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help RSS “親子間のコミュニケーション”と“子どもの心理的な発達プロセス”を巡る精神分析的な社会化の課題

<<   作成日時 : 2009/10/23 08:06   >>

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『コミュニケーションスキルの向上』に合わせて社会適応性も高くなっていくが、精神分析の発達論ではコミュニケーションに障害が起こりやすい時期として、エディプス期(oedipal stage)青年期(adolescence stage)が想定されている。コミュニケーション(communication)とは、外部にある他者や社会の仕組みと『双方向的な意思疎通』を行う試みであり、このコミュニケーション機能が障害された病態像(発達像)として統合失調症や広汎性発達障害(PDD)、社会性不安障害(対人恐怖症)などがある。

エディプス・コンプレックスを生じるエディプス期(男根期)では、善悪の判断をする良心(倫理観)として機能する『超自我(スーパーエゴ)』を獲得することが発達課題となる。これは、両親が教えてくれる規範(ルール)や善悪を、そのまま内面化していくプロセスとして理解することができる。

エディプス期においてコミュニケーションスキルに障害が起こりやすい理由は、『母親に対する独占欲』『父親に対する敵対心』が葛藤するエディプス・コンプレックスによって、子どもの本能的な欲求(願望)が抑圧されやすいことにある。だが、この不快な心的体験(=去勢不安)によって『幼児的な全能感』の去勢が進み、子どもの社会性や倫理観の起点が形成されるということになってくる。

母親でも父親でも良いのだが、親が子どもの言うことをそのまま聞いてあげて、子どもの欲求を何でも代わりに満たして上げている状況が続けば、子どもの心的世界に『外部(社会)』が形成されず、精神的自立(自我機能)の萌芽が起こらないという発達上の問題が起こってくる。乳幼児期の3〜4歳くらいまでは、親は子どもの『泣き・怒り・ぐずつき・不満・寂しさ』の感情表現に対して、言われるままに子どもの欲求を満たして上げざるを得ない。そうしなければ、『生存』そのものを乳幼児は自分では維持することができないからである。

しかし、幼稚園の年代(エディプス期)くらいからは『しても良いこと・してはいけないこと』の区別を躾(しつけ)として親・先生が指導するようになってきて、一定の甘やかしや慰めはあってもそれ以前のように『何でも泣けば(怒れば)、親や周りの人が言うことを聞いてくれる』というわけにはいかない状況もでてくる。エディプス・コンプレックスの心的体験による『幼児的な全能感の去勢』が段階的に行われるようになり、『母親による溺愛・過保護(甘やかし)』があっても『父親による規範・社会化』がそれと拮抗するようになるというのが、精神分析が前提とする親子関係のモデルである。

現代では父母の男女の性別にこだわる必要性はないかもしれないが、子どもの精神発達に重要な要素として、『依存できる親の表象(甘えの要因)』『一定の権威を感じられる親の表象(自立の要因)』とのバランスを指摘することができる。エディプス・コンプレックスは『超自我(良心に由来する善悪観)』を獲得するための通過儀礼として機能するが、視点を変えれば、『外部にいる他者』とコミュニケーションしていかなければならないことを知る『社会化の起点』とも言える。

乳幼児期〜児童期の前半くらいまで、自分の思い通りに動いて欲求を満たしてくれていた『自他未分離な親(自己の内部にある親)』が、自分の間違い(悪いこと)や過度の依存性を叱責して注意するような『自他が分離された親(自己の外部にある親)』へと変質していく、そういった心理的な不安と混乱がエディプス・コンプレックスには内在している。

『依存できる親の表象(子をつなぎとめる要因)』ばかりが強くなると、精神的な自立が遅くなったり、外部社会(他者)とのコミュニケーションで受けるストレスに耐えられない脆弱性が生まれてきたりする。反対に、『権威的な親の表象(子を切り離す要因)』ばかりが強くなると、自己否定的なアダルトチルドレンの遠因になったり、他者への信頼感が醸成できずに反社会的な行動(非行・犯罪)に逸脱しやすくなってしまう。

乳幼児期から児童期における『親子間のコミュニケーション(情緒的な信頼関係)』は、その後の『他者(外部世界)とのコミュニケーション』の原型を規定すると同時に、他者と向き合う場合の『自己のパーソナリティ(他者認知の傾向性)』の大枠をかたちづくっていくのである。過度の甘やかしや過保護は『子どもの自立心・ストレス対処能力』をスポイルしてしまいやすいが、過度の切り離しや放任主義は『子どもの見捨てられ感(孤独感)・反社会性』を強化して他者(社会)と協調しにくい性格構造を生み出しやすい。

親は、子の心的世界の“内部(保護的な依存性)”“外部(規範的な自立性)”において、適切に機能する『自己表象(自己に近しい内的イメージ)』になることが望ましいが、そのバランスは内部か外部かのどちらかに傾きやすい。しかし、どちらかへの行き過ぎた傾きによって、現実的な適応能力やコミュニケーション能力が障害されなければ、『特別な問題のない親子関係』と見なすことは十分に可能と言える。平均的なありふれた家族像や愛情に溢れた家族のイメージにこだわり過ぎることで、かえって悲観的な認知が強まったり、現実の家族との関係がぎくしゃくしてしまうこともあるだろう。










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“他者・社会とのコミュニケーション”と切り離せない自己アイデンティティの確立:精神分析と適応
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