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zoom RSS 自己評価に対する“自己愛の過剰性・劣等コンプレックス”の影響:自己評価を形成する3つの要素

<<   作成日時 : 2010/03/21 13:00   >>

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『自己評価(self-esteem)』が低くなると、自分に自信が持てなくて劣等コンプレックスに悩まされたり、目的を達成するための行動やコミュニケーションが出来なくなったりして、日常生活(対人関係)に色々な支障や不利益がでてくる。『自己評価』の高低は『自己愛(self-love)』の強さとも関係しているが、自己愛が強ければ強いほど適切な自己評価が得られるわけではなく、自己愛を補強するために『自分の欠点・短所・弱点』を覆い隠そうとすると、自己欺瞞的な防衛機制によって自己評価はかえって不安定になる。

自己愛が過剰になって自分を劣等コンプレックスから守ろうとすればするほど、自己評価は『排他的(自閉的)・比較的・自己欺瞞的』な方向に傾くので、『他人の魅力・価値・能力』を否定して『自己の優位性・有能性の価値』を相対的に承認しようとする言動が多くなってしまう。自分の自己評価の低さをカバーするために、『他人のこき下ろし・価値の引き下げ(ディスカウント)』を必要として人間関係を悪くするという意味で、『自己愛の過剰』によっては適応的な自己評価を築いて人生を楽しむことはできない。


自己愛が過剰な人の自己評価に関係する言動・価値判断は、以下のような特徴を持つ。

1.自分の欠点や短所・失敗を受け容れられず、無理に覆い隠そうとしたり、虚勢を張って自分を実際よりも優れているように見せかける。

2.他人の成功や長所・魅力を受け容れられず、強引な粗探しをして他人に同調を求めたり、自分よりも優れた要素のある人物の近くには近寄らない。

3.ポジティブな賞賛やみんなが関心を持てる話題よりも、ネガティブな批判や自分の自慢の話題を好む。

4.自分と他人を比較して、どちらが優れているか劣っているかに異常にこだわり、他人に『自分の優位性』を認めるような言葉・態度を求める。

5.人間関係の選択基準が、『自分を肯定(賞賛)してくれる相手か否か・自分の自慢や権威づけに役立つ相手かどうか』ということに偏る。


自己愛が極端に過剰になって、自分は特別な人間だから『他人の権利・価値』を踏みにじっても構わない、『自分の魅力・価値』を公正に評価することができるのは(自分に嫉妬しない)一部の優れた人間だけだという考え方を持つようになると、『自己愛性パーソナリティ障害』へと接近して日常生活や人間関係に多くのトラブルを抱えやすくなる。

自己愛が過剰な人の自己評価は、一見すると、自信満々で尊大な様子から極めて高いように見えるが、他人を否定したり見下したりしなければ維持しづらい自己評価という意味で、かなり不安定なものである。自己愛の過剰と他者の否定を中心にして形成された自己評価は、『見せ掛けの不安定な自己評価』と解釈することができる。

『見せ掛けの不安定な自己評価』は、現実的な自己像や対人関係と結びついておらず、他者からの承認・評価を引き出しにくい。状況の変化によって自分自身の情緒・気分も揺らぎやすいので、それほど適応的な自己評価とは言えない。自己評価が不安定で情緒が落ち着かない人は、『他人の批判・反論・訂正』を冷静に受け取ることができないので、一度でも自分に批判的・対抗的な態度を取った相手のことが許せなくなり、その相手と人間関係を修復することはとても難しくなる。

相手の意見や知見の有用な部分を取り入れるだけの自信(安定した自己評価)がないので、相手から自分と違う意見や主張を提示されると、自分自身が否定されたり馬鹿にされたと思い込んで、反射的に不愉快な気分や怒りの感情に襲われてしまうのである。

自己愛の過剰は、いつでも自分が相手よりも優位に立っていて物事について良く知っており、相手に敬意を払われなければならないという『非現実的な認知』を強化する。そのため、『自己と相手の対等性』を意識させるような間違いの修正や異論・反論の提示に対して、センシティブな自尊心の傷つきを覚えてしまうのである。


『安定した自己評価を高める』ということはメンタルヘルスの改善や対人関係の充実という観点からも重要だが、一般的な自己評価には以下の三つの要素がある。

1.自分で自分の価値・能力(魅力)をどのように評価しているか=自己評価の自己規定性(成功欲求・内的信念・自己イメージ)

2.他人が自分のことをどのように評価していると推測(想像)しているか=自己評価の他者規定性(承認欲求・虚栄心・劣等感)

3.実際の行動の結果や対人関係の内容をどのように評価しているか=自己評価の実際的な経験性(オペラント条件づけ・学習性無力感・ポジティブフィードバック)


自己評価の自己規定性とは、自分自身の存在や能力などについて“自分で自己定義する”ということであり、実際の社会生活における『成功・失敗の体験』によって自己評価が上下する。しかし、自分の持っている自己イメージや内的信念(価値志向性)によって、ある程度自由に『自己規定性に基づく自己評価』は調整することもできる。

自己評価の他者規定性とは、自分自身の存在や能力・魅力について“他人から認められたい・褒められたい・愛されたい”ということであり、『自分の成果(業績)に対する評価』や『人間関係・異性関係の充実度』によって自己評価が上下する。

しかし、ここで重要なのは『実際に他人が自分をどう思っているのか』ということの多くは推測に過ぎないということであり、『虚栄心(見栄・体裁)』や『劣等コンプレックス』が強くなり過ぎると、実際以上に他人が自分のことを低く評価していると思い込むことで自己評価が著しく下がってしまう。

社会不安障害(対人恐怖症)やうつ病(気分障害)では、『他人が自分のことをダメ(無能)な人間だと思っている・自分は他人に認められないタイプの人間(愛されないタイプの人間)だ』という自己否定的な認知が固定化することで、現実の対人関係や社会生活に適応することが非常に困難になってくる。










■関連URI
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自己愛障害(自己愛性人格障害)に見られる“自己中心性・承認欲求・脱価値化・カリスマ性”

34歳女性の婚活サイトを悪用した結婚詐欺についての考察3:虚構のセレブ生活と歪められた承認欲求

■書籍紹介

自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか
紀伊國屋書店
クリストフ アンドレ

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“自己評価・自己肯定感が低下する要因”と“自己評価を高めるためのポイント”
自己評価が不安定になったり極端に低くなってしまう原因としては、『非現実的・不適応的な自己と他者へのこだわり』があるので、この硬直したこだわりを緩和して、自分と他人の特徴や属性を自然に受け容れられるようになれば自己評価は安定しやすくなってくる。その方向に考えれば考えるほど、やる気や自信、楽しさがなくなっていくような『悲観的・自己否定的なこだわり』からできるだけ離れていく柔軟な認知(意識を向ける対象の転換)が大切である。 ...続きを見る
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2014/07/28 16:00

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