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赤ちゃんの顔認識機能の発達プロセスについては、生後二ヶ月未満の赤ちゃんが持っている本能的な顔認識システムとしての『コンスペック』と、生後二ヶ月以降に発達してくる学習的なシステムである『コンラーン』とが区別されています。コンラーンが形成される生後2ヶ月頃から大脳皮質の活動が開始されますが、過去の記憶情報を元に人の顔を区別できるようになるコンラーンが発達してくると、自分の好きな母親・養育者を見て笑うという『社会的微笑』が起こりやすくなります。 コンスペック(conspec)……生まれてすぐの新生児も持っている『人間の顔の基本的な構造』を認識するための本能的な顔認識システム。『人の顔らしきもの』と『人の顔ではないもの』を大まかに弁別する。感覚運動的な反射に近い。 コンラーン(conlern)……生後2ヶ月目以降に発達してくる過去の経験を参考にした『人間の顔と顔の違い』を認識するための学習的な顔認識システム。『母親の顔』と『母親ではない顔』を大まかに弁別する。母親の顔の特徴を覚えて好むという選択的認知である。 人間の顔だちを弁別するコンラーンの顔認識システムは、生後2ヶ月目以降にも発達していき、生後4ヶ月で母親以外の個人の顔も弁別できるほどの機能を持つようになり、生後5ヶ月になると『動きのあるリアルな顔』をより選好して注視するようになります。赤ちゃんは『人の顔らしさ・身近にいる親の顔』を好んで注視するという特徴を持っていますが、このコンスペックやコンラーンの顔認識システムの機能の発達が、『対人関係の拡張・相互的なコミュニケーション』の動機づけにもつながっていきます。 赤ちゃんの『人の顔認識の発達』は、母親との愛着を深めて、他者とのコミュニケーション機会を増大させていきます。人の顔を視覚的に認識したり選好したりする能力は、他者と共に生きる『社会環境・対人関係への適応性』の基盤になると考えることができます。それでは、赤ちゃんの『モノの認識の発達』はどのようなプロセスで進んでいくのでしょうか。 発達心理学者のジャン・ピアジェ(J.Piaget, 1896-1980)は人間の認知能力の発達を、以下のような思考発達理論(認知発達理論)にまとめましたが、赤ちゃんが『モノの実在性(対象の永続性)』や『自己とモノ(対象)の区別』を理解できるようになるのは、自己中心性(自他の未分離)を離脱し始める1歳半〜2歳頃の時期である。 J.ピアジェの思考発達理論(認知発達理論) ピアジェの思考発達の段階説には以下の4つの時期(period)があり、この4つの時期のプロセスを経て自己と他者(対象)を区別できるようになり、内面と外界とのバランスを維持する『同化・調節の均衡化』が進められていきます。 1.感覚運動期(sensory−moter period,0〜2歳)……自己と他者の区別が未分離な自己中心性の状態にあり、モノ(対象)の認知を感覚・運動に頼って体感的に行っているので、自分が見たり触ったりできる範囲でしかモノの存在を認識できない。 1歳頃(8〜12ヶ月頃)になると、単純な快刺激を求める目標を設定し、目標達成の為の手段としてシェマ(認知の枠組み)を利用するようになるが、内面に表象(イメージ)を作れないのでモノの認識や関わりは直接的なものに限られる。2歳に近づく段階になると、不完全なレベルの対象恒常性が獲得されて、実際に眼の前に存在しないモノについても記憶やイメージを持ち始める。 この不完全な対象恒常性は、次の発達段階である『表象期(前操作期・操作期という内面心理に形成されるイメージや記憶を利用する段階)』に適応するための心的機能である。 2.前操作期(preoperational period,2〜7歳)……前操作期は、表象期の前半期である。心の内面に表象(イメージ・概念・記憶)を思い浮かべることはできるが、それらを十分に操作することはできない。自己と対象の区別が曖昧な『自己中心性(身体性による認知)』を完全には脱却できていない段階であり、外部のモノや出来事を内面化する『同化』の機能が発達する。 実際に眼の前にはない対象と内的な関係をもてるようになり、どこかに隠されたモノの存在を探すことができるようになるだけでなく、モノの特徴や存在について言語的な表現を行えるようになる。前操作期には、社会的な役割やイメージをまねて再現する『ごっこ遊び(ままごと・お医者さんごっこ・買い物ごっこ)』ができるようになるが、これは外部のモノを内面化する『同化』の心理機能をうまく活用した遊びである。 言語機能は急速に発達して、大人と日常会話をすることも可能になってくるが、『抽象的な思考・イメージの操作・論理的な思考』を行うことはできず、基本的には『周囲のモノ・相手・状況』に対応した心理機能の発達に限られる。一般性や論理性、普遍性のある言語活動はできないという事であり、自分の個人的な経験や記憶に依拠した思考・発言が多い。 3.具体的操作期(concrete operational period,7-12歳) 表象期の後半期が操作期であり、操作期は更に『具体的操作期』と『形式的操作期』に分類される。具体的操作期では、具体的な外部のモノや状況を参照しながら、ある程度の論理的思考やイメージの操作を行えるようになり、自己中心性を離脱して客観的なモノの存在を認識できるようになる。 対象恒常性が確立することで表象(イメージ・概念)の保存が可能になり、自分の思考を可逆的・反省的に捉えられるようになるので、ある思考を持ち続けたりある思考をやめたりといった思考の柔軟性が生まれる。しかし、具体的な事物や状況に応じた思考レベルなので、他者や社会に与える思考の影響力はまだ弱い。 4.形式的操作期(formal operational period,12歳〜) J.ピアジェの思考発達論では最高の思考・認知の段階であり、概念や数字を操作する成人の高度な思考様式とも共通するのが形式的操作期である。主観的な『自己中心性』を完全に離脱して、他者との間に客観的知識を共有できるようになり、論理的かつ抽象的な共通理解が成り立つようになる。 形式的操作とは、内面にあるイメージや知識、概念、記憶を自由に活用することができる操作のことであり、『自然科学的な世界観』に基づく合理的・抽象的な思考の遂行ができるようになってくる。形式的操作期では、現実に観察される目の前の出来事だけに頼ることなく、『もし〜であれば、どうなるだろうか?もし〜が正しいとすれば、どのようなことが起こるか?』という仮説を立てられるようになり、仮説演繹的な思考形態が確立される。 形式的操作期は『客観性・論理性・抽象性・普遍性』に裏付けられた科学的思考方法が可能になる段階であり、その具体的な思考法として“仮説演繹法(仮説を作って検証する方法)”と“帰納推測法(具体的な事例から仮説を立てる方法)”があるのである。形式的操作期の特徴は、『自由に概念・知識・イメージを頭の中だけで操作できるようになること』であり、『科学的思考法と創造的なイマジネーションを活用できるようになること』である。 赤ちゃん(乳児)の『モノに対する認識』は、おもちゃで遊ぶようになる8ヶ月頃に実験をすると、『目の前にない隠されたモノ(おもちゃ)の存在』を認識できないので、カバー(布)を掛けて物を隠すと探さないことが分かります。感覚運動期にある8ヶ月以下の乳児は、基本的には『目の前にあるモノの存在』だけしか認識することができず、自分の視覚や行動とは無関係に『モノそのもの』が永続的に存在するという客観事実を理解することができないわけです。しかし、8ヶ月目の乳児の目の前でモノにカバーを掛けて隠せば、そのカバーを外してモノを見つけることができ、『モノが隠された状態のプロセス(隠されている場面)』を見ていれば、目の前にモノがなくても探すことができます。 ■関連URI 赤ちゃん(新生児)の視覚・聴覚の発達とヒトの乳幼児期の特殊性2:脳の発達の早さとメルツォフの実験 “他者の心(内面)”を推測する『心の理論』と“自己の心”に関心を向けるヒト固有の知性(自意識) 早期母子関係の発達プロセスと“愛着行動・探索行動”のバランス:ハーローの代理母実験 対象関係論の草創期に活躍したクライン、フェアバーンらとカーンバーグの境界例研究 ■書籍紹介 |
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J.ピアジェとE.S.スペルケの“乳児のモノ(対象)の認識”に関する実験2:対象の永続性の獲得
ジャン・ピアジェが行った乳児のモノに対する認識の実験の続きになります。8ヶ月目の乳児は、目の前でモノにカバーを掛ければそのカバーを外すことができますが、何回か『同じ場所』でカバーを掛けて外させた後に、今後は『違う場所』で乳児に見えるようにしてカバーを掛けると、前と同じ場所のカバーを外そうとする『学習行動の習慣性』が見られます。 ...続きを見る |
カウンセリングルーム:Es Discov... 2011/07/01 22:53 |
荒関式ことば発達法セットパック
あきらめないで!あなたのお子様の言葉はでてくる! ...続きを見る |
荒関式ことば発達法セットパック 2011/07/23 03:30 |
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