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help RSS 小中学校への携帯電話の持ち込みが原則禁止に。ウェブリテラシー・情報倫理・ネットいじめへの対応

<<   作成日時 : 2009/02/01 05:27   >>

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文部科学省の塩谷文科相は1月30日に、全国の教育委員会などに『小中学校への携帯電話の持ち込み』を原則禁止するという通知を出しましたが、既に昨年の12月1日の段階で公立の小学校で94%、中学校で99%が持ち込みを原則禁止にしています。この義務教育段階の子どもが学校へ携帯電話の端末を持ち込んでも良いのかという問題は、ケータイでアクセスするウェブサイトのフィルタリングの問題(18歳未満の子どもがアクセスすることが好ましくないサイトの識別)と比べればそれほど難しいものではないと思います。

小中学校への携帯電話の持ち込みを禁止する理由は『勉強に必要がないから・授業中に遊ぶ可能性があり勉強の邪魔になるから・ネットいじめなどに悪用される恐れがあるから』ということですが、学校が持ち込みを禁止してもしなくても『授業中にケータイを使う』ということは許可されるべきではありません。授業中に授業を受けずに勝手にケータイでサイトを閲覧したりメールのやり取りをすることは認められないというルールには大多数の大人が同意することが出来るでしょう。

学校内でケータイを使ってはいけないというルールも、小中学校の義務教育であれば概ねほとんどの人が同意できると思います。『休み時間であればケータイを使ってもいいじゃないか』という反論も有り得ますが、小中学校の子どもが学校に携帯電話を持っていくことが認められる理由は『家庭(親)への連絡のため・緊急の連絡(防犯目的)のため』ということにおよそ限定されると思います。少なくとも『インターネットで遊ぶため・外部の人とメールでコミュニケーションするため』という理由で、小中学校にケータイの持ち込みが正式に認可されることは今後も有り得ないと考えられます。

学校内で携帯電話を使わなければならない事情・必要性というのは基本的に考えにくいので、『授業中+学校内でケータイの利用を禁止する』という小中学校の校則にはそれほど抵抗はないものと思われます。『休み時間をどのように過ごしても自由』という考え方は確かにありますが、小中学校の義務教育段階(全面的に親と社会の保護下にあって行動の自己責任を問われない段階)では基本的な生活指導面も含めて学校(担任教師)の保護管理下に子どもがあると見なすのが自然であり、教室のテレビにWiiやプレイステーションをつなげて遊ぶのが許されないように、ケータイで自由に遊ぶことも認められないというルールには違和感はありません。

『学校に遊び道具を持ち込まない』という原則がどこまで厳格なのかというのは学校による差が大きく微妙な問題で、20年ほど前にも公立の小中学校にゲームボーイ(携帯型のデジタルゲーム)やウォークマン、シール、ゴム消しの人形、将棋・オセロなどを持ってきている生徒というのは少なからずいました。小学校では友達と遊ぶボードゲームや小さなおもちゃのようなものは、休み時間だけに使うのであれば容認されてもおかしくはないと思いますが、インターネットにアクセスする機能があるケータイの場合には『外部の誰とコミュニケーションを取るか分からない・ネットいじめなどどんな使い方をするのか管理しきれない』という問題があります。

インターネットが登場する前の遊び道具の大半は、『自己完結的なおもちゃ・ゲーム』か『数人で集まってするボードゲーム・友達と見せ合うシールなどのコレクション』でしたが、ケータイの場合には『学校の外部の世界や人間にアクセスする機能』があるという意味で他の遊び道具と同列に扱うことは難しく潜在的なリスクも高くなります。学校側がウェブにおける生徒の管理責任(ケータイの使い方の実際的指導)まで負いきれないことを考えると、判断能力が未熟な小中学生の間は、原則として持ち込み禁止というルールは特別に行き過ぎた処置とまでは言えない気がします。

小中学生の子どもに『学校外でもケータイの利用・所有を認めない』というところまでいけば行き過ぎた過剰な規制ということになりますが、『理由(親の希望)があれば持込みが可』という条件があるのであれば大きな混乱や反対は少ないと思います。防犯上の理由や働いている親との定期的な連絡のために、子どもにケータイを持たせたいという親の希望があれば、『学校内では使わない』というルールを子どもに守ってもらって、ケータイを学校に持ってくること自体は認めるべきでしょう。もっとも納得のいく規制は、『親との連絡用や防犯用に学校に持ち込むのは良いが、学校内では使ってはいけない』というレベルの規制であり、小中学校では登校時に教師が集めておいて下校前にケータイを生徒に返すという方法が一番適切であるように感じます(そういった方法を採用している小中学校も少なからずあるようですが、登下校や塾への行き帰りの時に連絡・防犯の用途で持つこと自体は制限されるようなことでもないでしょう)。

ウェブ上の情報知識を的確に検索して効果的に使いこなせるようになること、出会い系サイトやコミュニティサイトなどで犯罪に巻き込まれないようにすることなどを目的にした『ウェブリテラシー教育』『セキュリティ意識の向上』も必要になってきます。それと合わせて、ウェブ上で友人知人の悪口や誹謗中傷を書かないようにする『ネットマナー(情報倫理)』の教育指導にも力を入れていく必要がありますが、ウェブで友人(他人)を攻撃するという問題は『リアルの友人関係のねじれ・現実の生活状況での不満・他者との力関係』などが根本にあります。

このウェブ上の中傷・悪口の問題は、大人でも子どもでも『現実社会における何らかの不満・抑圧・劣等感・怒り・上手くいかないこと』などが先行してあると考えるほうが自然であり、現実ですべてがスムーズにいっているのにウェブだけで悪意や敵意をむき出しにするというのは考えにくいからです。表面的に学校や企業、社会に無難にそれなりに適応しているように見えても、内面的に特定の他人に対して強い敵意や悪意を持っていたり、日常生活に不満感(不安感)や空虚感を抱えながら生きているということも少なくありませんので、『ウェブだけで人が変わる(本当は何の問題も不満も抱えていないのに匿名性のあるウェブで攻撃的になる)』という見方は一面的です。

やはり、受忍限度を越えた暴言や罵倒、攻撃をウェブ上で常態的に繰り返している人には、それなりに『悪意の発散を繰り返さざるを得ないだけの内面的な苦悩・葛藤・ストレス+実際的な困窮状況・フラストレーション』があると見るほうが合理的なように思えます。その為、話題になることが多いネットいじめについても、『現実の学校生活や友人関係における不満(怒り)・不安感・劣等感(歪んだ自己顕示欲・優越欲求)』などに積極的に対処していかなければ、ウェブ上の悪質な書き込みだけを対症療法的に抑制しても(その場限りの削除・叱責などをしても)、また場所(サイトのURL)を変えてどこかで類似の書き込みが為される恐れがあります。

大人になるとひとりひとりの内面的・現実的な問題に丁寧に向き合ってケアすることで、ウェブ上の悪意ある書き込みをやめさせることなどは基本的に不可能です。しかし、学校に通っている小中学校の子どもの段階であれば、悪口の書き込み者が特定された場合に、書き込みをした生徒の教育的指導(どうしてクラスメイトを攻撃する書き込みをしなければならないような気持ちになってしまったのか・もし自分が同じような書き込みや嫌がらせをされたらどう感じるかの共感的理解・友人関係における対立点や不満点への介入)に注意深く取り組んでいくことで、子ども自身が悪意ある書き込みを自発的にやめる可能性は少なからずあると思います。

ネットいじめでは、被害生徒が深く悩んで悪い方向に思い詰めてしまわないようにする心理的ケアが最優先されますが、書き込みをした生徒を厳しく叱責し過ぎて逆に心理的に追い詰めてしまうケースも過去にはあったので、それぞれの生徒のパーソナリティ(ストレス耐性・注意の受け止め方)や教師の指導が与える心理的影響(動揺・不安・落ち込み)などにも配慮することが求められます。

現実のいじめでも、いじめている生徒のほうを過度に厳しく注意したり暴言に近い形で問い詰めたりして自殺してしまうというケースは少なくなく、いじめている生徒(普段の学校生活の中では力の強そうに見える生徒)だから教師や大人が多少乱暴な雰囲気で叱り飛ばして絞め上げてもそんなに精神的なダメージは無いだろうという推測も的を外すことがあります。小中学生の段階では特に外見的なふてぶてしさやメンタル面のタフさというのは余り当てにならず、子どもは子どもなので大人の教師が本気で何人も集まって大声で怒り続けたり(力を加減していても)体罰などを与えれば、学校に行けなくなったり自分の存在を否定してしまうレベルの精神的プレッシャーを受ける恐れが出てきます。

ネットいじめでは更に『リアルの友人間の力関係』が逆転しているケースもあるので、双方の事情・友人関係を詳しく把握せずに、どちらか一方だけが悪いという前提で決めてかかるというのは好ましくないやり方でしょう。ネットで悪質な書き込みをしている生徒のほうが、リアルの学校生活でいつも相手よりも優位な立場に立っているとも限らないので、『友人関係・学校環境の調整』『双方に対する心理的ケア(穏やかな雰囲気で個別的な話し合いの時間を取ってわだかまりを残さないこと)』『ウェブの使い方(ウェブ・コミュニケーション)の指導』を丁寧に行っていく必要性がより高いと思われます。






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