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zoom RSS 中学生・高校生の自殺問題1:日本の統計的な自殺の推移・自殺企図の危機的な精神状態

<<   作成日時 : 2017/07/23 12:23   >>

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21日に、愛知県犬山市内のマンション敷地内で、同市内の中学校に通う15歳の男子生徒が飛び降り自殺したことがニュースに出ていたが、少し前にも埼玉県の女子中学生がクラスで突然自分からテスト中の行為について謝罪した後に飛び降りた痛ましい自殺報道があったばかりであった。

2010年代に入ってから日本の統計情報としての自殺件数は減少傾向にあり、かつては年間3万人の自殺者がいることが自殺統計上の前提にされていたが、近年は3万人を大きく下回って推移している。自殺者がもっとも多かったのはバブル崩壊後の経済と家計(雇用・所得・家族を巡る人生設計)の混乱が続いた1998年で、3万2863人もの人たちが自殺したとされる。

2015年の自殺者は2万4025人で1998年と比べて1万人近く減少している。統計上で3万人を超えていたのは2011年の30651人が最後で、翌2012年には27858人へと減少、それ以降は3万人を超えた年はない。ただ自殺統計には『遺書のない自殺と見られる状況・死因の特定ができない変死の遺体』はカウントされず、『(安否不明・自殺する恐れもあった)長期の失踪者・行方不明者』も含まれないことから、『実際の自殺者』は統計に出てくるものよりもかなり多いという見方も以前からある。

自殺者の男女比率は、どの年度でも概ね男性7〜8割、女性2〜3割であり、過去の時代ほど男性比率が高くなっているが、近年は自殺の男女比は概ね『7:3』で推移していて、女性の社会進出や経済的な自己責任の増加(男性に扶養されにくく守られにくくなった・結婚後も男性雇用が不安定化し低賃金化した・高齢夫婦の老後破綻や介護問題など)が女性の自殺者増に一定の影響を与えた可能性が推測される。

年齢別の自殺者数を見れば、中学生・高校生といった10代の未成年者の自殺件数は500件前後であり、他のどの世代よりも自殺者の数そのものは少ない。基本的に自殺問題がもっとも深刻なのは『40〜70代の中高年の男性』であり、人生の抜本的な方向転換や強い痛みを伴う深刻な病気(心身が不自由になり家族の介助が追いつかなくなる障害)からの健康回復が難しくなる年代であることも影響して、『健康・経済・家庭の問題』によって自殺する人がかなり多くなっている。

中年者・高齢者の自殺問題も軽視して良いものでは当然ないが、500人前後の統計的には大きくない数字であっても、『10代の若者の自殺』というのは『これから先の長い人生・今ある苦しみや悩みがなくなる可能性・目的や夢を実現していき喜びも多い未来』をイメージさせるだけに、中高年の自殺よりも社会・人心に与える負のインパクトや悲観・悲哀の度合いが大きくなってしまう。

ただ未成年者の自殺件数そのものは、現代よりも戦前戦後のほうが多く、1940〜1950年代の10代の未成年の自殺率は10万人当たり10人を超えており(明治期・大正期も子供の人権保護の状況が悪くて虐待・体罰・いじめ・過酷な児童労働・親から切り離されての奉公も多かったので自殺率は現在よりもかなり高かった)、現在の10代の自殺率の二倍以上もあった。高度経済成長と子供の人権尊重によって、戦後は一貫して子供の自殺率は低下し続けていたが、バブル崩壊後に再び微増傾向を示していることが懸念されている。

中年者の自殺の原因は『経済・家庭・健康の問題』が多く、高齢者は『健康・経済・介護の問題』が多いが、学校を卒業した20〜30代の若年層では『仕事・人間関係・恋愛の悩み』が多くなりやすい。小学生の自殺というのもあるが数が少なく、10代の中学生・高校生の自殺の原因はやはり『学校の問題』がトップであり、それに『家庭の問題』が続いている。

中高生が自殺すると反射的に『いじめの有無』について報道され、『いじめられていたという話があったかなかったか・教職員やクラスメイトがいじめの事実を認識していたか否か』が掘り下げられる。

中高生の自殺の原因には学業不振・進路の悩み・家庭や虐待の問題・悲観主義や虚無主義もあるが、『学校の友達関係のトラブル・いじめの被害』が自殺の引き金になることも多い。ただし、小学生まで含めた子供の自殺原因のトップが必ずしもいじめなどの友人関係の問題であるというわけではなく、『学業不振・家族の叱責や虐待・家族関係の不和』のほうが原因としては多くなっている。

自殺の心理学では、人間が自殺を企図して実行してしまう時には、『死の恐怖(生の希望)』を上回る以下のような心理状態・条件が揃っているとされる。

そのうちの幾つかは、うつ病(気分障害)の症状とも重なっており、自殺の直接・間接の原因として精神疾患による精神運動抑制や衝動性・判断力低下も考えられる。

1.『心理的・身体的な苦痛』が耐え難いほどに強くなっており、この先もその苦痛が和らいだり無くなったりする希望を持つことができない。

2.『頼れる相手・相談できる場所・信頼できる関係』がなくて、自分ひとりで悩みや苦しみを抱え込んでしまい追い詰められている。

3.『職場・学校・家庭』に自分の居場所がないと感じていて、自分が誰からも必要とされておらず誰も自分を助けてくれないと思い込んでいる。

4.『思考力・判断力』が低下していたり『視野狭窄』になっていたりして、『今直面している悩み・苦しみ』から逃れる方法を自殺以外に考えられなくなっている。

5.『今の悩み・苦しみ・痛み』が今後もなくなることがなく、ずっと続くか悪化すると予測して絶望している。


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中学生・高校生の自殺問題2:“学校・家庭の世界”における視野狭窄・居場所喪失への支援対応
中学生・高校生の自殺問題の原因の多くは『学校の問題』であるが、具体的には『学業不振・進路(入試)の悩み・いじめを含む友人関係の悩み』に分類される。『学校の問題』に『家庭の問題』が加わると更に自殺リスクは高くなってしまうが、家族の問題というのは具体的には『親からの叱責や虐待・納得できない家庭環境や親子関係・家に居場所がないと感じる・親と何でも話せるような関係性がない』などになる。 ...続きを見る
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