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zoom RSS ブラック企業問題の増加と会社の共同体性・仲間意識の衰退2:ワーク・ライフバランスの意識

<<   作成日時 : 2016/12/24 01:45   >>

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ブラック企業問題が社会問題化した背景にあるのは、『日本型経営(終身雇用・年功賃金・家族主義)の崩壊・非正規雇用の増加』『社員(公務員)の意識の個人主義の方向への変化・プライベート重視とストレス耐性の低下』である。その結果として、『会社(勤め先)と仕事が第一という自己犠牲ありきの仕事至上主義,会社(勤め先)の不正や理不尽に対して厳しく批判しない甘い対応』が揺らぎやすくなったと言える。

ブラック企業問題の増加と日本型経営・家族主義の衰退1:長時間労働の主観的苦痛の増大

日本型経営(終身雇用・年功賃金・家族主義)の崩壊は、どんなにプライベートや自分の自由・権利を犠牲にして会社のために滅私奉公しても、会社が必ずしも最後まで自分や家族の経済生活を保障してくれるわけではなくなったことを意味しており、『心身の健康を壊さない程度・私生活も楽しめる程度』に働きたいという人の割合が増加している。

非自発的な非正規雇用の増加も、自分自身が会社からいつ切り捨てられるか分からない将来の保障も高額の給与もほとんどない雇用形態なので、『会社に対する帰属感・同僚に対する仲間意識・職場の居心地の良さ・雇用待遇に対する満足度』はかなり限定的になり、そこまで理不尽な待遇に耐えようとは思いにくくなる。

長時間労働やパワハラは是正されるべき問題ではあるが、それと同時にハードな労働条件・精神的圧迫に納得して働けるだけの『雇用形態・給与待遇・福利厚生・良好な人間関係』が減っていて、会社や上司・同僚が自分の健康・人生・やりがいに本気で配慮してくれているようには感じないから『運命共同体的な帰属感・奉仕意欲(貢献意欲)』も必然的に抱きにくくなる。

そういった不本意ながら我慢して働いている、嫌々ながら職場にいて長時間労働に従事しているという状況になると、『ストレス耐性の低下』が起こりやすくなり、そこにパワハラや過剰な仕事の要求水準・ノルマが重なると人間は簡単にメンタルヘルスを崩して、『うつ病・適応障害・全般性不安障害・パニック障害・社会不安障害』などの精神疾患を発症してしまうことさえあるのである。

会社や仕事が人生で第一の価値を持つという考え方も衰えてきて、『社員(公務員)の意識の個人主義の方向への変化』も、ブラック企業問題の深刻化に関係している。会社員であってもワーク・ライフバランスやプライベートを重視する人の割合が増えていて、かつてのように会社(職場)を擬似的な家のように思い込める人は減って、『仕事・給料のために決まった時間だけ滞在する場所(仕事でないのであれば社員旅行・飲み会などもあまり行きたくないとか同僚=仲間というわけではない)』という認識も増えている。

電通の自殺してしまった東大卒の女性社員のように、知性・能力・所得が高くて仕事に対する前向きな意欲もあり、人並み以上に努力できる人材であっても、メンタルヘルスを大きく悪化させて抑うつ状態や自己否定の心理に落ち込んでしまうリスクもある。

そういった人は『苦労して就職した会社・全力で頑張っている仕事』が自己アイデンティティーや自己価値の中心を占める状態になっていて、『会社・仕事から絶対に逃げられない(逃げたら自分の人生や将来の可能性が閉ざされる)という背水の陣』を無意識的に敷くことによって、生きるか死ぬかの所にまで追い込まれやすくなってしまう。

自分の心身の限界を超えた仕事の要請(長時間労働)や異常なパワハラの圧力・叱責がいくらあっても、『逃げる・辞める・休むという選択肢』をはじめから絶対に自分に許していないことによって、ギリギリまで追い詰められれば『視野狭窄・思考停止・体調悪化』にならざるを得ない。

この今の仕事から逃げれば生きていくことができない(ここで勤まらなければ他に自分ができるような仕事などない)というほどの『極度の視野狭窄』に陥ると、どんなに限界まで追い込まれても逃げ場がなくなっているわけで、その結果、自殺を含む極端な逸脱行動やうつ病などの心身の病気を発症しやすくなるのである。

『ブラック企業』というとずさんな労務管理や遵法精神の軽視の問題がイメージされやすいのだが、その本質は『会社が社員(従業員)を大切にしなくなったこと+会社が社員の心身の健康や将来の人生設計に配慮せずむしろ壊していること』であり、そういった会社や上司に対して『社員(従業員)の側のストレスの原因となる不信感・被害感・不適応感(居心地の悪さ)・敵対心』が高まりやすくなっているのである。

会社(勤め先)が運命共同体や自分の居場所として機能しづらくなっており、一緒に働いている上司・同僚との『仲間意識・連帯感』も感じにくくなっていることで(個人主義・プライベート重視で会社から早く帰りたい人が増えていることで)、ブラック企業の『長時間労働・パワハラ・過大なストレス』は余計に深刻な心身の健康被害や自殺念慮を引き起こしやすくなってしまう。

心理的・経済的・アイデンティティー的に逃げ場を無くしている人が、ブラック企業の過酷な勤務条件や悪質なハラスメントによって追い込まれやすくなるが、近年のブラック企業は人手不足や若者の人口減少もあって『辞めたいという人を強制的に辞めさせない・アルバイトでも社員並みの仕事をさせたり時間拘束をしたりするという問題』も新たに増えてきているようである。


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