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help リーダーに追加 RSS イスラエルのガザ侵攻とパレスチナ問題1:近代国家のナショナリズムとユダヤ人のシオニズム

<<   作成日時 : 2009/01/09 05:03   >>

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イスラエルのガザ自治区への空爆・砲撃によって民間人を含む700人以上のパレスチナ人が死亡しているが、イスラエルの過剰防衛的な『攻撃の対象』を選ばない攻撃と反撃による被害を拡大するだけのハマスのロケット弾発射が、相互の不信や怒りを煽り立てている。イスラエルとイスラム原理主義組織ハマス(ハマスを支持するパレスチナ人)の間には停戦条件を巡る不一致が多く、フランスのサルコジ大統領をはじめ多くの国が非難声明を出したり和平交渉の仲介に乗り出したりしているが交渉は思うように進んでいない。イスラエルに大義があるのか、パレスチナに正義があるのかという議論は、過去に幾度もの軍事衝突やゲリラ戦(パレスチナ側からすれば主権回復の抵抗闘争・イスラエル側からすればテロ)を展開している現状では簡単には言及できなくなっている。

パレスチナ問題の起源は確かに大国の思惑や利権が絡んだ1948年の『イスラエル建国(米ソの承認)』にあるが、ユダヤ人のシオニズム(パレスチナ帰還による国家建設運動)がイスラエル建国に辿り着くことができた要因としてナチス・ドイツのホロコーストや近代化に付随するナショナリズムの台頭を無視することができない。ユダヤ人が自分たちの民族の国家を持ちたいと切実に考えて、そのシオニズムの願望を実際のパレスチナへの移住行動として現し始めるのは19世紀末である。その移住行動には、フランス革命以後のナショナリズムの熱狂によって、『主権者としての国民アイデンティティ』から零れ落ちるユダヤ人に対する差別・偏見が助長されたことが少なからず関係している。

ユダヤ人の多くは、本心から近代国家の主権者であるイギリス人にもドイツ人にもフランス人にもロシア人にもなりきれなかったのである。一方で、その国の忠実な国民であろうとして努力したユダヤ人も数多くいたが、1894年の『ドレフュス事件』に象徴されるように“ユダヤ人であるというだけ”でその忠誠心や誠実性を疑いの眼差しで見られる社会の偏見は極めて根深いものがあった。ユダヤ人の方が他の民族との『完全な同化』を拒絶して、ユダヤ人としての独自のアイデンティティを捨てることを望まなかった側面もあるが、受け容れる他の民族や社会の側にもユダヤ人と自民族の『完全な同化』に対する強い抵抗感や差別感情があった。

日本でも在日韓国人に対する偏見は少なからず残っているが、帝国主義時代の『韓国併合・強制連行』や戦後の『賠償問題・拉致問題・歴史認識の対立』などを抜きにして考えてみても、近代国家においては『外国人(異民族)に対する自分たちとは異なるという感覚』を完全に排除することは極めて難しい。戦時に徴兵された朝鮮人・韓国人の中には、『日本人としてのアイデンティティ』を持って戦争に参加し戦死した将校・兵士などが多くいたとされるが、それでも近代国家の民族意識の根底には日本人と韓国人の差異というものが埋めがたく横たわっていた。

『差異の認識』は必ずしも差別や偏見、不平等に結びつくものではないが、例えば、日本人がアメリカやイギリスに行ってどれだけ現地の言語環境・生活習慣・伝統文化に溶け込んで強い愛国心を持っても、アングロ=サクソン系の白人とアジア系の日本人という差異の認識は残る。外見的な違いが少ない中国や韓国に日本人が溶け込もうとしても(歴史的対立などが無いと仮定しても)、日本からやってきて中国人・韓国人に帰化したという『差異の認識』は恐らく消えない。外見的な差異が乏しければ何世代、何十世代かを重ねれば、過去の祖先の記憶が薄れて現地の人間として完全に同化する可能性はあるにせよ。ユダヤ人問題と在日問題は全く歴史的経緯や宗教の有無、偏見の性質が異なるものではあるが、『民族国家で異民族がその国の国民として生きることの困難』という意味で共通点を孕むものではないだろうか。

近代国家が愛国心と民族(国民)アイデンティティを再発見したことの影響は良い部分でも悪い部分でも非常に大きく、江戸時代以前の日本人(各地の小規模な国・藩・村落に帰属意識を持っていた人)と明治維新以降の日本人(国家としての日本に帰属意識を持つようになった人)との『自己規定のあり方』を同列に語ることはできない。第二次世界大戦以前の近代国家は、世界に市場・領土を拡大する資本主義とリンクした帝国主義との相性の良さを示したが、簡単に言えば近代国家(民族国家)は非近代国家(封建主義国家・部族集団)よりも『戦争』が圧倒的に強かったのである。

近代兵器の軍事力と国民の愛国心を結合できる『戦争機械』として覚醒した近代国家(西欧列強)は、近代化していない地域を簡単に植民地化して領土分割を進めていったが、前近代社会のスーパーパワーであった中華帝国(清王朝)やオスマン=トルコ帝国は西欧列強の侵略に全く対抗することができなかった。清王朝の皇帝とオスマン帝国のスルタンは『広大な領土・絶大な権力』を所有していたが、国家の軍事力と国民の忠誠心(愛国心)を最大化させる『近代兵器・国民教育の制度・ナショナリズム・徴兵制』を持っておらず、西欧列強の軍事力とは彼我の差があった。

敗戦経験と憲法9条(日本国憲法)を持つ現代日本では『近代兵器(核兵器)・国民教育の制度・ナショナリズム・徴兵制』というのは、どちらかというとネガティブな国家権力(自由の統制)や戦争(ファシズム)のイメージと結びついている。19〜20世紀の帝国主義の時代には、これらの近代国家を効率的な戦争機械として機能させる富国強兵の要素が『国家覇権・独立の維持・民族の生存』の基本条件であったが、戦後の先進国では国民は『戦闘要員』ではなく『経済主体(生産者・労働者・消費者)』としての位置づけに変質することになった。国家間戦争のリスクが低下して軍事活動が専門化したこともあり、『国民皆兵・常在戦場』のような意識が浸透しているのは緊迫した情勢化にある一部の国々だけとなった。男女に徴兵制を課すイスラエルやゲリラ部隊を絶えず育成しているパレスチナ自治政府・イスラム原理主義組織ハマスも国民皆兵の意識を持つ一部の国(勢力)に該当するが、イスラエル(パレスチナ)ではいつ戦闘やテロが起こってもおかしくない緊張した警戒状態が続いている。






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イスラエルのガザ侵攻とパレスチナ問題2:ユダヤ人の自己アイデンティティと中東戦争の歴史
ユダヤ人の寛容性・親和性を欠く『選民思想』はよく批判の引き合いに出されるが、仮にユダヤ人が『選民思想』を持っていなければ既にユダヤ人(ユダヤ民族)という自己アイデンティティを持つ集団は歴史から消滅していた可能性が高い。ユダヤ人の苦難と迫害、忍従の歴史を思えば、ユダヤ人であるアイデンティティを捨てて他のヨーロッパ民族と同化するという選択があってもおかしくなかったが、古代ギリシア・古代ローマ帝国の時代から無数のマイノリティ民族が選択した『敗戦からの同化・順応』を拒絶し続けたことにユダヤ人の特殊... ...続きを見る
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