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help RSS ストーカーと異性間暴力の心理2:対象恒常性の確立の失敗と孤独耐性の低下・自己愛の過剰

<<   作成日時 : 2009/07/29 07:11   >>

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一般的な精神発達のプロセスでは、『母子分離不安』を乗り越えて孤独(心細さ)を感じる自我が萌芽した時に、自己と他者の境界線が引かれて『自分の思い通りにならない他者の存在』を認めていくようになります。幻想的な母子一体感のような『自己の延長(自分の一部)としての他者』を否定して、『自己』と『他者』の独立性を承認し相手に配慮した共感的なコミュニケーションができるようになれば、行き過ぎたストーカー行為を行うリスクは低くなりやすいと言えますが、恋愛関係(異性関係)のあり方についてバランスのとれた価値認識を形成していくことも、お互いを傷つけない関係を作り上げるために大切なことだと思います。

『他者の人格性・独立性』をきちんと認識して相手の立場に立った共感的なコミュニケーションができるようになることは、『幼児期〜思春期・青年期』を通した大きな発達課題の一つですが、恋愛関係(夫婦関係)といった男女の間柄になってくると『孤独感・疎外感・自尊心の傷つき』に耐えられないという“パーソナリティ(性格構造)の脆弱性・人間関係に対する偏った価値認識”がどうしても目立ちやすくなってきます。

好きな相手から振られたり別れを告げられるというのは誰にとってもつらくて耐え難い体験なのですが、その悲哀や絶望、孤独感(見捨てられ不安)を内的に処理して受け容れられるだけの『人格(性格)の成熟・異性に対する人間観の確立』が十分に進んでいるか否かによって、異性関係のトラブルやストーカー行為を引き起こす危険性は変わってきます。

ストーカーというのは、人間関係(異性関係)に対する依存性や妄想性が過剰になって適応的な制御ができなくなった人と解釈することができますが、そういった弱まることのない執着心や依存性の背後には、過去の成育環境や人間関係によって形成された『他者への不信感・自己愛の過剰・見捨てられ不安』が想定されます。

内面世界に安定的・持続的な『対象恒常性(いつも内面にあって自己の拠り所となる他者の表象)』が確立されていないと、絶えず相手から裏切られたり見捨てられたりする不安(恐れ)を感じ続けることになります。自分ひとりの孤独な状況に耐えたり、対人関係の現実状況を受け容れるために必要な『対象恒常性の確立』に失敗する要因としては、発達早期の母子関係の愛情剥奪(慢性的な孤独感)やいじめ・疎外感などによる学校環境(人間関係)への不適応、恋愛関係における裏切り・トラウマなどを考えることができます。

“自我の強度”や“対人認知のプロセス”に何らかの問題があって、『相手と別れるストレス・相手から拒否される自己愛の傷つき』を内的に処理して段階的に緩和することが出来ない場合には、他者との現実的な人間関係の変化に適応できなくなります。

好きな相手との別離や拒否に耐えられない自我・性格構造の脆弱性がある場合には、『気分の落ち込み・抑うつ状態=自罰的な感情反応・自閉的なひきこもり』『相手への攻撃性・つきまとい=他罰的な衝動性・実害を及ぼす逸脱行動』かの反応を示すことが多くなります。そして、自分を受け容れない相手に原因を求めて非難する認知を持っていて、『外向的な行動力・活動性』が強い人の場合には、ストーキングや拉致監禁などの違法行為に逸脱する危険性が出てきます。

ストーカーや監禁のような犯罪行為を、どのように予防して安全を守れば良いのかという具体的方法の提案は簡単ではありませんが、被害者はまずは警察に相談して、自分の身を守るために『相手との接触』を確実に回避できる万全な方策を整えることが大切です。ストーカー問題に対する法的な対応や身柄を拘束できる要件を見直していくことも必要だと思いますが、どれくらいのつきまといや嫌がらせのレベル(警告の回数)で、相手の身柄を一時的に拘束できるのかという基準については慎重な議論が望まれます。

日常生活の中で対人関係への執着・こだわりが強いと感じる人の側も、『もしかしたら、自分がストーカーの加害者になるかもしれない。自分の愛情表現や異性関係のとらえ方は歪んでいるかもしれない。自分は孤独感や別れに適切に対応することができず別れを受け容れられない』という自己分析の気づきを得るように努めることで、自分が犯罪者になる危険を減らすことができます。

本当にどうしても自分の意志では危険な衝動性や攻撃欲求を制御できず、引き裂かれるような孤独感や絶望感に耐えることができないというのであれば、『執着している他者』にその解決を執拗に求めるのではなく、自分の認知傾向や行動パターンを改善するために『精神医療(医学的対処)・心理臨床(心理アセスメント+心理療法)・カウンセリング』に心理的・生理的なケアを求めたほうが結果としては良いのではないでしょうか。

異性関係(恋愛・結婚)というのは極めてプライベートな領域に属するものなので、異性関係にまつわる自分の感情や行動に精神医学的な病理性・異常性を自覚することは困難ですが、相手を傷つけたり困らせたりする衝動・行動を制御できないという状況では、自分ひとりの力では最悪のケース(犯罪・加害・心中など)を回避できない恐れもあります。

相手を好きな気持ち、大切にしたいと思う気持ちがあるのにも関わらず、相手への怒りや悪意が湧き上がってきた時には、『対象愛(相手を愛すること)』が自分が孤独・不安から逃れるための『自己愛(自分を愛すること)』にそっくり置き換えられていないかを考えてみる必要があります。

本当に自分のやろうとしていることが、『好きな相手の幸福・喜び』につながるのかをセルフ・モニタリング(自己観察)していくこと、恋愛関係・異性関係では相手を『独立した一つの人格(自分の思い通りにならない部分もある選択の自由を持つ一人の人間)』として尊重していくことで、双方向的に相手を大切にできる持続的な異性関係の基盤が出来上がってくるのだと思います。






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“6つの恋愛形態”のチェックシートと“各種の恋愛形態”をバランスよく楽しむためのポイント

■書籍紹介

自己愛の構造―「他者」を失った若者たち (講談社選書メチエ)
講談社
和田 秀樹

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