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zoom RSS 大人のADHDの増加と“中枢神経の情報伝達・遺伝・近代的環境”のADHDの原因論:2

<<   作成日時 : 2017/02/23 14:51   >>

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ADHDの歴史的な原点は20世紀半ばの『MBD(Minimal Brain Disorder:微細脳機能障害)』にあるが、現在では脳組織に微細な傷があるとか脳の器質的な異常・病変があるとかいう『器質的な原因(検査によって確認できる脳の物理的な病変や病因)』はないことがわかっている。ADHDや自閉症スペクトラムなどで軽度の脳波異常は見られるケースもあるようだが、大部分のケースでは脳の中枢神経系にMRIやCTなどで確認できる種類の異常・病変はない。

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ADHDの根本原因は遺伝要因か脳内の情報伝達の生理学的要因であり、ADHDに対して中枢神経刺激薬のメチルフェニデート(リタリン、コンサータ)を用いた薬物治療が行われて一定の改善効果が確認されていることから、『ドーパミン系・ノルアドレナリン系の神経伝達プロセスの機能低下(精神運動性を司る脳内のドーパミン系・ノルアドレナリン系の濃度低下)』がADHDの生物学的原因の一つとして推測されている。

ADHDではドーパミン系・ノルアドレナリン系の濃度が低下して脳内の神経伝達プロセスが阻害されることで、『注意力・集中力・遂行力・状況適応力・衝動抑制(セルフコントロール)』などが低下しやすくなっているとされるが、脳内の神経伝達物質はドーパミンにせよノルアドレナリン、セロトニンにせよその他の精神疾患の症状形成とも関係しているので、メチルフェニデートに効き目があるとしても、ADHDだけに特有の生理学的異常なのかははっきりしない部分が多い。

ADHDの発症原因には、胎児期(胎生期)における母体の薬物使用や中毒物質・劇毒物への接触なども関係するとされ、胎児期・新生児期の中枢神経系の形成プロセスの障害も指摘されているが、現段階では双生児研究における一卵性双生児のADHD有病の一致率の高さや家族歴の研究などから『遺伝要因』の影響もあるとされている。

ADHDの家族歴では両親や近しい親戚などにADHDを持つ人の割合が高く(家系・親族関係を調査するとADHDとアスペルガー障害などの発達障害の有病率が平均よりも高く)、双生児研究では同じような養育環境で育てられても二卵性双生児よりも一卵性双生児のほうがADHDを持つ一致率が有意に高くなっているのだという。

ADHDの平均的な有病率は小児期(幼児期・児童期)においては約5〜6%であり、約17人から20人に一人と考えるとやはり多いが、小児期から気づかれずに遷延したものを含めた大人(成人)のADHDの有病率も3〜4%で、(研究者によって数字の多少の変動はあるにせよ)かつて子供の疾患・発達障害と認識されていた時代の常識から考えると少なくはない数字になっている。

国際的に国ごとの大人のADHDの有病率を見ると、やはり『先進国で有病率が高くて途上国で低い傾向』があり、『昔ながらの農業国よりも工業国・先端産業の国(企業中心の経済・雇用労働の国)で高い傾向』がある。

このことはADHDやLD、自閉症スペクトラムなどの広義の発達障害が、現代文明(学校教育・企業労働・情報社会・知識経済・資本主義など)への適応能力と一定以上の相関を持っていることを示唆しているように感じられるが、最近になってADHDが急増した理由の一つに『前近代的な農業経済(コツコツ作業する第一次産業)・時間割に拘束されないライフスタイル・過度の集中力や注意力が求められる課題の少ない社会』ではADHDの症状が大きな問題になりにくかったこともあるのだろう。


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ADHDの不注意優勢型における注意力・集中力の障害と心理社会的ストレス(注意力のむら)
精神疾患全般の誘因として『心理社会的ストレス(原因論の素因ストレスモデル)』は作用するとされるが、大人のADHDが発見されるきっかけになるのも『思春期以降の社会的・職業的なストレス(就労困難・仕事がうまく遂行できない・集団関係に適応できない・一つの場所で集中できないなど)』が多くなっている。 ...続きを見る
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