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zoom RSS 日露首脳会談の成果は共同経済活動・元島民の自由往来が中心に2:安倍首相とプーチン大統領の認識

<<   作成日時 : 2016/12/17 16:27   >>

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今回の首脳会談に際して、プーチン大統領が1956年の日ソ共同宣言を『平和条約の基礎となるルール』と位置づけていることは、『条件交渉による二島返還の実現可能性』と『ロシア固有の領土の前提による四島返還の困難性』を示唆している。日本人の元島民の人々の平均年齢が80代になっており、北方領土返還交渉は元島民の人が島に帰れる条件整備という意味では時間切れに近づいているが、四島の返還は難しくても『元島民の自由往来の拡大(ビザなし渡航の条件緩和)』で合意できたのは大きな前進だろう。

日露首脳会談の成果は共同経済活動・元島民の自由往来が中心に1:北方領土問題の歴史

北方四島がロシア(旧ソ連)に実効支配されてから約70年以上の歳月が経ち、北方領土が日本固有の領土であるとしても、半世紀以上を北方四島で過ごしたロシア人たちにとってもこの島がある種の故郷になってしまっていて、今すぐに日本に返還
して退去をお願いすることなどは不可能だろう。

日本にとって最善のプランは、期限つきで北方四島を返還してもらって段階的に主権・施政権を日本に移譲してもらうことだが、ロシア人も既に北方四島に移住してきた人たちの子孫に当たる2世、3世が島の社会・経済・文化の中心になってきており、返還されたとしても日本人とロシア人が相互理解を深めながら共生する島にするしかないように思う。

日本人で北方領土に移住したいという人も、元住民や北海道の沿岸部に住んでいる人、漁業をしたい人などに限られると推測される。予測される日本人の移住者の少なさからも、北方四島の経済・社会・インフラを維持する上でも、現在長年住んでいるロシア人たちにも経済活動や社会構築に協力してもらうしかないということになる。

ロシアのプーチン大統領が求める『平和条約の締結・日露関係の完全な正常化』というのは、日本にとってももちろんウェルカムな話なのだが、『領土問題の解決の見通し』が立たないと『北方四島の現状のロシアの領有権・主権』を日本が追認したと見なされかねないということから日本側が平和条約締結をどうしても遠ざけることになってしまう。

日本がロシアに対して平和状態を破って戦争を仕掛けることなどほぼ有り得ない事態であるし(北方四島にしても武力で奪還すべきというような国内世論はほぼ皆無である)、安倍氏とプーチン氏の首脳間の人間関係も良好なのだが、『過去の戦争の歴史・北方四島の領土問題』において本来は何もしなくても平和状態がデフォルトになっている今の日露間に『平和友好条約』が結べないというのは不幸なことだと思う。

領土問題の完全な解決にこだわれば事態は全く進展しないという現実主義で安倍首相とプーチン大統領は認識が一致している。プーチン大統領は同じやり取りを繰り返すだけの形式的な交渉をピンポンに例えて、ピンポンはもうやめようという発言をしているが、暫時的に領土交渉に代わる案として出てきたのが『北方四島での共同経済活動』である。

両首脳はこの共同経済活動を『平和条約締結に向けた重要な一歩』としているが、ロシアの主権の強さを意識させづらい特別な制度下において漁業、養殖、観光、インフラ、資源、医療などの共同経済活動を行うことによって、北方四島のロシア人の島民に対して日本国・日本人の親近感や好印象を与えることができ、中長期の信頼関係の醸成(仮に返還される場合の抵抗感を弱める)にも役立てられる可能性がある。

今まで北方四島の返還交渉では、日本は『北風と太陽』の寓話で言えば、ロシアの経済・政治・社会が低迷して困れば経済支援で島を返してくれるのではないか、それまでは絶対に平和条約締結に応じる構えは見せないぞという『北風戦略・北風の思惑』でやってきたのだが、今回の安倍・プーチンの首脳会談では今までとは趣きを変えてWin-Winの信頼関係醸成を狙う『太陽戦略・太陽の思惑』にシフトしてきたのは興味深い変化だと思う。

確かに、日本が約3000億円の資金と技術と人材だけを出して、共同経済活動で得られた利益の多くをロシアに吸い取られるリスクとか、いくら共同経済活動を通して民間レベルの好感度や信頼感が高まっても国レベルの領土返還交渉には大きな影響を与えられない問題とかはあるのだが、今までのピンポンを続けて何も話が進展しないよりかは『共同経済活動+元島民の自由往来の拡大』の成果を上げたことは無駄ではなかったと思う。

ロシアはクリミア半島の一方的な編入と軍事進出によって、国際社会から侵略行為に等しいと厳しく非難され、現在も欧米と日本から経済制裁を受け続けているのだが(更に石油価格下落でロシア経済は低迷を続けているのだが)、そんな状況にあっても日本に訪問して真摯に語り合う姿勢を見せてくれた(共同経済活動で一定の利益は得られるだろうが、日本に制裁解除の圧力を直接かけたわけでもない)プーチン大統領の器量もなかなかのものだった。

集団安全保障の観点から、中国とも近しいロシアに日本が過剰に接近し過ぎれば、アメリカとEU諸国が牽制してくることになるが、領土問題の解決と平和条約の締結の同時進行の困難化を見て取った安倍首相とプーチン大統領が『領土問題解決を否定しない共同経済活動の案』を出してきたことは、『停滞せずに進もうとする日露関係』として評価できるのではないだろうか。

アメリカの次期大統領であるドナルド・トランプ氏もロシアのプーチン大統領との友好関係を深めたいと表明していることから、国際情勢・集団安保の環境も昔のような『アメリカ・EU』と『ロシア・中国』が向き合って勢力を二分するという図式に変化が強いられるのかもしれない。


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