カウンセリングルーム:Es Discovery

アクセスカウンタ

help RSS “人間関係の親密さ・本音の交流”を促進するプロセスとカウンセリングの気づきの現実への応用:2

<<   作成日時 : 2011/11/18 15:44   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

前回の記事の続きですが、相手に対する親密さや関心、好意を込めて“まなざし(視線)”を相手に向けるという行為には、『相手に対する本当の興味+その関係性への集中』が必要になります。そういった真実の相手に対する関心と集中力がなければ、『まなざし(視線)の持つ感情交流の作用』が弱くなってしまい、本当に他人と向き合って相手の目を見るという非言語的コミュニケーションは成立しないという難しさがあります。

つまり、対人的なコミュニケーション場面において、絶えず顔を伏せて相手を全く見ようとしないとか、恐る恐る盗み見るように相手の目を遠慮して見るとか、相手の目や顔を見ていてもその視線が形式的(儀礼的)なものであることが余りにも分かりやすいとかいう場合には、視線を合わせることによる『親密さ・好意・信頼感の確認』がしづらくなり、親しい人間関係への発展も起こりにくくなります。

こういった視線やまなざしによる非言語的コミュニケーションの内容は、文章表現では抽象的にも思えるのですが、実際の現実的な人間関係においては『自分が一人の人間(仲間)として尊重されているか・自分に対する本当の関心や好意があるか・継続的な人間関係へ移行したいと感じているか・ただの儀礼的なやり取りなのか』というのは、自分と相手との視線の交わし方によって概ね直観的に推測されるし、その推測は相互に共有されていることも多いのです。

優しいまなざしや安心できる視線、自分への好意や興味を感じる目線というのは、経験的には誰もが感じ取った事のあるものでもありますが、『人間関係の親密さが高まっていくプロセス・お互いのことをより深く知ろうとするプロセス』においては、自然に心地よく視線を交わしやすくなり、親しい人間関係になると相手の気持ち・気分を視線や表情から概ね正しく推測できるようにもなります。人間関係に対する苦手意識として、『他人と視線を合わせると緊張してしまう・目線を合わせられずに声が小さくなる』という悩みがありますが、相手を本当に見て人間関係のプロセスを深めていく場合には、『内向的な自意識への集中・他人の内面心理を深読みする認知』が障害になることも多くなります。

体験的なグループセラピー(集団療法)でも、自分自身の自我・内面への過度のこだわりを弱めて、他者への本当の関心や思いを強めてその相手を見てみることで、対人関係での緊張や否定感情を減らす“肯定的・感覚的な気づき”が得られることがあります。自然にまなざしや言葉を交わし合える関係を共有する経験によって、『人間関係の親密さ・信頼感の進展に必要な感覚・姿勢』に気づけるということですが、これは支持的療法のカウンセリングや集団療法のエンカウンターで得られるメリットの一つ(=バディ効果と呼ばれる効果)でもあります。

エンカウンター(encounter)というのは直接には『他者との出会い』という意味ですが、複数人で構成するグループの中でお互いの存在を受容する“本音と本音の交流”を通して、自己洞察や問題解決を促進するという集団療法のことを指しています。エンカウンターあるいはエンカウンターグループ(Tグループ)と呼ばれるこの集団療法の技法は、カール・ロジャーズによって開発されたものであり、元々はその集団で話し合うテーマを定めない『非構成的エンカウンター』として始まりましたが、その後は國分康孝の提唱した事前に話し合うテーマ・課題を決めてから実施する『構成的エンカウンター』も広まりました。

複数の参加者で行う“エンカウンターグループ”では、『共感的・相互受容的な人間関係のプロセス』を正にその場でリアルに体験して感じることそのものが、作用機序として想定されているわけですが、エンカウンターの人間関係(出会い)と現実の人間関係及び社会集団との違いは、『傷つけられるリスクが極めて小さい準備された安全な集団であること』『エンカウンターにおける人間関係が実際の親密な関係のような持続性(その外部での継続性)を持たないこと』にあります。

このエンカウンターグループと現実の人間関係(社会集団)との違いの指摘は、概ね一般的なカウンセリングと現実の問題状況との違いにも当てはまるのですが、カウンセリングの効果や体験を現実の人間関係にも応用するためには、『特定の限られた人間関係のプロセス(カウンセリングで上手くいったり新たな気づきが得られた体験)』を、それ以外の状況や場面にも般化させていくための試行錯誤が必要になってきます。支持的カウンセリングやエンカウンターグループでは、自分を否定(非難)されない準備された環境での体験を通して『役立ちそうな気づき・気分の改善の実感・認知の修正の確信』を得ることができますが、そういった効果を現実の人間関係や社会集団で活かしていけるかどうかは、その後の試行錯誤的な応用と自助的なアフターフォロー(セルフヘルプ)が関係してくることになります。

社会心理学では『集団』について以下の4つの定義をしていますが、カウンセリングや集団療法(エンカウンター)で得られた『人間関係や社会集団に対する適応の実感・気づき』を実際に自分の人生や関係に応用していくという点では、“4”の持続的な関係性・集団活動への『自然な適応感(自分の居場所があるという感覚)』が非常に重要になってくると思います。

1.複数の人々によって構成されている。

2.構成している人々が相互に知り合いであり、相互作用を与え合う関係性がある。

3.構成している人々の間に共通の目標や話題(興味関心)、活動(仕事)などがあり、それらの人々が集まる理由がある。

4.複数の人々が集まっている状態に時間的な持続性(継続性)がある。

カウンセリングなどの心理臨床では、人間関係や集団適応の問題を『各時期(各発達段階)の時間の枠組み』で切り取ってそれぞれの時期の意味や解釈を考えがちにはなりますが、クライエント自身にとっては『連続的な持続する時間の流れ』をその場その場で体験していかなければならないダイナミクスこそが現実であり、その現実に実際的に対処できるような“経験的・認知的な方策”のほうが大切になってきます。社会適応の促進や対人スキルの習得といった個別的テーマにおいても、その場で1回だけ成功すれば問題が解決するわけではないので、『時間的な持続性・継続性(1回だけ終わるわけではない課題・状況)』に対する適応力や応用力の自信を体験的に高めていかなければならない部分があります。






■関連URI
“人間関係の親密さ・本音の交流”を促進するプロセスと視線を合わせる行為の社会的意味:1

リラックスした対人関係を生み出す“ペーシング”と“姿勢反響”:お互いの動作を合わせる効果

ひきこもりに対する“システムズ・アプローチ”と“心的成長・転機を期待する意味論の視点”:2

“親密過ぎる関係”では、なぜコミュニケーション頻度が下がるのか?:異性関係の慣れと新鮮さ

■書籍紹介

社会と人間関係の心理学 (心理学入門コース 5)
岩波書店
松井 豊

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 社会と人間関係の心理学 (心理学入門コース 5) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
人間関係の悩みと“他者の愛情・承認”を求める普遍的な欲求4:非指示的カウンセリングと自己開示
自分の感情的な呼びかけ(話しかけ)に対して、適切に望むような形で応答して欲しいという『応答可能性に対する欲求』は親和欲求や愛情欲求として括られることもあるが、人間にとって相当に本質的かつ不可避的な欲求であり、『対人関係(家族関係・異性関係・友人関係)のトラブル』の多くも、応答可能性が断絶したり全く望んでいない反応が返ってくることによって起こるのである。 ...続きを見る
カウンセリングルーム:Es Discov...
2012/05/18 12:08

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コンテンツ&本の紹介

Es Discovery's Encyclopedia(百科事典的なアーカイブ)

ESD ブックストア(インスタントストアで色々なジャンルの本を紹介しています!)

心理学の事典や臨床心理学の概説書

S.フロイトとC.G.ユングの書籍
ブログアーカイヴ
2005年
3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2006年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2007年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2008年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2009年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2010年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
“人間関係の親密さ・本音の交流”を促進するプロセスとカウンセリングの気づきの現実への応用:2 カウンセリングルーム:Es Discovery/BIGLOBEウェブリブログ