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help RSS 『緊張する対人状況・不慣れな環境』の不安から自分を守る“パーソナル・スペース”と“身体交差”

<<   作成日時 : 2010/10/31 12:27   >>

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個人の縄張り意識については、社会学の『パーソナルスペース(私的領域)』と『儀礼的無関心』の概念で説明することができるが、人は公共空間において目に見えない心理的なパーソナルスペースの境界を持っており、知らない他人が数十センチ(80センチ前後)未満まで自分に近づいてくると強い警戒心や不快感を生理的に感じやすくなる。

そのため、電車やバス、道路、街頭、公共施設などの公的空間では、人は暗黙の了解で他人とは一定以上の距離を取るようにしており、知らない他人と話しかける用事がある時でも、パーソナルスペースを侵害しない程度の距離を無意識的に保っている。

公共交通機関の電車やバス、あるいは映画館や劇場の座席を選んで座る時でも、人は空いている席があれば知らない他人の隣の席に座ることはまずない。電車やバスの中が乗客で混んでくると、『他のお客様が座れるように座席を詰めてお座り下さい』というアナウンスが流されるが、座席が余っていれば多くの人は隣の人との距離を空けて座るのが普通であり、それはパーソナルスペースの確保や(他人の私的領域を尊重するという)儀礼的無関心のマナーの現れとして見ることができる。

しかし、他者と一緒に活動することになる『社会的領域・公共空間』では、自分だけが排他的に自由に利用できる『パーソナルスペース(私的空間)』を十分に確保するのが難しいことが多いので、人は『簡易な区切り』や『心理的な境界線』によって自我を防衛して安心感や集中力を高めるという方策を採りやすくなる。『簡易な区切り』といっても職場での地位・重要度が高ければ、職務執行のための個室、個人用のオフィス(仕事部屋)が与えられることもあり、その場合には私的領域の自室に近いパーソナルスペースの保護を得ることができる。

一般的な事務職・経理職のようなオフィスワーカーの場合には、隣の席の人との間に簡易な低い衝立を立てたり、職場のグループや単位ごとを区画するためにパーティションを立てたりすることが多く、これらは『物理的な区切り』であると同時に、儀礼的無関心を促す『心理的に擬制された境界線』の役割を果たしている。

公的空間において私的空間のようなスペースを心理的に作り出す方法としては、学校やオフィスで自分のデスク(机)を決めるということや、オフィスのデスクの上に家族の写真を飾ったり個人の所有物を持ち込んだりするということがある。つまり、その人の私的な持ち物や書類などが机の上に置かれていれば、それが『個人の縄張りの目印』として機能するので、他人がその机を勝手に利用する確率を大幅に引き下げることができるのである。

それ故、会社や学校に行った時に『自分のデスク(机)』が勝手に移動させられていたり撤去されたりしていると、多くの人は所属集団における『自分の居場所や役割が無くなった(奪われて否定された)』という不安感や混乱を生じてしまう。
具体的には、職場で自分がリストラ候補になっていたり窓際族に追いやられるのではないかという不安感を高めたり、学校で自分がみんなから疎外されていじめられているのではないかという恐怖感を強めたりすることになるのだが、それは集団におけるデスク(机)が『自分の居場所(役割的な存在意義)』として意味づけされることが多いからである。

人間は子ども時代には母親の陰に隠れて人見知りをする子が多く、知らない他人や初めて会う人に対してシャイネスや不安感・恐怖感を持ちやすいのだが、精神的に自立した大人になってからも『知らない他人・初めての環境に対する防衛意識』は残っていて、その防衛意識が半ば反射的に不安感や緊張感を高めてしまう。

だが、大人は不安感や精神的ストレスを感じる社会的状況にあっても、一般的にその場から逃げたり隠れたりすることは許されないので、初対面の相手や新規な環境における緊張感・不安感を自分なりの方法で制御して、一定以上の『社交性・適応性』を外部(他者)に対して示すというのが普通の振る舞いである。

緊張感や不安感、気後れなどを感じる対人場面(社会的状況)において、人が示しやすい反射的な防衛行動のジェスチャーとして『身体交差』という障壁シグナルがあるが、これは自分の手や腕を用いて自己と他者との間に『一定の境界線』を象徴的に引こうとするジェスチャーである。

『身体交差』のジェスチャーというのは、自分の身体の前面で両手(両腕)を軽く触れ合わせたり、逆の手に触れたりすることで、胴体を横切って他者を寄せ付けない『一時的な棒の境界線(障壁)』を作る動作であり、心理的な緊張感を和らげる自我防衛機制としても機能する。

『身体交差』のジェスチャーは、初めて会う相手や自分よりも社会的に優位(上位)な相手、苦手意識を持っている相手、不慣れで緊張を感じる環境に対して行われることが多いが、基本的には社会的状況や対人コミュニケーションにおける緊張感・不安感を誤魔化したり和らげたりするためのジェスチャーである。『身体交差』の具体的な行動には、身体の前面でがっちりと腕を組み合わせて相手への防衛意識や対抗心を示す分かりやすいジェスチャーから、身体の前面を少しだけ横切って逆の腕に触れたり、ボタンや時計、バッグをいじるといった分かりにくい瞬間的なジェスチャーまで幅がある。










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