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森博嗣『スカイ・クロラ』の書評
『スカイ・クロラ』は戦闘機を操縦するパイロットの子供の話であり、近未来的なシチュエーションの中で『無機的な戦争(生存競争のメタファー)』と『生きる意味の喪失』が語られる。『スカイ・クロラ』を読み始めたばかりの頃は、今までの森博嗣の作品とは雰囲気や世界観がかなり違っていて、文字を追いにくいような感じを受けた。恐らく、散香マークBという戦闘機のエンジンやメカニズムの描写が多いことや、物語的連関が無い空中戦のシーンが繰り返し登場することがある種の読みにくさに影響しているのだろう。 ...続きを見る

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2008/06/29 13:02
パーソナリティ障害(人格障害)における“内向性・外向性の過剰”と“自己顕示欲求の表現形態”
性格構造の形成要因には『遺伝・体質・気質・性格(パーソナリティ)・態度・環境』などがあるが、人間の選択する行動の多くは『欲求の充足・緊張の緩和・社会的な役割・自尊心の維持』によって理解することができる。欲求の充足のより高次な形式には『意味の追求』や『自己アイデンティティの確立』があり、そこに社会的存在としての自己概念が加わってくると自己の欲求と社会貢献(他者への奉仕)のバランスが自然に取れてくることもある。『人格(パーソナリティ)』という概念が内包する意味には日本と欧米で大きな違いがあり、最近で... ...続きを見る

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2008/06/27 16:45
齋藤孝・梅田望夫『私塾のすすめ――ここから創造が生まれる』の書評3 :ワークスタイルと幸福の条件
第3章『「ノー」と言われたくない日本人』では、終身雇用制が緩やかに崩れかかっている日本の雇用環境において、どのようにして職業アイデンティティやワークスタイルを確立していけば良いのかが語り合われています。齋藤は会社組織への適応方略として『寒中水泳の比喩』を用いながら、自己アイデンティティ(自分のやりたい事)と会社での役割を「期間限定」で思い切って一致させてゆくことを推奨します。 ...続きを見る

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2008/06/27 09:53
齋藤孝・梅田望夫『私塾のすすめ――ここから創造が生まれる』の書評2:ウェブの流儀と教育者の情熱
齋藤孝が『祝祭共有のコミュニティありきの教育』であるのに対して、梅田望夫のほうは『やる気のある個人ありきの教育』であるのが両者のパーソナリティの特徴を顕著に表していて非常に興味深く感じました。齋藤が好きで堪らないという『授業というスタイルの関係性』とは、学びの場に参加している人全員が『自分の上達・成長』を体験して、生徒が『お互いの上達の感動(その上達が必ずしも相対的に素晴らしい上達である必要はない)』を祝祭の時間(空気)の中で笑って共有するということです。究極的には、授業というスタイルの“関係性... ...続きを見る

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2008/06/25 11:50
齋藤孝・梅田望夫『私塾のすすめ――ここから創造が生まれる』の書評1 :志向性の共同体と教育ビジョン
子ども達と直に触れ合いながら教育学の分野で実践を続ける齋藤孝とウェブの最先端を見据えながらビジネスの分野で活躍する梅田望夫の対談本です。未来におけるウェブ技術を駆使した『学習の進歩の可能性』というテーマについて語り合う齋藤孝と梅田望夫ですが、二人がイメージしている『教育活動の具体像・対象範囲』にはかなりのズレがあり、そのズレを補正する共通の理念として『私塾願望』が掲げられます。リアルとネットを架橋して『志を同じくする仲間』が集い『ロールモデルとしての師』と出会うことで、年齢や場所に制限されない『... ...続きを見る

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2008/06/25 11:37
後醍醐天皇の建武の新政の瓦解と足利義満による南北朝の合一
鎌倉幕府の滅亡後には、後醍醐天皇が実際に政権を運営する『建武の新政』が始まります。しかし、朝廷の実権と天皇親政を回復しようとする建武の新政は、恩賞・訴訟の不公平や旧来の土地所有権を否定したことによる所領問題の混乱、大内裏造営のための重税、天皇や公家の浪費・遊興による財政逼迫など多くの問題を抱えた悪政に終わりました。国政の混乱を深めた建武の親政は、北条時行(北条高時の遺児)と北条泰家(時行の叔父)が起こした中先代の乱(1335)をきっかけにして終焉に向かいます。 ...続きを見る

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2008/06/22 10:28
ジョゼフ・バビンスキーの自己暗示による神経症論(ヒステリー麻痺形成)とバビンスキー反射
自分が致命的な重い病気であることをしきりに訴えるヒポコンドリー(心気症)や手足が振るえたり身体がけいれんしたりするヒステリー反応も、自分の周囲に他人が存在する場面のほうが起こりやすいという傾向があり、他者からの認知・承認を求める心理が大きな要素となっています。前回の記事の続きになりますがS.フロイトやP.ジャネ以前の神経精神医学では、『神経学的異常(脳障害)あるいは身体的原因があって精神症状が発生する』という器質因論(身体因論)が主流でしたが、ジャン=マルタン・シャルコーの催眠療法によってヒステ... ...続きを見る

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2008/06/22 04:52
重松清『トワイライト』の書評:積み上げてきた過去の時間と揺らぐ中年期の自己アイデンティティ
家族や子どもを持つようになった39歳の元同級生の男女が、夕刊の告知面を見て小学生時代に校庭に埋めたタイムカプセルを開封するために同窓会に集まる。たまがわニュータウンの団地に住んでいた彼らが通っていた長山西小学校が廃校になることが決定し、40歳になって開封する予定だったタイムカプセルを1年半ほど前倒しして開けることになった。当然、30年近い時間が流れている状況でクラスメイトの全員が集まるはずもなく、小学生時代の思い出や人間関係に郷愁を感じる少数のメンバーだけが集まった。 ...続きを見る

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2008/06/20 11:55
Firefox 3をダウンロードして使った感想:スマートロケーションバーでウェブ履歴の検索が可能に
6月18日の早朝からFirefox 3がダウンロード可能になっていたので、早速ダウンロードしてみました。レンダリングエンジンとしてGecko 1.9を採用し、JavaScriptの読み込み速度やCSS適用の正確性が改善されているということですが、Biglobeのトップページなど転送量の多い画面の表示速度も若干早くなったような感じがあります。正規版のFirefox3のダウンロードが開始される前から、Googleが提供するGmailの表示速度が速くなると言われていましたが、リッチインタフェースになっ... ...続きを見る

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2008/06/18 07:16
秋葉原の無差別殺傷事件から考えたこと3:特別な他者や恋人を求める感情と条件・属性による対人魅力の承認
6月6日2時55分の加藤容疑者の掲示板の書き込みに『それでも、人が足りないから来いと電話がくる・俺が必要だから、じゃなくて、人が足りないから・誰が行くかよ』とあるように、彼はきつくて給料が安い仕事が嫌というのもあったでしょうが、自分という存在(人格)が道具のように取り扱われる職場環境への不満を鬱積したようにも読み取れます。本当は自分のことなんてどうでもいいくせに、何かに利用しようとする時(相手にとっての利益がある時)だけ自分を呼び出してくるというような対象関係の認知が加藤容疑者の内面に非常に根強... ...続きを見る

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2008/06/15 08:16
秋葉原の無差別殺傷事件から考えたこと2:他者に対する破壊衝動の克服と対人関係の功利的調整
精神分析家メラニー・クラインが考案した発達早期の精神発達論では、乳幼児は無意識的な破壊衝動(攻撃欲求)を部分対象に向ける『妄想‐分裂ポジション』から、破壊した部分対象にも自分と同じ人格や感情があることに気づいて罪悪感を抱く『抑うつポジション』へと発達していくと考えられています。『妄想‐分裂ポジション(生後3〜4ヶ月)』の最大の特徴は、自己と他者(母親の部分対象)の区別が曖昧で、他者を自分と同じ主体性(意志・感情)を持つ独立的存在として認知できないことですが、妄想‐分裂ポジションでは『分裂(spl... ...続きを見る

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2008/06/13 01:17
秋葉原の無差別殺傷事件から考えたこと1:家族との情緒的な結びつきと社会と向き合う精神的自立のプロセス
6月8日、東京・秋葉原の歩行者天国で7人を死亡させ10人に重軽傷を負わせるという戦後稀に見る無差別殺傷事件が発生しました。加藤智大容疑者(25)はレンタルした2トントラックを歩行者天国の横断歩道に突っ込ませた後に、ダガーナイフを振りかざして多くの人を殺傷しましたが、事件後の加藤智大容疑者の供述とネット(ケータイサイトの掲示板)への書き込みによって浮かび上がってきた人物像は『異性・友人・社会からの肯定的評価』を執拗なまでに求める孤独な男性の姿でした。 ...続きを見る

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2008/06/13 01:05
言論・表現の自由と公共の福祉による人権の制限2:政府からの自由と政府による自由(保護)のバランス
現代の自由民主主義国家で、社会全体の利益や秩序によって個人の自由・権利を制限することができるという外在制約説を採用している国は殆どありません。それは、政府(世論)の政策的・功利的判断に規制基準が左右されやすい外在制約説では、国民主権(主権在民)によって精神的自由を十分に保護することが難しく、恣意的な基本的人権の制限が行われる危険性を排除できないからです。外在制約説では社会全体の利益や多数者の支持する慣習的規範によって、個人の種々の人権が強制的に制限される可能性に絶えず開かれており、人間の尊厳(プ... ...続きを見る

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2008/06/09 18:53
言論・表現の自由と公共の福祉による人権の制限1:個人の自由(権利)と主体的倫理のバランス
インターネット上の有害情報から青少年を保護する目的を持った『青少年ネット規制法』が衆院を通過して『言論・表現の自由』を巡る議論が活発化しています。最近の日本のウェブやマスメディアでは、精神的自由(言論・表現・思想信条の自由)とアクセスの自由(知る権利)についての意見を目にする機会が多いですが、日本では自然権に由来する個人の自由権(自由主義)よりも社会秩序(公序良俗・公共の福祉)を優先すべきだという意見も少なくありません。 ...続きを見る

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2008/06/08 21:35
斎藤環+酒井順子『「性愛」格差論 萌えとモテの間で』の書評3:システム社会における性愛の可能性
3章『「ヤンキー」――語られざる一大文化圏』では、ヤンキー文化圏を『現実の恋愛と結婚を最重視する文化・行動様式(ファッション)や消費行動を通した自己主張(自己顕示)の強い文化』として大まかに定義していますが、ヤンキー文化圏には外国ブランドのビジネス・ステイタスなビジネス・ギャンブル産業・性風俗産業・自動車(VIP車)のカスタマイズ・音楽産業・テレビ業界など非常に多くの経済活動が取り込まれており、『内なるヤンキー性(通俗的でキッチュな自己主張の強さ)』を抜きにしては現代の経済社会が回らなくなるとい... ...続きを見る

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2008/06/07 21:58
斎藤環+酒井順子『「性愛」格差論 萌えとモテの間で』の書評2:リアルとバーチャルで満たされる性愛
『2章「おたく」――萌える男たちの心理とは?』と『4章「腐女子」――異性と番う(つがう)よりも同性で』は、バーチャルな虚構のキャラクターに恋愛感情・性愛欲求を一方向的(モノラル)に抱くという意味では共通性があるのですが、男性のおたくのほうが女性の腐女子よりも『現実の異性関係との距離』が若干遠いという特徴があるようです。斎藤環は男性ジェンダーの性愛の特徴を『所有(排他的な独占)』に見出し、女性ジェンダーの性愛の特徴を『関係性(共感的コミュニケーションの密度)』に見出していますが、アニメ・ゲーム・漫... ...続きを見る

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2008/06/05 13:56
斎藤環+酒井順子『「性愛」格差論 萌えとモテの間で』の書評1:結婚・未婚・規範性を巡る男女の意識
『社会的ひきこもり』などひきこもり関連のガイダンスを多く出している精神科医の斎藤環(さいとう・たまき)と『負け犬の遠吠え』で“負け犬”というキーワードを流行らせたエッセイストの酒井順子(さかい・じゅんこ)の対談本ですが、『社会的属性』と『性愛の形態』との相関を対談形式で興味深く読むことができます。格差社会が喧伝される現代では、『所得・資産・職業・社会保障(社会保険)』といったマネーと社会的地位・老後保障の格差に目が行きやすくなっていますが、格差が拡大しても社会秩序が比較的安定している背景には『性... ...続きを見る

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2008/06/05 13:42
大人のブログの問題と子どものブログの問題:コメント欄のコミュニケーションとリアルの子ども社会との連動
前回の記事では、小学生・中学生・高校生のインターネット利用に関する考察を書きましたが、ブログに書かれた中傷が引き金となって女子高生が自殺するに至った悲しい事件を、一般的なブロゴスフィア全体の誹謗中傷の問題に敷衍できるのかということについてはやや懐疑的なところがあります。大人であっても子どもであっても、『自分自身の人格・属性・自己主張・価値観・人間関係(コミュニケーションの取り方)・容姿外観・周囲の評価』などを否定的かつ無根拠に乱暴な表現で中傷されれば、心が傷つき自己評価(自尊心)の低下や抑うつ感... ...続きを見る

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2008/06/03 12:37
小学生〜高校生のインターネット利用における注意点と未成年者のネットいじめ・悪口の書き込みへの対処
北九州市小倉北区の美萩野女子高校に通う1年生の女子生徒(16)が、ネット上のブログで『死ね・むかつく』などの中傷をされ、その後に自殺するという問題が起きました。このブログはケータイでアクセスする仕様のブログであるという報道も為されていますが、ブログの実際の書き込み自体は確認されていないものの、学校側の調査に対して同級生の一人の女子生徒が『自分が中傷の書き込みをしたかもしれない』とスクールカウンセラーに話して学校を休んでいる状態にあるようです。 ...続きを見る

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2008/06/03 06:33
ワンルームマンションでの隣人関係とセキュリティについての雑感:地域社会におけるコミュニケーション
東京都江東区潮見のマンションで起きた事件について書きましたが、その後に警察の捜査・聴取が進み犯行の具体的な時系列も明らかになっているので追記しておきます。女性がピアスと血痕を残して行方不明になった当日(4月18日)の午後11時、警察が初めて星島容疑者の部屋を訪問した時には、女性はまだ生存していたという自供が為されていますが、再度、翌19日の午前2時頃に警察が訪問した時には亡くなられていた可能性が高いようです。マンションの防犯カメラの解析が終わっていない段階での任意の事情聴取(家宅捜索)だったので... ...続きを見る

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2008/06/02 12:21

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