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zoom RSS 非定型うつ病の“ストレス反応性・拒絶過敏性・依存行動”を緩和するための認知転換とストレスコーピング

<<   作成日時 : 2010/06/02 10:30   >>

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非定型うつ病は従来のうつ病とは違って、自分の好きなことや楽しいことをしている間だけは気分が明るくなり行動力が回復するという『気分反応性(ストレス反応性)』が見られます。その為、周囲から擬態うつ病や詐病と疑われやすいのですが、『睡眠障害(過眠)・摂食障害(過食)・パニック発作・鉛様の身体の重さ・気分の落ち込み・衝動性と自傷行為』といった苦痛な症状は実際に起こるので、“病気であることを意図的に演じている状態”とは全く異なります。

特にストレス状態が長く続くと、身体が鉛のように重たく感じられて慢性的な疲労感や倦怠感が起こってくるので(医学的検査によって原因を特定できない鉛様疲労感)、本人の意志や努力ではどうしてもベッドから起き上がれないなどの問題も起こってきます。

非定型うつ病の発症メカニズムの詳細については分からない部分が多いのですが、非定型うつ病には多かれ少なかれ本人が意図していなくても『一次的・二次的な疾病利得』が関係しています。ストレスになっている状況や苦痛な関係から遠ざかれるという一次的な疾病利得とうつ病の症状によって周囲から関心や心配を得やすいという二次的な利得があるわけですが、この特徴は古典的な神経症ともオーバーラップするものだと考えられます。

非定型うつ病は一般の人が見ると、『つらいことや責任から逃げている・好きなことだけしようとする我がまま・気分が安定せず周囲を振り回す気まぐれ』と間違って解釈される恐れがあります。しかし、古典的神経症(ヒステリー含む)が一部のパーソナリティ障害を包摂するように、非定型うつ病には『パーソナリティ構造の部分的な偏り(ストレスに対する過敏性)』が顕著に見られることが多く、少しでも嫌なことや不快なことがあるとネガティブ思考にはまり込んで『気分の落ち込み・行動の抑制(何もできない状態)』が激しくなります。

『見捨てられ不安(拒絶過敏性)・依存性・衝動性・気分の不安定』など境界性人格障害(B群のパーソナリティ障害)と重複する特徴も見られますが、非定型うつ病では『他者の人格評価』が二分法的に障害されることがなく(賞賛とこきおろしの極端な対人評価の変化が見られず)、『自己アイデンティティの拡散』も限定的であるという違いがあります。

発症メカニズムとしては、『過去のつらい出来事や嫌な記憶へのこだわり』が関係しているという説もあり、非定型うつ病では本人の意志とは無関係に不安感・劣等感・恥ずかしさ・怒り・悲しみを伴う過去の記憶がフラッシュバックすることがあります。しかし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のように生死の危険に関わるようなトラウマではなくて、日常的に発生する嫌な出来事やストレス状況を思い出してしまうということが多いようです。

過去に、友人から悪口を言われたことや両親から厳しく叱責されたこと、恋人から拒絶されて振られたこと、学校で上手くクラスに溶け込めなかったこと、自分の言いたいことを十分に言えず後悔していることなど、日常的な不満やつらさに関係する感情的記憶をフラッシュバックしやすくなります。過去に起こった嫌な出来事や自尊心の傷つきを忘れにくく、そこに無意識的にこだわってしまうことで『ストレス反応性』が強まってしまうのです。

双極性障害(躁うつ病)のように『生物学的原因(脳内ホルモン分泌の乱れ)』によって気分がハイになる躁状態と落ち込むうつ状態を繰り返すのではなくて、非定型うつ病では楽しいことがあるか苦痛なことがあるかの『環境的要因』によって気分の浮き沈みが激しくなり日常生活に支障が出てきます。非定型うつ病のパーソナリティ構造の特徴として、『ストレス耐性の低さ・環境適応力(変化への適応)の不足』があり、他の人から見ると大したことがないようなストレス(嫌な出来事)でも、激しい気分の落ち込みや自信喪失を感じやすくなります。

学校・職場・プライベートの人間関係やコミュニケーションの中で、『他者の行動・発言・態度』を自分を過度に否定するような悪い方向に受け取って落ち込みやすいということもあります。人間関係における悲観的な認知(受け取り方)が強まることで、他人に対する不信感や恐怖感も大きくなり、他人と冷静にコミュニケーションして問題を解決できなくなることが多いのです。

他人からの否定や批判、軽蔑、拒絶を実際以上に過敏に感じ取ってしまうことを『拒絶過敏性』といいますが、非定型うつ病では他人に否定や軽蔑をされたくないという拒絶過敏性が高まることで他者と関わる社会生活が極めて困難になることがあります。拒絶過敏性では『相手の真意を勝手に誤解する・相手の否定的感情を非常に大きなものだと推測する・一度の批判や対立を致命的な取り返しのつかないものと受け取る』ということがあり、会社で上司から注意されただけで出社拒否をしたり、学校で友達とちょっと言い合いをしただけでその相手と話せなくなったりします。

非定型うつ病には『ひきこもり(回避行動)』『怒り発作(攻撃衝動)』の行動パターンの極があり、対人的な拒絶過敏性によってひきこもりがちになることがある一方で、些細な出来事に対して普通では考えられないような激怒・攻撃性を発作的に示すことがあります。

ちょっと気に食わないことがあった時に、急に大声で身体を震わせながら怒鳴りつけたり、思い通りにならないような状況で、喧嘩腰で相手を罵倒・侮辱したり怒りを抑えられずに周囲のモノを投げて壊したりします。問題になっている状況や対人関係に見合わない『激怒(攻撃的・暴力的反応)』をいきなり示す怒り発作(アンガーアタック)が起こりやすくなり、制御困難な激しい感情と共に心悸亢進や血圧上昇、発汗・振るえといった身体症状も出てきます。激しく怒ったり怒鳴ったりした後には、強い自己嫌悪や罪悪感(後悔の念)に襲われやすく、怒り発作を起こす度に自己評価が下がりやすくなるという問題もあります。

非定型うつ病では『悲観的認知と不適応な行動の悪循環』が形成されやすく、その悪循環が強化されることによって『環境不適応(対人関係の問題)』『各種の依存症(嗜癖)』が起こってきます。悲観的認知と不適応な行動の悪循環は、以下のようなメカニズムによって強化されるので、生得的なストレス耐性を大きく引き上げることは難しいとしても、『ストレス事態の現実的な受け止め方』を工夫することで非定型うつ病の気分の波や行動の抑制(何もできなくなる悩み)を改善しやすくなります。

ストレス事態の発生……上司から注意される,友達と言い合いになる,恋人から少し冷たくされる,自分の意見ややり方が批判される,学校や会社で嫌な出来事が重なるなど。

ストレス事態の悲観的認知……上司は自分をひどく嫌っているので今後もう仕事で評価されることはないだろう,仲良くしていたはずの友達だったが、自分をあんなに否定してきて失望した,あの恋人のそっけない態度は、他に好きな人でもできて自分を見捨てようとしている証拠に違いない,誰も自分の意見ややり方を認めてくれないのだから頑張っても意味がない,自分は学校や会社に適応することが難しい人間だったということだろうなど。

ストレス事態に対する非適応的な行動……嫌な上司と出来るだけ顔を合わせないようにする,友達や恋人と話してもつらいだけなのでもう連絡を取らないようにする,自分から積極的に意見は出さず他の人のやり方に受動的に従うことにする,学校や会社に行っても不快なことしかないので行かないようにするなど。

間違った効果のないストレス・コーピング(ストレス対処)……ストレス事態を避けるために初めから社会的状況に近づかない『逃避行動・ひきこもり行動』を取ったり、一時的な興奮(熱中)で嫌な出来事や関係を忘れるために『薬物・ギャンブル・恋愛・セックス・インターネットなどの依存症』に陥ったりする。

『各種の逃避行動・依存行動』を取ることで、憂鬱感や不安感、悲しみ、怒りを一時的に和らげることができますが、逃避や依存では本質的な問題解決から遠ざかるだけではなくて、『自分にはどうせ何も有効な行動ができない』と思い込むことで精神の不安定さや自己嫌悪が強まりやすくなります。

不健康な依存症を悪化させて『心身の健康・バランス』を完全に壊してしまうリスクを回避するためには、『〜してしまった自分はもうダメだ,〜でなければ頑張る意味がなくなる,まともな社会生活を送るためには〜しなければならない(それができなければ全てが終わりだ)』という非現実的で悲観的な認知(物事の受け止め方)を段階的に変容させていくことが必要になってきます。

非定型うつ病では『過去の一度きりの失敗・他者のその場限りの否定的態度(批判・反対)』などに過度にこだわりやすい特徴が見られるので、一度でも厳しい批判や叱責を受けてしまうと、その人は自分を酷く嫌っていて今後も否定的な言動しかしてこないという苦手意識を強めやすくなります。しかし、実際には批判や注意、反論をした相手のほうは、それほど強い悪意や憎悪を持っていないことも多いので、『コミュニケーションの誤解・ズレ』が起こりやすいのです。

こういったコミュニケーションの誤解(曲解)やズレというのは男女の恋愛関係でも顕著に見られやすくなりますが、『効果的なストレス・コーピング』を行っていくためには不安や怒り、悲しみを感じている対人関係をひたすら回避するのではなくて、相手の真意や考えを正しく理解するための話し合いの機会を持つようにすることが大切になってきます。『恋人・友人・上司の内面や考え』を一方的に悪い方向で推測して落ち込んだり諦めたりするのではなくて、実際に相手と何度もコミュニケーションを繰り返していく中で、相手の意志や感情を適切に理解しやすくなります。

ストレス状況に対する現実的な認知ができるようになること、依存症的な行動パターン以外のストレス解消法を見つけること、『今・ここにおける感情や感覚』に気づいて日々の規則正しい生活リズムを意識することなどが非定型うつ病の対応では効果があります。『対人関係・生活環境の改善』を進めるために、どのような肯定的な考え方ができるのかどういった行動をすれば良いのかを、少し客観的な視点(理由・根拠を明確にする視点)で意識してみることで、拒絶過敏性を和らげることもできると思います。










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