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zoom RSS 境界性パーソナリティー障害(BPD)の『理想化・こきおろし』とM.クラインの妄想-分裂ポジション

<<   作成日時 : 2017/09/05 07:23   >>

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境界性パーソナリティー障害(BPD)の人に対する家族(周囲にいる人)の接し方は、『相手の激しい感情・気分・行動(自傷行為)に振り回されすぎないようにすること』『相手のペースに巻き込まれて自分のメンタルヘルスを悪化させたりネガティブな感情を持ったりしないこと』が基本になります。

境界性パーソナリティー障害(BPD)は、カール・ロジャーズのクライエント中心療法のような『傾聴・共感的な理解・無条件の受容』だけでは改善効果が薄いとされます。共感・傾聴はカウンセリングの基本として大切なのですが、すべてに賛成・共感して対人的な距離感を詰めすぎると逆に『退行的な依存や試し行動(挑発的行動)・愛情や承認にまつわる過度の要求』を引き出して余計に心理状態を悪化させたり、非難し合う感情的なぶつかり合いになりやすくなります。

境界性パーソナリティー障害に対する共感的・受容的なカウンセリングの難しさ:対人関係のトラブルを起こす要因

BPDの特徴の一つに『白黒思考(全か無か思想)・理想化と脱価値化(賞賛とこき下ろし)』があるように、共感的な理解や全面的な賛同で『この人は自分のすべてを受け止めてくれる』と思われ人間性を“理想化・賞賛”されてしまうと、その後で少しでもBPDの人が『冷たくされた・分かってくれなかった』などと思う期待はずれの反応があった時に、今度は“こきおろし・全否定”されてしまう恐れが強いのです。

BPDの人との心理的距離感を近づけすぎて、色々な要求を聞き入れて上げたり不平不満を常に共感的に傾聴する関係を作ってしまうと、『期待外れ(手のひら返しで裏切った・本心では自分を大切にしてくれていなかった)と思われないためのハードル』が格段に高くなってしまうという問題が出てきやすくなります。

他者に対する主観的な期待外れ(見捨てられた・裏切られたとの思い)からの『悲しみ・怒り・失望(絶望)・自己否定(自滅的行為)』が激しくなって、自分や周囲の他者を傷つけたり衝動的な逸脱行為・依存症的な行動をしやすいというのがBPDの特徴にもなっています。

こういったBPDの見捨てられ不安の強い依存的な特徴が生み出された根本原因は、発達早期に退行しやすい精神発達過程の障害と推測されていますが、ここでいう発達早期の具体的内容としては女性精神分析家メラニー・クライン『妄想-分裂ポジション』が引き合いに出されることが多くなっています。

メラニー・クラインは発達早期の乳児には『妄想-分裂ポジション』『抑うつポジション』という二つの発達段階(心的態勢)があると仮定しましたが、境界性パーソナリティー障害の人は他者を良い部分も悪い部分も持っている『全体対象(一人の多面性を持つ人間)』として認識することが難しい『妄想-分裂ポジション』に近いような発達段階に退行していると解釈することもできるわけです。

『妄想-分裂ポジション』では、乳児は母親を人格(良い部分と悪い部分)を持つ一人の人間(全体対象)としてまだ認識することができず、自分の欲求不満や空腹・寂しさをタイミングよく解消してくれる母親の良い部分を『良い乳房』、自分を空腹にさせたり寂しくさせたりしてなかなかやって来ない母親の悪い部分を『悪い乳房』として分裂(splitting)させています。良い乳房で満足させられて心地よい気分になりますが、悪い乳房には怒りや憎悪を抱いて攻撃しようとします。

『抑うつポジション』まで心的状態が発達すると、良い乳房と悪い乳房に分裂させて認識していた部分対象が、『母親という一人の人間(全体対象)』の一部であったことに気づき、自分に愛情を注いで世話をしてくれていた母親の部分を憎悪・攻撃していた自分を恥じたり罪悪感を感じて抑うつ的になるというわけです。こういった他者を一人の人間・人格(=全体対象)として認識可能になっていく精神発達のプロセスは、境界性パーソナリティー障害(BPD)の回復プロセスとも重なり合う部分があるように思われます。


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境界性パーソナリティー障害の人とどのように接すれば良いか?:共感・寄り添いの調整と自他の境界線
前記事はメラニー・クラインの精神分析的な理論の話になりましたが、境界性パーソナリティー障害(BPD)の人の激しい感情・衝動に巻き込まれ過ぎず、否定し過ぎずに対処するにはどうすれば良いかを考えてみます。BPDでは一般的に相手との心理的距離感が縮まって、何でも言える親しい関係になってきた時に、『怒り・悲しみ・寂しさ・空虚感(虚しさ)・不安感・恐怖感・絶望感・自己否定』などの激しい感情をぶつけてきやすくなります。 ...続きを見る
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2017/09/05 07:26

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