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zoom RSS 大人のADHDの増加と現代で求められる知的学習・適応能力のハードル上昇:1

<<   作成日時 : 2017/02/23 14:50   >>

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発達障害の一つであるADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:注意欠如多動性障害)は、かつて小児期(児童期)・思春期に特有の『子供の発達障害』と考えられていたが現在は『大人のADHD』が問題になることも多い。

DSM-5からは『大人(成人期)のADHD・ADD』が存在することを前提にして診断基準が策定されており、ADHDの発症年齢もかつての7歳以下から12歳以下に引き上げられて、小学校高学年くらいの年代で初めて発症するケースが想定されるようになった。ADD(Attention Deficit Disorder)というのはADHDから“Hyperactivity(多動・過活動)”を除いた不注意(注意障害)をメインとする発達障害である。

大人(成人期)のADHDといっても厳密には『大人になってから初めて発症するADHD・ADD』というのはDSMでは想定されておらず、『子供時代(12歳以下)で発症していたものが気づかれずに遷延し大人になって不適応・困難の問題が出てきたケース』が前提になっている。

ADHDをはじめとする発達障害は1990年代後半から増加を始め、近年特に他の精神疾患と比べても増加率が高いとされるが、最近になって突然発症率が高まったというよりも、過去に類似の症状や困難を抱えて悩んでいる人はいたが医学的に診断すべき障害として認知されていなかったという理由が大きいのだろう。

発達障害の人自身が困っていても受診・診断の動機づけがなかったり、発達障害の概念・知識そのものが医師にもほとんど普及していなかったため、集中(遂行)できない注意散漫や落ち着かない多動、セルフコントロールしづらい衝動性などがあっても本人の性格傾向(生得的・学習的な欠点の一つで医学では対処困難なもの)として解釈されやすかった。

ADHDやADDの根本的原因は今でも不明であり、自閉症スペクトラムなど他の発達障害と同じく、こうすればADHDで困難や問題になっている症状が短期間で良くなるというような決定的な治療法もないが、早期発見(早期診断)による段階的な療育・心理教育・自己洞察などによって、『自分らしい状況適応・能力発揮の仕方(できそうな仕事・参加しやすい集団・やりやすい作業など)』に目処がつきやすくなるという利点はある。

ADHDの患者が21世紀に入ってから急増した背景には『精神科医・神経科医の発達障害関連の知見・認識の高まり(発達臨床精神医学の観点からの医師・患者双方の発達障害の意識化と診断されやすさ)』があるが、それと併せて『現代社会で健常者(普通の発達を遂げた人)に求められる適応能力・遂行能力・対人能力(コミュニケーション能力)のハードルの上昇』も影響しているだろう。

ADHDに関連するとされる遺伝子レベルの要因は、人類の歴史を遡れば元々は病気や障害につながるだけの不適応なものではなく、遊牧民族(ノマド)などに多く見られたもので、『移住生活における高い活動性・外的状況の変化に合わせた注意力の移り変わり・反射的な狩猟や戦闘への適応能力・自然環境でのサバイバルに役立つ運動神経』を発現するメリットもあったのではないかという仮説もある。

一つの場所(部屋のデスク)でじっと落ち着いて過ごすとか、身体を動かさずに物事やテキストに集中して頭だけで学習するとか、反射的に動かずに自己制御して我慢するとかいう、『近現代的な勉強・授業・労働』につながるライフスタイルとその適応能力は歴史は浅く、むしろ人類全体の今までの歴史プロセスでは一般的なものとまではいえず、特異的・近代文明的なものだという見方も成り立つからである。

大人のADHD(注意欠如多動性障害)と過去の記録に残るADHD

『時代・環境・条件・目的』が変われば『不注意・多動(過活動)・衝動性』に代表されるADHDの症状とされる行動・意識の特徴が逆に適応的になって役立つ可能性もあるというわけである。とはいえ、現代の一般的な学習・労働・社会参加・対人関係への適応においては、ADHDの人は落ち着けず不利になったり、仕事(コミュニケーション・業務遂行)の支障になってしまいやすいので『発達障害』の一つとして分類されることになってしまう。


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大人のADHDの増加と“中枢神経の情報伝達・遺伝・近代的環境”のADHDの原因論:2
ADHDの歴史的な原点は20世紀半ばの『MBD(Minimal Brain Disorder:微細脳機能障害)』にあるが、現在では脳組織に微細な傷があるとか脳の器質的な異常・病変があるとかいう『器質的な原因(検査によって確認できる脳の物理的な病変や病因)』はないことがわかっている。ADHDや自閉症スペクトラムなどで軽度の脳波異常は見られるケースもあるようだが、大部分のケースでは脳の中枢神経系にMRIやCTなどで確認できる種類の異常・病変はない。 ...続きを見る
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