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zoom RSS グリム童話『つぐみの髯の王さま』と女性の持つアニムスの働き2:アニムスと自立・孤独を巡る葛藤

<<   作成日時 : 2017/03/14 16:51   >>

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女性の持つアニムス(内的な男性像・男らしさ)の強度には非常に大きな個人差があるとされるが、アニムスが強い女性というのは男性主義から自立を成し遂げて大きな成功・活躍(中には歴史的功績の達成)をすることがある一方で、あまりに女性の内面にあるアニムスの影響力が強すぎると『他者を切断して自立するための孤独・能力』や『他者(男性)に寄り掛からない自由のための戦い・不安』で大きな苦労や負担を背負い込むことも多いだろう。

グリム童話『つぐみの髯の王さま』と女性の持つアニムスの働き1:美貌と自我と男性原理の切断

アニムスにほとんど気づかず影響されない女性というのは、女性の自立・自由という側面では客観的な抑圧は多いかもしれないが、『男性社会における適応・自分を愛する男性からの保護』によって、人によってはむしろアニムスの男性像・男らしさに刺激されないがために『守られる幸せ・受け容れる安心感』のようなものを得やすいことも多いだろう。

内的な男性像としてのアニムスだけでなく、外部の男性に投影して評価基準となる理想的な男性像としてのアニムスもこれが強すぎると、『どの男性も何かが足りない・自分を満足させられる男性がいない』という現実離れした選り好みや高望みに陥って、最終的に誰もパートナーにすることができなかったり、交際の途中で嫌な部分ばかりが目について別れてしまうことにもなりかねない。

アニマとアニムスに近づき過ぎることの危険性、理想の女性像と男性像の背後にある知らないほうが良い秘密・真実を伝える童話(昔話)としては、『鶴の恩返し』『雪女』『アモールとプシケー』などがあり、アニマとアニムスを直接見ないほうが良いとする訓話めいた童話には『異種婚姻譚(いしゅこんいんたん)』が多いという特徴がある。

ギリシャ神話『アモールとプシケー』は、美少女のプシケーが恐ろしい怪物とされる男アモールと結婚させられる物語である。結婚前には怪物との結婚を恐れて絶望して苦しんでいたプシケーだが、いざ結婚してみると朝早くでかけて夜遅くに帰って来る『自分に醜悪な姿を見せない怪物(アニムスを直視しなくても良い状況)』によって豪華な宮殿で至れり尽くせりの結婚生活を送ることができた。

しかし夫の怪物から『自分の姿を見る事』を禁じられていたにも関わらず、自分にここまで優しくしてくれる何でも思い通りになるように尽くしてくれる男の姿を見たいという誘惑にプシケーは耐えられない。姉たちからも怪物の姿を見るように唆されたりもして遂に禁止を破ってその姿を見てしまうのだが、姿を見られた夫の怪物はそのことを怒り恥じてその場から走って逃げだす、プシケーは完全な愛情と庇護を失って新たな苦難・自立の道を歩まざるを得なくなるのである。

『アモールとプシケー』のギリシャ神話の物語は、アニムスの本体を見たり知ったりすることができない夫の怪物と別れたことが、美少女プシケーにとって苦難の道の始まりなのか、新たな自立・出会いの道の始まりなのかの解釈は分かれるところだが……ユングは女性にとってのアニムスは女性を『自立・自由・挑戦』へと向かう苦難の道に誘うような働きがあり、その苦難の道のチャレンジを上手く達成することができれば『より高い自我・創造性・自立的な生』に辿り着けるとしている。

グリム童話『つぐみの髯の王さま』では、お姫様の結婚相手が王侯貴族なのか乞食なのか、父王なのか乞食なのかという『極端な二者択一性・二項対立性』がメタファーで強調されているが、アニムスはこういった極端な選択を強いる機能も持っているとされる。

お姫様は乞食との結婚生活を最初は嘆いて、もっと条件の良かった王侯貴族と結婚していれば良かったと過去を懐かしむのだが、やがて自分の行動で自分の生活を成り立たせるというアニムスの自立性、配偶者である乞食をサポートして一人前の男に育て上げるという母性性の発見に至る。『つぐみの髯の王さま』は女性の持つアニムスと母性性(利他愛・協力性)の不可思議ではあるがおよそ必然的な結合についても触れており、人生・自我の変容のあり方に示唆的な物語の構成になっているのである。


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