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zoom RSS カール・グスタフ・ユングの外向性・内向性のタイプ論とライフスタイル:元型に見る二元論の思考法

<<   作成日時 : 2017/03/03 05:23   >>

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分析心理学のカール・グスタフ・ユングは『タイプ論(性格理論)』で人間の性格傾向を大きく、自分の外部にある世界(人・モノ)にリビドーを向ける『外向性(extroversion)』と自分の内面の世界(思考・イメージ)にリビドーを向ける『内向性(introversion)』に分類した。

『外向性』と『内向性』の差は、リビドー(心的エネルギー)が自分の外側に向かっているのか内側に向かっているのかの違いだが、どちらかだけに完全に偏っている性格のタイプ(型)というものはなく、外向性と内向性のバランスによってその人の向性の傾向が決まってくる。

『外向性性格』では他者とのコミュニケーション(他者から認められること)や外部にあるモノなどに興味関心が向かいやすく、『内向性性格』では自分の内面世界にある思考・信念・想像・イメージなどに興味関心が向かいやすい。

外向性性格は実際に何かをやって成し遂げることや手に入れることを望み、他者がいなければ時間を持て余しやすく、一人で何かをしていても余り満足できない。反対に内向性性格は実際に何かをやらなくても読書・思索・想像などの静かな時間を望み、他者がいないならいないで自分一人でやりたいことが多く、一人で過ごす時間の満足度も高い。

自分の内面世界や一人の時間がまったく必要ないというほどの完全な外向性性格の人はまずいないし、外部世界の実際の活動や他者と一緒に過ごす時間がまったく必要ないというほどの完全な内向性性格の人もまずいない。

大多数の人は『どちらかといえば外向性性格(内向性性格)』という相対的な偏り(傾向性)を持っているだけで、外向性性格の人でも時には静かに一人の時間を楽しんだり物思いに耽りたいこともあるし、内向性性格の人でも時には誰かと一緒におしゃべりしたり遊んだりしたいこと(外部世界での欲求を強めること)もある。

他の動物と比較した人間の特殊性は、思考や感情、懐疑の主体としての『自我意識』を持つことだが、自我意識は必然的に『自分と他者』あるいは『内と外』を区別することになる。ユングのタイプ論(性格理論)も、人間の自我意識とリビドー(心的エネルギー)が生み出すもので、必然的に『自分・内側』『他者・外側』かの方向性の違いになって現れるのである。

ユングのタイプ論に基づいて自己分析すれば、自分がどちらかといえば『外向性性格』なのか『内向性性格』なのかが分かり、外界を把握する時に主に使われる機能である『思考・感覚・感情・直感』と組み合わせることでより的確に自分の性格傾向が分かるということになる。

ユングの性格理論であるタイプ論を実際にどのように用いれば役に立つのかは、端的には外向性と内向性の違いを知ることで、『自分に合った適応しやすいライフスタイル(ストレスが少なく充実感の得やすい生き方・時間の過ごし方)』が分かりやすくなるということがある。

外向性性格の人であれば、積極的(社交的)に他者・社会と関わって自分の存在価値や仕事の成果を誰かに認めてもらうような生き方が自分に合っていて適応しやすいライフスタイルとなる。

実際に行動して誰かとの関係を作ったり深めたり、何か目に見える客観的な成果や結果を出して認められたりということが、大きな生きがいになりやすいからである。他者からどう思われているか、実際に何ができて何を手に入れられるのかに意識が向きやすい外向性性格の人は、『他者との相互作用で作り上げる世界観と実際的(社会的)な活動・成果』が前提になっているのである。

反対に、外向性性格の人は自分一人で黙々と読書・ネットをしたり映画やドラマを見ていてもそれほどの充実感は感じにくく、逆に時間の無駄をしたというような後悔や無意味さを感じやすいのである。

内向性性格の人であれば、実際に他者・社会と関わる必要性は認めつつもワークライフ・バランスのように『適度に外部世界(他者)から離れて一人になってやりたいことをやる時間』を作っていくような生き方が自分に合っていて適応しやすいライフスタイルとなる。

他人から見て価値・意味がないようなことでも、誰にも邪魔されずに自分のやりたいことや知りたいことに静かに没頭できるということが、大きな生きがいになりやすいからである。自分が何を考えていて何を感じているのか、他者に干渉されずにやりたいことができるかに意識が向きやすい内向性性格の人は、『自分の思索・興味・価値観が作り上げる世界観と自由な探求心・感受性』が前提になっているのである。

反対に、内向性性格の人はいつも他人と一緒にいたり社会的環境で活動ばかりしていてもそれほどの充実感は感じにくく、逆に人・集団に合わせすぎたり忙しすぎたりして疲れ切ってしまったというような疲労感や限界を感じやすいのである。

ユングの分析心理学では『外向性−内向性』に限らず、『物事や価値の二面性(両極性)』を前提にした仮説理論が多くなっている。例えば元型(アーキタイプ)のグレートマザーやアニマ(アニムス)にしても『ポジティブな側面(保護する母親・理想的な女性像)』『ネガティブな側面(呑み込む母親・残酷な女性像)』の二面性が指摘されているのである。

日本の昔話にある『かぐや姫(竹取物語)』もアニマの一つであるが、輝くほどに美しい並ぶ者のいない絶世の美人という『ポジティブな側面』だけではなく、絶対に叶えることのできない無理なお願い事を貴公子たちに出して結局は誰とも結婚せず男には何も与えずに月の世界に帰っていくという『ネガティブな側面』も描かれている。

アニマ(男性の内面にある理想の女性像・女性的側面)とアニムス(女性の内面にある理想の男性像・男性的側面)の元型の二項対立図式の二元論がそもそもあるわけだが、アニマもアニムスも『依存・危険・破滅』の原因にもなり得るものである。そして元型(アーキタイプ)が投影された実際の男女関係では、『男にとっての女の謎』『女にとっての男の謎』が魅力・誘惑・耽溺にもなるし怒り・憎悪・別離にもなってしまうのである。

アニマとアニムスが投影された抜き差しならない『賭けのリスク』も伴う男女関係では、見栄・体裁や格好つけ(表面的な飾り立て)が効果を失うという意味で、相手や状況に合わせて作る自己像としての『ペルソナ(仮面)』の元型が壊されていく。アニマとアニムスを何もかも忘れて欲求し合うような男女関係では、『むき出しの自分自身の在り方・本音』が露出した中での相互作用が求められるシビアな一面もでてくる。

二元論的な思考の大本というか大前提になっているのは、人間固有の自我意識が必然に生み出す『外界と内界の区別』であり、この区別は人間の外側に無限に広がる『マクロコスモス(梵・ブラフマン・モノ)』と人間の内側に無限に広がる『ミクロコスモス(我・アートマン・魂)』の壮大な二元論の想像力(=壮大だが古代インドのウパニシャッド哲学・梵我一如や古代ギリシアの理知的な哲学にも既にその二元論の想像力の根があった)にまで広がっていくものである。


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