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zoom RSS ユングのアニマとアニムスの二元論:物語に見る親子関係(父娘)のコンプレックス

<<   作成日時 : 2017/03/14 16:45   >>

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カール・グスタフ・ユングは男女の性差に関する分析心理学の元型(アーキタイプ)として『アニマ』『アニムス』を提唱した。

アニマは男性の心の中にある女性像であり、アニムスは女性の心の中にある男性像であるが、これらは外部の他者に投影される『理想の異性像』として機能することもあれば、『自分の性別とは逆の性別の特徴(男なら女・女なら男の特徴)』として自己の内面や言動に無意識的に取り込まれることもある。

カール・グスタフ・ユングの外向性・内向性のタイプ論とライフスタイル:元型に見る二元論の思考法

男性の内面にある理想の異性像としてのアニマは、昔話・童話などで美しいお姫様・お嬢様の姿で描かれて、そういったアニマ的な女性と結婚するハッピーエンドの結末も多いが、男性の内面・言動に取り込まれるアニマとしては『優柔不断・感情的・調停的(争いの回避)・外見重視』などがある。

アニマがグレートマザーのような母親的・母性的な色彩を帯びることもあるが、その時には保護や甘やかしによって呑み込もうとする母性的な要素と自分が独立した男性人格として求めたい異性的な要素との切り離しが心理的な課題として浮かび上がりやすくなる。女性の心の中にある男性像であるアニムスについて、ユングは女性に男性的な『自己主張』をさせる機能として言及しており、それに対して男性側が持つアニマは主張ではなく女性的な『感情のムード』を作る機能として取り込まれやすいのだという。

女性の持つ内的な男性像であるアニムスが、女性の言動・生き方にどのような影響を与えることになるのかについて寓話化したものに、自分を大切に育てた父親との絆が深いファザーコンプレックスとも絡めたグリム童話『つぐみの髯(ひげ)の王さま』がある。『つぐみの髯の王さま』では、父親である国王とその一人娘のお姫様が登場するが、お姫様には母親がいないために、娘を可愛がって大切に育ててきた父の国王との絆は非常に深いものがある。

ファザコンの表象として『父と娘』、マザコンの表象として『母と息子』を物語に登場させるのは、現代では『母と娘の結びつきの強さ』や『父親の影が希薄な家庭(父親不在・父権衰退の現状)』もあって実際の親子仲とは結びつかないケースはあるかもしれない。

だがS.フロイトの異性の親に愛情・独占欲を覚えるエディプス・コンプレックスは、『内の家族から外の他者への欲望の転換(精神的去勢による自我・エロスの社会化)』が発達課題になっていて、現代でもそういった関係性や欲求のベクトルの外部(他者)への向け変えは『社会化・精神的自立』などを促進する役割がある。

『つぐみの髯の王さま』に出てくるお姫様は、桁外れの美人であるが気位が高くて傲慢な性格をしていて、自分と結婚したいとやってくるすべての求婚者を自分に相応しくないと拒絶していた。自分を完全に庇護して無償の愛を注いでくれる父親の国王の存在によって、『他の男性の価値』がほぼ無価値化されており、お姫様はファザーコンプレックス(母親不在でエディプス葛藤のない父親依存)によって、敢えて他の男性を選んで結婚・出産(母になる)をすることの意義を見いだせずにいるのである。

抜きん出た美貌に恵まれたお姫様は自己愛や自己評価も非常に強い。自分と人(男性)を惹きつける『美貌』を同一化することによって、自己愛や自己評価が高まり、並の男とは結婚するつもりはない、自分を可愛がってくれた父王以上の男性でないと結婚したくないという気持ちになっている。

中世時代の王国を想定した童話であるが、お姫様の父王よりもステータスや魅力のある男性と結婚したいという結婚願望は、そのまま近代社会の男女関係で増加した『上昇婚(ハイパーガミー)』の願望にも接続しているのである。


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グリム童話『つぐみの髯の王さま』と女性の持つアニムスの働き1:美貌と自我と男性原理の切断
グリム童話の『つぐみの髯の王さま』ではお姫様のアニムスとして『父親である国王』が機能しているのだが、ユングが自己主張・意思決定としてアニムスの影響が現れるというように『男性の選り好み(あるいはかぐや姫による無理難題のふっかけによる拒絶)』というのも視点を変えればアニムスの働きとして解釈することが可能だろう。 ...続きを見る
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2017/03/14 16:49

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