどに、『深刻な問題であるように感じる変化や違和感』は次々に増えてきてしまい、心理状態がますます悪化して日常生活や普段の仕事、人間関係にも適切に対応できなくなってしまいます。

ヒポコンドリーと同じように、自分で自分の心神の状態の違和感や不快感を敢えて探して気にしてしまう状態に陥ると、『少し心臓がドキドキした・少し手のひらに汗をかいた・人向き合って頭が少しぼんやりした・人の目線が気になって言葉が流暢に出てこなかった・わずかだけどどもってしまった』などの変化があるだけで、更に『対人不安・対人緊張・吃音や緘黙』が強まって最低限の会話(やり取り)さえもできない深刻な社会不安障害(対人恐怖症)に移行しやすくなるのです。


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森田正馬の神経質の症状形成と自分・症状へのとらわれ2:あるがままをどう実現するか
『注意』と『感覚(病気であるという感覚)』が相互作用して強め合うというのが、森田神経質でいう『精神交互作用』です。ヒポコンドリーと精神交互作用によって心身の不快感・違和感が『症状』として自覚されてしまうと、人はその苦痛な症状をどうにかして治したい、どうにかして取り除きたいと思うようになり、『症状との対決・格闘』に日々明け暮れることになってしまいやすいのです。 ...続きを見る
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