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help RSS 新卒者の就職内定率の落ち込みと“新卒採用・就職氷河期”の問題:日本の雇用はなぜ回復しないのか?

<<   作成日時 : 2010/11/22 19:30   >>

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大卒・高卒の新卒者の就職活動(就活)が難航していて、来春卒業予定者の内定率が2000年代初頭の『就職氷河期』よりも低くなる恐れが出ているという。大学生の10月1日時点の就職内定率は57.6%で前年同期に比べ4.9ポイント減少となり過去最悪になる可能性があるようだが、最終的には90%前後の数値に落ち着くことになるのだろう。

10人に1〜2人の大卒・就職未定者の比率を多いと見るか少ないと見るかは微妙であるが、実際には定着率が低い企業に内定が決まった人や職場適応が難しくて自己都合の早期退職をする人も出てくるので、『正規雇用の定着率』という意味では6〜7割前後になってくるのではないかと思う。

学歴社会の階層性が強い韓国では『大学入試』が日本以上の国を挙げた一大イベントになるようだが、日本では長期雇用・年功序列に近い職業キャリアを得るための『新卒採用の就活』が大多数の学生にとって入試以上の関門となっている。新卒者の就活で大勢の学生に目指される企業の多くは、一部上場の有名企業や安定企業であり、必然的に競争倍率が跳ね上がって狭き門となる。就活で人気のある企業に期待されているのは『終身に近い雇用・経済生活・社会保険の保障』であり、誰もが知っていて優良企業と評価してくれるような『社会的ステータス性・平均以上の生涯賃金』なども魅力となっている。

しかし、大企業の『限定された採用人数の枠』に対して、数千人以上の応募者が殺到するのだから、大抵の人は採用されないということになるが、知名度や規模に左右されない『次の志望企業』を自分の能力や関心も考慮しながら絞り込めるかどうかがキーになるのだろう。

学生段階ではよほど専門的な分野・研究・資格に深くコミットしていない限りは、『規模が大きくて社会的に知名度があり待遇も良いとされる企業』以外の企業の選択基準を持っていないことも多いと思うが、『どこでもいいから手当たり次第に応募してとにかく採用試験・面接を受ける』というやり方だと、一つ一つの企業・業界に対するリサーチや面接での受け答え・意欲の伝達がおざなりになりやすいという問題もある。

企業に関係する情報を多角的に集めて、実際にその会社で働いている人の意見も聞いてみるということが重要だが、少しでも自分が興味や意欲、貢献意識を持てそうな業界、あるいは労働条件と照らし合わせて自分がある程度長く働けそうな会社を絞り込むことも大切である。労働負担の大きさや仕事内容への興味関心、職場の雰囲気や人間関係を無視して、ただ給料が良ければいいとか知名度が高ければいいといった基準で会社を選ぶと、『仕事最優先の価値観・ストレス耐性のタフネス』を持ち続けられる人でなければ早期退職のリスクを高めることもある。

日本でなぜ新卒採用の正規雇用が減少しているかの理由について、新聞社説では単純に『景気の悪化・経済政策の不十分さ』を上げていることが多いが、直接的な雇用減少の理由は『日本の経済成長の鈍化(成熟経済への移行)』『製造業の国際競争力(雇用吸収力)の低下』にある。その背景にあるのは、人・モノ・カネがフラット化してボーダレスに行き交うようになる『グローバリゼーション』と生産効率を大きく上昇させた『イノベーション+オートメーション化』であり、グローバリゼーションが進展するにつれて製造業からサービス業への『産業構造の転換』も本格化している。

海外から安価な製品や食品、原材料を大量に輸入すれば、国内の割高な製品や食品は『価格競争』に敗れて売れなくなり、国内の製品・食品の生産過程に関連する業界(企業)の雇用も減少するが、国内企業間の価格競争はより熾烈になってきている。アパレル・家電などの小売業や外食産業、長距離トラックの運輸業などに『デフレ経済の影響』は顕著であるが、一昔前と比べてもあらゆるモノが何割か安くなっており、価格競争が激しくなって消費者に恩恵がある一方で、『給与水準・労働時間などの雇用待遇(雇用の質)』は悪化している。

ファミレス・ハンバーガーなどの外食産業やディスカウントショップ・アパレルなどの小売業は、確かに『雇用の吸収力』を持ってはいるが、利益率が殆どない商品を大量に販売してやっと僅かな利益を上げるという『薄利多売のビジネスモデル』としての限界を持つ。小売・外食業界では、創業者や経営幹部はともかくとして一般従業員の雇用の質を高められる余地が乏しく、雇用の殆どはアルバイトや派遣といった非正規雇用にならざるを得ない。

高度経済成長期にある日本が『一億総中流社会』と呼ばれる集団幻想を持てた要因のひとつは、『第二次産業』と呼ばれる重工業系(鉄鋼・造船・機械・電機等)の製造業や土木建築業が、中卒高卒のブルーカラーの正規雇用に対しても、今では想定しにくいほどの手厚い福利厚生と終身雇用を与えていたからである。

学歴を問わず真面目に企業に就職して働けば、それなりに中流的な生活水準に到達できるという希望は『第二次産業の好況と成長』に支えられていた部分も大きいが、『高学歴化による志望職種の変化(ホワイトカラー志望の増加)』『産業構造の転換による製造業の衰退』によって、ボーナスがない仕事や非正規雇用、報酬と比して過酷な労働条件が増えるなど『雇用の質』は段階的に悪化していった。

企業が採用する人数を増やすという『雇用の量』とひとりひとりの被用者の給与水準・雇用待遇が良いという『雇用の質』を両立させるための条件を、日本経済や日本企業が欠いてきているという厳しい現実が新卒者の就職難の根底にはある。時折、就職難・失業者に対して『仕事や職種、待遇を選ばなければ仕事は幾らでもある・求人情報誌(求人サイト)には待遇が悪くても多くの募集が出ている』という批判があるが、新卒段階で『雇用の質を無視した応募』をすることは考えにくいし、失業者であっても副職でない限りは“時給千円未満の補助的な仕事”を本職にするのは難しいだろう。

『雇用の質』を高めて長期雇用を可能にするためには、企業が営業利益を着実に上げて持続的に成長していくことが必要であるが、平均給与の高い雇用を多く生み出していた往時の製造業(第二次産業)と比べると、現在主流のサービス業(第三次産業)は薄利多売のビジネスモデルになりやすく、店舗で接客販売を担う人材はどうしてもアルバイトなど『人件費コストの低い雇用形態』にならざるを得ない。サービス業の多くは『一定の雇用の量』を生み出しはするが、月額20〜30万円台の給与を得て、年に2回、数ヶ月分の賞与を得るという『中流階層的な雇用』を生み出す力は相当に弱い。

更に、グローバリゼーションとTPP(環太平洋経済連携協定)による自由貿易圏の拡大の影響、日本の『学歴インフレ(大学全入時代の弊害)』による学歴と専門性(実務能力・教養水準)の分離、安定雇用のホワイトカラーとなるポストの絶対的不足なども合わせて考慮していく必要があると思う。

その一方で、『新卒一括採用の雇用慣行』の問題点は多くの人に認識されてはいても、『企業の人事(勤続年数とポスト配分)・給与基準(年齢給)』とも相関する問題なので、短期的な新卒至上主義の変化を大企業に望むことは難しいかもしれない。また時間があれば、日本経済と雇用情勢の問題を中心にして、就職希望者と企業とのミスマッチ、産業構造の変化とグローバリゼーション、採用されやすい人と採用されにくい人との差異などについても考えてみたい。










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