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zoom RSS 回避性パーソナリティー障害の主体性の喪失はなぜ起こるのか?:親子関係と子への期待・要求

<<   作成日時 : 2017/09/23 02:51   >>

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他人に対して抵抗・反発・批判をして、自分の意見を通すこと(相手の非を改めさせること)などとても無理だと感じている回避性パーソナリティーの人は、自分だけが受動的に相手に従うしかないような心理状態に追い込まれやすい。自己主張が強くて要求の多い相手と無理に付き合って、『理不尽な人間関係』にはめ込まれてしまいやすい嫌な経験を重ねているから、他者と距離感を縮めて親しくなることをかなり警戒していて不安に感じることにもなる。

回避性パーソナリティー障害(APD)と『大人としての成熟』が拒否されやすくなった現代

回避性パーソナリティーの人は『他者との戦い・競争』というのが非常に苦手であるか、他者と本気で利害を対立させてぶつかり合うことを考えただけで強い不安感・恐怖感に襲われるので、不安を弱めていって『付き合える相手(親しくなれる相手)』の範囲が非常に狭くなりがちということになる。

本人の能力・技術・知識は相当に優れていて、対立する相手と本気でやり合えば『善悪の是非(理非)・知識の正誤・技術の巧拙の基準』では勝てることも多いのだが、回避性パーソナリティーの人は自己主張の強い他人の存在・意思と真正面から向き合うこと自体に強い不安・恐れがある。そのため、競争的・対立的なやり取りをするくらいなら初めから諦めて従うか、戦いの舞台からすっと去ってしまうのである。

自己評価の低さからくる自己卑下と野心・欲求の乏しさ、諦め・従順の態度といった回避性パーソナリティーの特徴には、自分の人生を自分で責任を持って決めたり選んだりして前に進めていくことができないという『主体性・自己決定の喪失』が関係している。

主体性・自己決定の喪失の原因としては、遺伝要因やトラウマ要因、幼少期からの養育環境(親子環境)を想定することができる。

幼少期から思春期にかけての子育てで『子供自身の人生の選択・好み・責任』を無視して、すべて親が子の代わりに『こうするほうが絶対良い・私が正しい決定をしてあげる・親に任せておけば大きな間違いはない』とばかりに勝手に決めつけて物事(重要な進路選択)を強引に進めていくような『過保護・過干渉』が主体性の喪失に影響していることは少なくない。

子供の人生の進路や生き方をガチガチに親が固めてしまうような過保護・過干渉の子育ては、『表面的な愛情・心配』『実質的な支配・強制』を混同してしまうことで、子供の主体性・自己主張・自己決定を奪い取ってしまうリスクが少なからずあるのである。

親がもっとも正しくてもっとも稼げると思うような人生の進路・生き方の強い勧め(実質の支配・強制)というのは、子供にとって『親に嫌われたくない(親に見捨てられたくない)という思い』を逆手に取られたかなり高いハードルとして受け取られやすい。

おまけに自分が好きで選んだ進路や分野、生き方でもないから、『親が期待する人生と自分が生きたい人生の混乱』も起こりやすく、自分の能力・適性が親の期待する進路の基準を満たせない場合には、親子関係が急速に険悪になって親が子に無関心になったり、子供は自分の人生の主体性・意思決定を奪われて何をしていいかも分からなくなることが多い。

親の期待や要求が過剰だったり子供にとって的外れであれば、それを子が主体的に拒絶する権利はあるはずなのだが、幼少期から『親の期待・要求を満たせば愛される褒められる関係』が当たり前のように築かれていると、『親の期待・要求に応えられないダメな自分』のほうに不甲斐なさや罪悪感を感じてしまいやすくなるのである。

特に親自身が社会的に立派な肩書き・権威的な職業を持つ人物であったり、経済的に成功している人物である場合には、親の強い期待とそれに応えなければならないというプレッシャーは人一倍強くなりやすいものである。

子供に本当の愛情や手間暇をかけて子供の意思決定も尊重しながら、許容範囲内の期待をかけるのであればまだいいのだが、『自分の価値観・職業観の一方的な押し付け(その学校・仕事以外はほとんど価値がないなど)』や『親が強い期待をかけたりお金を出すことが真の愛情であるという勘違い』がある場合には、子供は主体性を奪われて無気力になったり自己アイデンティティーが拡散したりしてしまいやすい。

親に嫌われたくない(親に見捨てられたくない)から大半の子供は必死に頑張ろうとするのだが、『親の大きすぎる期待・多すぎる要求・理想や好み(見栄)の押し付け』にどうしても応えきれなくなると、挫折感・自己嫌悪・絶望感・親への怒りを感じて“非社会的行動パターン”“反社会的行動パターン”のいずれかに傾きやすい。

反社会的行動パターンとなって現れれば『非行・家庭内暴力・薬物依存・性的逸脱』などになり、非社会的行動パターンとなって現れれば回避性パーソナリティーを前提とする『不登校・ひきこもり・就労困難・社会的孤立』などになってくる。

養育環境や親子関係を原因とする回避性パーソナリティー形成の問題を改善するためには、子供自身が自発的に抱く興味関心を尊重して、『主体的に何かをやろう・これに決めようとする自己決定の機会』を持たせて上げることが大切であり、『一方的な期待・要求の押し付け』には人格形成や適応行動に対する悪影響が多いのである。

子供本人がまったく望んでいないことが明らかな進路、ほとんど適性がないことが分かってきたジャンルにおいて、『不本意な強制的なチャレンジ』をさせることは子供の主観的な達成感・満足度を高めることがない。さらに『適性欠如(不向きな分野)などで努力の結果もついてこない状態』で期待に応えろという流れで無理強いすると、人生の主体性だけでなく自尊心・意欲・前向きさまで奪われてしまうリスクが出てくる。

『他者(親)に与えられた人生の押し付け』で主体性の欠如が起こると、回避性パーソナリティー障害の特徴として指摘される『他者への受動的な従属・他者の自衛的な回避・自己評価の低さ・自己無力感・自己アイデンティティー拡散』なども強まりやすくなる。

その結果、学校・仕事・対人関係などの社会生活状況でストレスに弱くなって、『煩わしくて面倒そうなこと・人から自分を判断されること』を事前に回避することで不安を和らげる行動パターンが固定されやすい。


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