カウンセリングルーム:Es Discovery

アクセスカウンタ

help RSS 上手くいかないパターン化した恋愛関係と過去の反復強迫3:どうすれば自分と相手を大切にできるか?

<<   作成日時 : 2011/05/31 00:13   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 1 / コメント 0

前回の記事で書いた最後の7の項目には、『自分の本音』を知られたら相手から軽蔑されるのではないかという不安、『自分の率直な意見』を言ったら相手から反対されて嫌われるのではないかという恐れが関係しています。しかし、恋愛関係でお互いの信頼や安心を深めていこうとすれば、どうしても『本音と本音の交流やぶつかり合い』や『相手の本心の理解』をある程度は進めていかなければなりません。逆に言えば、『意識的に相手のために作った自分』や『良い面だけを見せようとする自分』ばかりで接していると、自分だけが相手の要求や期待に応える立場になってしまって疲れすぎてしまい、二人の関係を長続きさせることが難しくなるのです。

アダルト・チルドレンの問題との相関では、暗い家庭の雰囲気を明るくしたり喧嘩している両親の気分を良くしたりするために、『家族を喜ばせる道化的な役割』や『家族の不仲・対立を緩和する調停者の役割』を進んで買ってでるところがあり、周囲の感情や反応に配慮して頑張りすぎて疲れ切ってしまうのです。

自分の存在価値を確信できなかったり、他人のことが信用できなかったり、この世界や人生そのものを否定的にひねくれて見てしまうという『認知の歪み』も、幼少期に必要な親からの愛情や保護された環境が得られなかった事による『基本的信頼感の形成不全』に原因が求められることがありますが、他者を信頼できないと見捨てられ不安が強まるという問題が生まれます。基本的信頼感は、今の時点からの自己受容や他者との関わりを改善する事でも高めていくことができますが、基本的不信感が強くなり過ぎると『傷つけられる前に相手を傷つける・別れを告げられる前に自分から相手を振る(切り捨てる)』といった問題が起こりやすくなるので注意が必要です。

過去のつらかった親子関係や男女関係を強迫的に繰り返してしまい、なかなか良い恋愛に結びつかないという悩みには、『幸福・安心に対する耐性(馴染みやすさ)』が関係していますが、これは今までの幸福と不幸の体験の重みづけによって、自分にとって居心地の良い幸福(安心)のレベルに個人差が生まれるという事です。

一般庶民の感覚としては、『こんなに幸せ過ぎていいのだろうか・良いことばかりが続くと、この後に大きな悪いことがあるのでは・何もかも順調に行き過ぎると怖くなる』といった思いを抱くこともあると思いますが、これが幸福・安心に対する耐性(馴染みやすさ)であり、人は自分の実力・立場・魅力にある程度見合った幸福のレベルでないと『居心地の悪さ・不適切感(自分には不相応な感覚)』を抱きやすい傾向があります。

自分がどれくらいの幸福のレベルを心地よく感じられるかの『幸福の耐性』は、今までのお金の使い方や経済環境(家庭の教育)によって無意識的に規定されてくる『金銭感覚』にも似た部分があって、つつましい経済生活をしていた人がいきなり大金を使って派手な遊び・レジャーをすると『罪悪感・不相応さ』を感じやすいように、ずっと不幸や我慢、拒絶を強いられてきた人が急に『大きな幸福・安心・思いやり』を感じる状況に置かれると、居心地の悪さを感じて自分でその恋愛関係を壊したくなることがあります。

『金銭感覚』が鷹揚になって気持ち良く大金を使えるようになる時には、自分の実力や努力で昇進・成功したという自己評価の高まりを伴うことが多いのですが、『幸福・安心の耐性』が高まってくる時にも、自分にはそれだけの幸福・安心を手に入れられるだけの価値や魅力があるんだという自己評価(自尊感情)の向上が必要になる部分があります。自分で自分の良い面を見つけ出して自分を好きになること、自分の当たり前の権利や価値を承認できるようになることによって、『幸福な恋愛関係』や『安心感を与えてくれる相手』に対してフィット感(居心地の良さ)を感じやすくなるわけです。

不幸になる確率が高いと分かっているのに、過去のつらかった親子関係や男女関係を強迫的に繰り返してしまうのはなぜなのでしょうか。そこには、人間が過去の親子関係や原体験を通して学習した『人間関係・日常生活の原型(プロトタイプ)』の影響を受けやすく、今まで身に付けてきた生活習慣や人間関係の築き方のパターンの変化を嫌うという『習慣的な保守性』が関係していますが、恋愛・異性関係における反復強迫では特に『過去のつらかった体験の記憶・感情を改善したい』という欲求が関係しています。

過去のつらかった体験の記憶や感情を修正したいというのは、『親子関係をやり直したい・もう一度親の愛情を実感したい』という欲求の反復ですが、実際に自分が子どもになって親子関係をやり直すことは不可能なので、好きになった異性を通してその『過去のやり直しの欲求(親から恋人への転移感情)』を充足させようとしやすくなります。機能不全家族で寂しく心細い思いをしながら育ってきたアダルト・チルドレンの人が、自分を十分に愛してくれなかった親に似ている人を好きになり、その恋人から守られて愛されたいと思いやすいのも、『過去の未達成の心理的課題』と関係していますが、これは親に限らず昔好きだった傷つけられた恋人に対する感情が現在の恋人に転移されるという形を取ることもあるでしょう。

『過去の人間関係』で感じていた悩み・心残りなどを、『現在の人間関係・恋愛関係』に転移してしまうという問題を解決するためには、自分自身を不幸にしたり悩ませたりする恋愛関係のパターンをまずは認識することであり、その上で『今までとは違う相手の選び方やコミュニケーションの取り方』を工夫してみたり、『今、目の前にいる相手の人格や感情』を尊重しながら付き合うということが必要になってきます。

過去のトラウマや人間関係(家庭環境)に基づく無意識的欲求の反復強迫によって、自分の行動や判断が影響を受けることはありますが、『なぜ自分がそういった行動を取りやすいのか』の自己理解を深めることができれば、『自分にとってより良い判断・自分を幸せに近づける考え方(短期療法的な今までと違うことをしてみるdo difference)』をしやすくなってくるのです。






■関連URI
上手くいかないパターン化した恋愛関係と過去の反復強迫2:繰り返される恋愛の悩みの分析

“プライベートな人間関係”の親密度を推量する基準としての『応答可能性・援助可能性・価値基準の親和性』

恋愛関係のプロセスと異性へのアプローチの仕方2:自分の気持ちや誘いの言葉をどのように伝えるか?

現代日本ではなぜ“恋愛・結婚の活動性”が低調なのか1:恋愛と結婚に求めるものの違いと現実生活

■書籍紹介

精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に
岩崎学術出版社
馬場 禮子

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 精神分析的人格理論の基礎―心理療法を始める前に の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
尽くし過ぎて上手くいかない男女関係とマンネリ化を緩和する工夫2:異性としての女性と母親的な女性
結婚すればよほど『完璧な家事育児の分担』を家庭内でしているか、『男性と同等以上の収入がある女性』かでない限りは、好むと好まざるとに関わらず『対等な異性としてよりも世話を焼いてくれる母親としての女性の認識』に近づいていきやすい面は当然あります。 ...続きを見る
カウンセリングルーム:Es Discov...
2011/06/24 19:04

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コンテンツ&本の紹介

Es Discovery's Encyclopedia(百科事典的なアーカイブ)

ESD ブックストア(インスタントストアで色々なジャンルの本を紹介しています!)

心理学の事典や臨床心理学の概説書

S.フロイトとC.G.ユングの書籍
ブログアーカイヴ
2005年
3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2006年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2007年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2008年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2009年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
2010年
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
上手くいかないパターン化した恋愛関係と過去の反復強迫3:どうすれば自分と相手を大切にできるか? カウンセリングルーム:Es Discovery/BIGLOBEウェブリブログ