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熊本市の慈恵病院が運営している『こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)』の利用状況・意義を検証した熊本県の最終報告書が公表されましたが、赤ちゃんポストに子どもを預ける理由は『戸籍に入れたくない・生活困窮(経済的理由)・不倫・未婚・世間体・性犯罪の被害』などが上げられていました。自分の子どもを育てられない理由として、常識的にイメージされるのは『仕事がなかったり所得が極端に少なかったりという経済的理由』ですが、『戸籍に入れたくない』という理由が一位に来ていることはやや意外な印象を受けます。 恐らく、『戸籍に入れたくない(戸籍に入れられない・戸籍に子の記載をしたくない)』というのは、他の不倫・未婚の理由とも密接に結びついている印象を受けますが、日本では婚姻と戸籍制度によって『安定した親子関係の法認・育児をするに適した環境』が得られるという意識が根強いということも影響しているのではないかと思います。 “できちゃった婚”にしても今でこそ有り触れた結婚の動機づけとなってはいますが、日本ではまだ結婚してから子どもを持つという順序の尊重や婚姻関係にある夫婦の戸籍に入った“嫡出子”をスタンダード(優位)とする考え方が強くあります。 そのため、『結婚していない相手(結婚できない相手)』との間に子どもが出来た場合に、その子を産み育てることへの多くの困難や世間の偏見があるわけですが、非嫡出子と嫡出子の法的処遇を完全に平等化すると、婚姻制度の実質的な意味や秩序が無くなるという保守的立場からの反論もありますね。 無論、不倫関係による別の相手との子を、今の配偶者(夫・妻)との戸籍や扶養に組み込むことは道義的にも感情的にも極めて困難なのは当然ですから、夫婦関係が冷え込んでいるとしても『現在の婚姻・家族に対する各種の責任』を無視して、子どもが出来るような不倫関係というのはやはり否定されるべきだとは思います。別の相手との恋人関係・夫婦関係を本当に持ちたいという意志が固いのであれば、現在の婚姻関係をきちんと清算したり育児の責任を分担した後で次の関係へと移行すべきでしょう。
2007年5月に赤ちゃんポストの運用が開始されたわけですが、今年9月までの二年半に預けられた子どもの数は51人(男児28人・女児23人)とされており、預けようと思って相談したが思いなおして自分で育てることにしたという人が130人もいたそうです。実際に子どもを預けた人よりも、子どもを育てられないということで相談に来たが、病院側の制度的・心理的なアドバイスを受けて、やっぱり自分で育てていこうと思い直した人の数のほうが多いということは、赤ちゃんポストが『相談機関としての機能』も果たしていることを示唆しています。 預けられた51人の子どものうち、その後の調査・連絡で39人の親が判明しており(7人が親元に戻っており)、検証議会で問題にされていた『匿名性』が最後まで守られているケース(音信不通になるケース)は少数派であることが分かります。預けた親の居住地はすべて病院のある熊本県外の人たちであり、九州地方13人、関東地方11人、中部地方6人、近畿・中国地方各4人となっています。預けた親の約8割が20〜30歳代であり、約7割が未婚・離婚者だったというデータが公表されています。 赤ちゃんポストには『養育責任を放棄する無責任な親を増やす・自分の子は自分で育てるという倫理観を低下させる・親と離れて暮らすことになる子の福祉を守れない』などさまざまな反論がありますが、『最後のラインで赤ちゃんの遺棄・殺害を抑止する防波堤』として一定以上の社会的役割を果たしているといって良いように思います。 年間に望まない妊娠をする女性の数十万人単位の総数を考慮すれば、赤ちゃんポストに預けたり相談に来たりした人の数は約180人であり、赤ちゃんポストがあることによって『倫理観の低下・子どもを預けるための心理的障壁の低下』を招くというのは的を射た批判とは言えないと思います。赤ちゃんポストの有無に関わらず、望まない妊娠をする女性の総数に有意な変化はないでしょうし、どちらかというと路上などに危険な状態で遺棄される恐れもあった赤ちゃんを、設備・スタッフの整った病院で保護できたことのメリットのほうが大きいでしょう。 熊本県の検証会議(座長・柏女霊峰(かしわめれいほう)淑徳大教授)は、赤ちゃんポストが『子どもの遺棄防止』に一定の役割を果たしたことを評価していますが、『親が匿名で預ける仕組みは倫理観の低下を招く恐れがある』と指摘して、今後は匿名で受け容れないように努力するよう慈恵病院に勧告しています。 慈恵病院の蓮田太二理事長は『実名では預ける親がいなくなってしまう。(ポストを)必要とする人のために匿名での運営は大事だ』と述べて、現在の匿名で預け入れ・相談ができる方法を継続する姿勢を示していますが、慈恵病院への相談の前提として実名(身分証提示など)を義務づければ、相談する人も預ける人もいなくなるというのは合理的な推測でしょう。相談する人が減って、自分できちんと育てていこうと考え直す人ばかりであればそれで構わないでしょうが、自分ひとりでどうにもならないと思い詰めて、間違った判断をしてしまうという恐れもあると思います。 預けようとする親が実名で相談するメリットとしては、子どもが大きくなって自分の親を知りたいと思った時に知ることができる『出自(親子関係)を知る権利』が担保されるということがありますが、出産したことそのものを無かったことにしたいというような親もいるので難しいのかもしれません。 望まない妊娠をした場合に取り得る選択肢は、『自分で育てる覚悟をする・堕胎する・施設に預ける・養子縁組をする』しかないわけですが、さまざまな経緯があっても子どもが産まれてきた以上は、できるだけその子どもが他の子どもと比べて著しい不利益を負わないような形で育児・医療・進学・進路指導などに関する公的支援を充実させていって欲しいと思います。 経済的問題のみがネックとなって赤ちゃんポストに子どもを預けたようなケースでは、特に母子家庭への制度的支援などによって、多少の苦労があっても何とか子どもを育てられるような公的支援を受けられるのではないかと思うので、病院・行政が連携しながら適切な情報提供・手続きの説明をしていくことも必要でしょう。 乳児院や児童養護施設の子ども達が、里親制度(養育家庭)や特別養子縁組につながりやすくなるような制度の広報や人々の意識の変化も求められると思います。赤ちゃんポストを巡る問題の本質的な解決に向けては、『望まない妊娠を減らすための啓発教育(責任の自覚化)・避妊知識の普及』と『婚姻関係にない人でも子どもを育てやすい環境整備(育児支援)・偏見の除去』が鍵になってくるのではないでしょうか。 ■関連URI 三歳男児が預けられた熊本市・慈恵病院の赤ちゃんポスト:家族の変質と養育責任の所在 早期母子関係の発達プロセスと“愛着行動・探索行動”のバランス:ハーローの代理母実験 発達早期の母親剥奪(mother deprivation)とナルシシズム(自己愛)の歪曲の問題 ■書籍紹介 ベビー・ビジネス 生命を売買する新市場の実態 (HARVARD BUSINESS SCHOOL PRESS) ランダムハウス講談社 デボラ・L・スパー ユーザレビュー: 「日本」はこの問題を ... それは許されることな ... 生殖医療の喜びと怖さ ...Amazonアソシエイト by ![]() |
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赤ちゃんポスト・悪貨が良貨を駆逐するように、福祉が倫理を駆逐している。
「福祉が祖国を崩壊させる。」について 今朝のNHKニュースで報道されていたが、熊本市の慈恵病院に設置されている「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)に預けられた乳幼児の実態である。もちろん普通の家庭で生まれた赤ちゃんは皆無で、強姦されたり、未成年だったり、不倫が原因の、すくなくとも父親に育児放棄の責任がないケースはなかった。母親の半分と父親の全員に責任がある事態の結果が赤ちゃんポストだ。 もちろん事態が切迫してしまえば、乳児院に引き取ってもらうのはやむおえない。生まれてきた赤ちゃ... ...続きを見る |
罵愚と話そう「日本からの発言」 2009/12/24 16:42 |
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