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help RSS “依存の極”と相関するパーソナリティ障害・人格特性とアパシー2:演技性パーソナリティ障害

<<   作成日時 : 2011/01/18 21:55   >>

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依存性パーソナリティでは『自分のやりたいこと・好きなことへのこだわり』よりも、『他人が自分をどう見ているか・他人がどれくらい自分を肯定して支持してくれるのかという依存性(他者配慮性)』のほうが強くなるので、自分をひっぱっていってくれるリーダー的な存在がいたり、何をすべきか指示・助言してくれる他者がいれば、それなりの社会参加や仕事への動機づけが出来る面があります。

メンタルヘルス(心の健康)の部分では、自分をとにかく他人(社会の大勢)に合わせて安心しようとする『自分の感情や欲求の過剰抑圧』によって、心身症の身体症状やストレス反応性の精神疾患・適応障害が起こることもありますが、自分の責任や不安を分担してひっぱっていてくれる信頼できる他者がいれば、メンタルヘルスもそれなりに良好な状態が保たれるでしょう。

パーソナリティ障害の種類の分類では、『他者への依存性・他者の反応(評価)の重視=人生における他者中心の価値観』に偏っているパーソナリティ構造として、『依存性パーソナリティ・演技性パーソナリティ・受動攻撃性パーソナリティ・マゾヒスティックパーソナリティ』を上げることができますが、演技性パーソナリティは特に典型的な他者中心の人格構造であり、演技的な振る舞いや目立つ言動をして『他者の注目・関心・好意』を集めていなければ満足感や安心感を得にくいというものです。

精神分析流に言えば、演技性パーソナリティとはリビドー(心的エネルギー)が絶えず『他者』に向けられていて、『自己』に向けられることが殆どないパーソナリティ構造であり、『自分自身の価値観・信念に基づくやりたいこと(他者に左右されない信念体系や好き嫌い)』が余りなくて、その行動基準が『他人が見てくれるか否か・どれくらい注目されて認められるか』という事がメインになっています。

依存性パーソナリティと演技性パーソナリティとでは『他者中心の価値観・自分のやりたいことの少なさ・自己評価の低さ』という共通点がありますが、演技性パーソナリティでは依存性パーソナリティと比べて『能動的で演技的な自己アピール・他人の注目や関心を集めようとする意図的な言動』が多くなるという特徴があります。演技性パーソナリティ構造は『喜怒哀楽の感情表現を大袈裟にする・人と変わった言動やファッションを好む・最先端の流行や話題に合わせて自分を変えていく・個性的な主張や恰好をしたがる』といった傾向があり、依存性パーソナリティの他人や大勢(社会常識)に無難に合わせることで他人に支持されようとする『受動的な同調行動』とは異なります。

他者依存性(他者中心性)の共通性があっても、演技性パーソナリティは『スポットライトを浴びて外形的な行動・特徴で目立ちたい欲求』が強いのですが、依存性パーソナリティのほうは『みんなと同じ同調行動を取ることでできるだけ目立ちたくない欲求』が強いという明確な違いもあります。どちらも他者の反応や支持、承認によって自我(自己存在)の安定性を保つという動機づけは同じなのですが、それを実現するための『具体的な方略』にはかなりの違いが見られるのです。

演技性パーソナリティの人のモチベーションや満足感は『他人が自分に注目して認めてくれるかどうか』にほぼ全面的に依存しているので、『自分一人だけの状況・自分の内的な価値観や解釈』だけでは殆ど満足感・楽しみを得ることができず、『他人が認めてくれる行動・仕事』に対しては、自分の好き嫌い(そもそも個人的な好き嫌いや考えへのこだわりが薄い)と無関係にやる気を出しやすい傾向はあります。

パーソナリティ障害の分類と診断基準の概念化に貢献した精神科医セオドア・ミロンは、人間のパーソナリティを『自立性―依存性・能動性―受動性・喜び―苦痛・自己中心性―他者中心性などの両極』で捉えて解釈する“ポラリティ理論(極性論)”を提唱しました。そのミロンのポラリティ理論では『依存性(他者中心性)の極である依存性パーソナリティ障害』から『自立性(自己中心性)の極である反社会性パーソナリティ障害』までの緩やかなグラデーションがあると仮定されています。

他者に危害・迷惑を加える犯罪行為をしたり、他者の権利や感情を蹂躙しても『良心の痛み(道徳的な罪悪感・後悔や反省)』を感じない反社会性パーソナリティ障害は、『他者の反応や承認評価』に初めから全く期待しておらず、他者への基本的信頼感を全的に喪失していると見なされています。その結果、社会秩序や法規範を無視して、自己中心的な行動(犯罪・暴力)で他人を傷つけて無理やりに奪ってでもサバイバルしようとする人格構造としての特徴を持っており、非適応性・反社会性が強いものの『自立性(他者否定性)の極』に置かれているのです。

このポラリティ理論から分かるのは、『自立性=良い・依存性=悪い』という単純な評価軸で判断が為されているわけではないということであり、他者の反応や承認、注目を期待する『他者依存性』もある程度は必要だということです。更に言えば、他者の権利・自由にも配慮する近代的な人間社会が成り立つためには、自立的な個人であっても『適度な相互依存性・他者への興味関心』は必要だということですが、自分自身の信念や価値観を見失ってしまうほどの『依存性・無力感(自信の無さ)』があると不適応問題が深刻化しやすくなります。






■関連URI
“依存の極”と相関するパーソナリティ障害・人格特性とアパシー1:依存性パーソナリティ障害

自己顕示的なパーソナリティ障害における“虚言癖・演技性の心理”と“他者操作・場の支配の影響”

“他者の注目”を求める演技性人格障害と“社会的な価値(他者の好意)”を拒絶する反社会性人格障害

演技性人格障害の“自己アイデンティティの拡散”と“性的アイデンティティの未成熟”の問題

■書籍紹介

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