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help RSS 自転車は車道を走るべきか歩道を走るべきか?1:統計的な自転車事故数の推移とマスメディアの情報

<<   作成日時 : 2011/11/07 06:11   >>

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近年、テレビ・新聞で自転車事故(死傷事故)や自転車運転のマナー違反、ルール違反を取り上げる頻度が増えていて、ウェブでも自転車事故やその安全対策に関する議論を時折見かけることがある。警察も自転車の交通違反は厳しく取り締まらないという従来の方針を改めて、自転車を道交法の規定通りに『軽車両』と認定し、信号無視・標識違反・携帯操作(音楽視聴)をしながらの運転などの法律違反を摘発するという方針を出している。今までは『自転車の歩道走行』が容認されており、どちらかというと危険な車道よりも歩道を走ることが当たり前という風潮さえあったのだが、自転車は“歩行者の仲間”ではなく“車の仲間”であるとして『原則車道通行』を徹底するともしている。

この『自転車の事故・ルール・マナーに関する報道や広報』の急激な増加を受けて、世論もルール・マナーに反する危険な自転車運転に対して不満を高めているようで、一部では自転車運転の法律違反に対する厳格な取締りを求める意見もある。特に、日常生活の中で自分や子どもが“歩行者”として歩道を歩いている時に、マナー違反の“自転車”から危険な目に遭わされた人や不快な思いをさせられた人は、自転車運転のルール違反に対して厳しい対応を望みやすくなっている。

一方で、自転車の事故やマナー、危険に関する“集中的な報道(広報)・啓発キャンペーン”が展開されてはいるものの、統計的には自転車事故が目立って増えているわけではなく、自転車事故(自動車対自転車)の死傷者数も増えてはいない。ただ歩行者が死傷する事故の絶対数は少ないものの、『自転車対歩行者』の自転車事故の死傷者数(歩行者が怪我をしたり死亡したりする事故)が微増傾向を示しており、このデータが自転車の安全対策強化や規制・取締り強化の必要性の根拠とされることがある。

もしくは、『ゼロリスク(交通事故死傷者0人の交通安全)に近づける目標』という観点から、事故や死傷者数が増えてはいなくても多くの人が死傷しているのだから、ゼロに近づくまで安全対策や規制・取締りを強化したり交通安全キャンペーンを行う必要性があるという立場もあるかもしれない。

自転車事故の発生件数・事故全体に占める比率・死亡事故数

平成12年(2000年) 173,876件 18.7% 984件

平成13年(2001年) 175,223件 18.5% 992件

平成14年(2002年) 178,289件 19.0% 991件

平成15年(2003年) 181,845件 19.2% 973件

平成16年(2004年) 187,980件 19.7% 859件

平成17年(2005年) 183,653件 19.7% 846件

平成18年(2006年) 174,262件 19.6% 812件

平成19年(2007年) 171,018件 20.5% 745件

平成20年(2008年) 162,525件 21.2% 717件

平成21年(2009年) 156,373件 21.2% 695件

平成22年(2010年) 151,626件 20.9% 658件

平成12年から平成22年にかけての自転車事故件数は、約17万件から約15万件へと1割程度減少しており、自転車事故の死者数も約1000人から約700人にまで減少している。自転車事故そのものは自転車の保有台数が増えていることを考えても、増えるよりも微減傾向を顕著に示していると言える。車も含めた交通事故の死亡者数にしても、ここ10年で飲酒運転の徹底的な取締り・厳罰化、落ち度の大きな危険運転による交通死亡事故の厳罰化(1年以上の有期懲役となる危険運転致死傷罪の創設)の影響もあって、約9000人から5000人を切る水準にまで大きく減少している。

歩行者に対する自転車事故が増えているという話もあるが、平成22年の統計では151,626件の自転車事故のうち『対自動車84.0%・対バイク6.3%・自転車相互2.5%・自転車単独2.4%・対歩行者1.8%』となっており、9割以上は自動車・バイクとの事故で自転車の運転者のほうが死傷している事故が殆どである。

自動車の危険運転やマナー違反、法律違反では『歩行者に対する自転車の危険性・死傷事故』が問題視されることが多いが、比率的にも絶対数的にも歩行者が自転車によって怪我をさせられたり死亡する事故というのは少ないとは言えるように思う。ただし、マナー違反の運転をする自転車を、迷惑に感じたり危ないと思ってヒヤリとする体験などは統計には当然含まれていないので、こういった『心理的な迷惑感・危険感・不快感』は別途考慮する必要がある。最近、批判されている自転車のマナー違反やルール無視の多くも、迷惑・不快・恐怖(ヒヤリとする危険)を感じる『心理的要因』に強く相関していると思われる。

マスメディアも統計的な数字については虚偽の情報を流すことは出来ないので『自転車事故の発生件数が増加している』とは言わずに、『全交通事故に占める自転車事故の比率が2割にまで高まっている(自動車事故の減少の影響で自転車事故の比率が高まっているのだが実際にはこのことには触れない記事が多い)』という伝え方をしている事が多い。しかし、事故全体に占める比率の増大の問題であるのに、新聞記事のタイトルに『自転車事故が過去最悪のペース・自転車事故の安全対策が急務の状況』といった表現が出ていたりもする。そのため、読者が自転車事故そのものが増えていたり、最近になって自転車のルール違反が急増しているようにミスリーディングされやすいという問題はある。

『交通事故・交通安全の捉え方』には大きく分ければ、事故件数の増減と関わり無く交通事故・危険運転(交通ルール及びマナーの違反)が無くなるように安全対策を強化し続けるべきという捉え方と、事故件数が減少傾向を見せていれば人員・財政コストをかけてまで安全対策や問題啓発をしなくても良いという捉え方がある。

マスメディア・警察が、自転車事故の安全対策や規制(取締り)強化をキャンペーン的に訴えている背景には、『行政・警察の仕事を新たに作る(自動車事故減少を受けて交通関連行政の仕事が減らないようにする)』という意図も潜在的には働いているかもしれないし、自転車の安全対策として出されることのある『自転車の免許制度(教育研修制度)・自転車専用レーンの道路建設』などが政策になれば相当に大きな利権(固定収入)や公共事業を生むと予測される。






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