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福島第一原発事故を受けて日本の原子力推進政策と新規原発の増設が見直されようとしていますが、地球温暖化対策やエコロジー思想に適しているとしてアジアや中東地域で原発増設を推進してきた『原子力ルネッサンス』は、今でも国際的な影響力を維持しています。米国のスリーマイル島事故(1979年)や旧ソ連のチェルノブイリ事故(1986年)によって、原発産業は一時的に衰退傾向を示しましたが、新興国の電力需要が急速に増え始めたことやCO2を大量に排出する火力発電所が地球温暖化につながると批判され始めたことから、原子力発電所が見直されてきました。 核分裂反応を利用してタービン発電機を回すので、CO2排出量が少ない(地球温暖化を抑制する)という『クリーンエネルギー』としての利点が宣伝されて、核燃料(濃縮ウラン)のほうが石油燃料よりも推定埋蔵量が多い(枯渇リスクが低く長く使い続けられる)という点が評価されたのでした。電力単価も一般的には火力・水力・自然エネルギーよりも安いとされていますが、この単価計算には『平時の地方交付金(補助金)・事故時の巨額賠償・使用済み燃料の処理コスト』が含まれておらず、最終的には原子力発電の電気は高くつくという反論もあります。 原子力ルネッサンスの構想や実現が人類・環境にとって危険なものなのかという疑問は、潜在的には大規模な原発災害(地震・津波・ハリケーンなどによる放射性物質拡散)を起こすリスクはあると思いますが、『地震多発地帯を避ける慎重な立地』と『安全管理基準の強化・原発運営の技術向上』によってかなりの部分のリスクは回避できるでしょう(それでも100%絶対に大丈夫という原発の建設・運営はできないと思いますが)。福島原発事故を受けて日本のエネルギー政策も厳しい見直しを迫られており、大きな方向性としては『原発依存度の低下・可能な範囲での脱原発』が目指されることになるでしょうが、当面は『既存の原発の安全管理基準の引き上げ・施設や部品の老朽化対策』によって対処していくことになると思います。 日本の電力需要の総量、電力不足が引き起こす国民生活や経済活動の不利益を考えれば、短期的に原発を全廃するようなラディカルなエネルギー政策の転換は不可能でしょうし、現実的な政治判断としては『代替電源を確保してからの原発削減・脱原発』をマクロな目標として掲げることになります。現状でもっとも有力なのは火力発電所の増設ですが、火力発電はCO2排出量が多くCOP・京都議定書におけるCO2の25%削減の国際公約を果たせなくなる恐れも高いので、将来的には『再生可能エネルギー(太陽光・太陽熱・風力・地熱など)の技術革新や発電方式の効率化』によって原発依存度を下げていくことが望まれます。 『きちんと設計管理すれば原子力発電所は安全なのか?』という根本的な問いについては、大地震の少ない国・地域であれば安全基準を強化して技術的に解決できる問題が殆どであるが、日本のような地震多発国家では『想定外の大地震・大津波による原発事故』を完全に予防することは極めて困難であるか不可能に近いため、『現在の原発の立地(大きな地震の発生が懸念される地域に原発がある状況)』では潜在的リスクは高いように思います。日本は周囲の海の海底に『北米プレート・太平洋プレート・フィリピン海プレート・ユーラシアプレート』という4枚の巨大プレートがあり、プレートが相互にぶつかり合って入り込んでいるため、地球物理学やプレートテクトニクス理論を前提にすれば『周期的な大地震の発生リスク』をゼロにする方法がないのです。 少し前に広瀬隆『原子炉時限爆弾 大地震におびえる日本列島』という本を読んだのですが、この本は原発全廃(原子力撤廃)のスタンスに偏っている向きはありますが、地震頻発国家である日本ではM8〜9以上の大地震が必ず周期的に起こり、原子力発電所はその揺れと津波に耐え切れずに原発震災を起こす『時限爆弾』になるという仮説はなかなか説得力があります。この書籍は東日本大震災・福島第一原発事故が発生する前に書かれたもので、広瀬隆さんが最も警戒しているエピソードは静岡県を襲う東海大地震によって『浜岡原発事故』が不可避に起こり(原発は元々M8以上の巨大地震や大津波に耐えられる設計ではないという前提で)、広域に及ぶ放射能汚染が深刻化するというものなのですが、これはそのまま『福島第一原発』にも当てはまるため、一種の予言的な書籍になっています。 『第1章 浜岡原発を揺るがす東海大地震』は、そのまま『福島第一原発を揺るがす東日本大地震』と置き換えて読むことができるのですが、大地震の多発地域である東北の三陸海岸(福島原発)や東海の御前崎(浜岡原発)に原発建設の立地を定めたのは、政府・電力会社の判断ミスだったのではないかと思わざるを得ない気持ちにさせられます。浜岡原発が面する駿河湾は、『北米プレート・太平洋プレート・フィリピン海プレート・ユーラシアプレート』の4枚のプレートが接する地形を持ち、更に『駿河トラフ・南海トラフ』という地震の発生源となる海底断層を抱えるという地震発生の超危険地帯になっています。 この駿河湾周辺の過去の大地震を調べると、100〜250年の周期で『東海地震』と『南海地震』という2つの巨大地震が双子地震として連続して起こっており、前回の安政東海地震・安政南海地震(1854年)から約150年が経過した現在では、いつ東海大地震が起こってもおかしくないという予測が立てられています。 東海大地震はM8級の大地震になると予測されていますが、その時に浜岡原発(中部電力・政府)が予測している地震・津波の影響が『想定外の事態』にならないとは言い切れないため、こういった地震多発地域の原発の立地に関しては極めて慎重であるべきで、基本的には他の地域に立地すべきだったと言えるでしょう。原発震災のリスク・予測と地震の仕組みに関して詳しく書かれた本なので、興味のある方は広瀬隆『原子炉時限爆弾 大地震におびえる日本列島』を読んでみるとさまざまな原発に関する理解・気づきが得られると思います。 ■関連URI 福島第一原発事故による原発安全神話の崩壊と事故リスク1:都市インフラの電力需給と放射能汚染 福島第一原発事故による原発安全神話の崩壊と事故リスク2:東電の工程表と原発の安全管理システム 東日本大震災の被害と福島第一原発事故3:計画停電による都心機能の麻痺と今後のエネルギー政策 アニマル・ライツ(動物の権利)と人間の倫理感覚2:人間中心の世界認識を生む“人間原理” ■書籍紹介 |
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福島第一原発事故
福島第一原発事故 3号機西側約20メートル地点の瓦礫の中に放... これは3/28の話だった。 2011-03-29 福島第一原発事故 3号機西側約20メートル地点の瓦礫の中に放射線源 記事の該当部分を再掲する。 マニュアル見ながら放水=訓練なしで特殊車両使用-川崎市消防局 (略) 一方、 放水前日の24日午後6時、3号機(続きを読む) 福島第一原発事故の賠償スキーム案を斬る(朝日より) の語る東電の将来「送電施設を国に売って賠償原資に」 福島第一原発事故の賠償スキーム案を斬る(注:全文は読め... ...続きを見る |
サキヨミ!ニュースダイジェスト 2011/05/25 20:04 |
福島第一原発事故の被害の広さ・賠償の大きさと収束作業の『ステップ1』の達成:廃炉までの長い道のり
前回の記事の続きになるが、日本各地に電力危機をもたらす直接の契機となった福島第一原発事故は、未だに被害・損失の範囲が広がっており、最終的な事故収束と安全確保(廃炉・封鎖)までの道のりは相当に長い。最近では、野外に積んで放射能に汚染された稲わらを食べた牛の肉から、放射性物質セシウムが検出されて、その牛肉が既に市場に出荷され消費されていたことが分かり問題になった。 ...続きを見る |
カウンセリングルーム:Es Discov... 2011/07/23 19:34 |
野田政権の政治的課題と“東日本大震災の復旧復興・福島第一原発事故が残したスティグマ”:1
9月2日に菅内閣に代わって野田佳彦内閣が発足しましたが、就任直後の内閣支持率は祝儀的な支持率の影響もあり、60%前後でまずまず順調な滑り出しのようです。菅政権の末期には、不信任決議回避のために辞職宣言をした菅首相がいつ辞めるのかを巡って、『与野党の対立による政治空白』が生まれました。野田政権ではその政治空白による政策の遅れをどう取り戻していけるのかが問われますが、自民党の短期政権と頻繁な首相交代を厳しく批判していた民主党にとっては、『民主党政権に与えられた最後のチャンス』とも言える内閣の位... ...続きを見る |
カウンセリングルーム:Es Discov... 2011/09/09 10:08 |
津波の過酷事故が想定されていなかった福島第一原発事故と東電の国有化議論:2011年のニュース回顧2
政府・東電の事故対応においても『情報伝達・指揮命令系統』が乱れて、住民の避難指示を巡り混乱が発生したことが上げられ、もっとも重要だった緊急的な炉心の冷却作業でも遅れ・中断が見られたとしている。『事故調査・検証委員会』は、事故原因の徹底究明と危機管理体制・安全対策の改善点の洗い出しを目的にしているが、今でもまだ福島第一原発のインサイト(敷地内)は放射線量が非常に高いために、原子炉や原発の関連施設の内部に近寄ることは不可能であり、メルトダウンした核燃料の現状や原子炉の具体的な破損状況については... ...続きを見る |
カウンセリングルーム:Es Discov... 2012/01/05 23:56 |
脱原発・反原発の社会風潮の高まりと日本のエネルギー政策の転換点:2011年のニュース回顧3
東日本大震災の大津波が引き起こした『福島第一原発事故』は、政府と監督官庁、電力業界、御用学者が作り上げてきた『原発安全神話』を瞬時に崩壊させ、原子力発電の技術やインフラを世界に輸出して原子力発電を拡大していくという『原発ルネッサンス構想』をも頓挫させた。 ...続きを見る |
カウンセリングルーム:Es Discov... 2012/01/05 23:58 |
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