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help RSS パーソナリティ障害(人格障害)における“内向性・外向性の過剰”と“自己顕示欲求の表現形態”

<<   作成日時 : 2008/06/27 16:45   >>

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性格構造の形成要因には『遺伝・体質・気質・性格(パーソナリティ)・態度・環境』などがあるが、人間の選択する行動の多くは『欲求の充足・緊張の緩和・社会的な役割・自尊心の維持』によって理解することができる。欲求の充足のより高次な形式には『意味の追求』や『自己アイデンティティの確立』があり、そこに社会的存在としての自己概念が加わってくると自己の欲求と社会貢献(他者への奉仕)のバランスが自然に取れてくることもある。『人格(パーソナリティ)』という概念が内包する意味には日本と欧米で大きな違いがあり、最近では人間性(道徳性)や正常な判断能力に問題があると勘違いされる恐れのある『人格障害』ではなく、『パーソナリティ障害』の表記を用いた方が良いのではないかという議論もある。

確かに日本語に置き換えた場合に、『あの人は人格に問題がある』と発言するのと『あの人はパーソナリティに問題がある』と発言するのとでは、言葉の受け手が感じるニュアンスがだいぶ変わってくるだろう。日本語の通常の会話で『あの人はパーソナリティに問題がある』というような言い回しをすることは殆どないが、日本語の『人格』という概念には社会道徳的な価値判断(人格者であるか非常識人であるかのような優劣)が拭いがたく付随している。『パーソナリティ』のほうが、日本語の語感に潜在する『人間性・自尊心の中核としての人格』から一定の距離を確保しやすいと言えるが、日本語では人格・性格・パーソナリティの区別はやや曖昧な部分がある。

『人格(personality)』『性格(character)』を比較すると人格のほうが性格よりも高次の分類概念であるが、性格には『意志的(自発的)な行動様式』『対人関係における感情表現・行動選択』という動的な意味が強く含意されている。パーソナリティ障害には、標準的な性格類型からの過剰な偏りや社会適応性の障害が特徴的なものとして見られるが、『主観的な苦悩(自我異質性)』『客観的な問題(他者への迷惑・社会適応の困難)』によってパーソナリティ障害が精神医学や臨床心理学の対象(治療的・研究的・カウンセリング的対象)として位置づけられることになった。

人格障害(パーソナリティ障害)とは何か、周囲や社会・精神医学はどのような対応を取るべきなのかという問題意識については『過去の幾つかの記事』で何度か言及したが、パーソナリティ障害の持つ客観的な問題要素の多くは古典的なヒステリー研究や被害妄想・対人恐怖の研究において提示されている。日本人にとって最も病態を理解しやすいネーミングである対人恐怖症はDSMにおいて社会不安障害として疾病概念がまとめられ、最近は社交不安障害といった名称も提起されているようであるが、その本質は『(一定のコミュニケーション欲求があるものの)対人関係における不安感・緊張感・回避傾向が異常に強い』ということにある。

パーソナリティ障害におけるクラスターA(A群)は統合失調症関連の研究(妄想幻覚・自閉・感情鈍磨)から特徴が導き出されており、クラスターB(B群)はヒステリー性格や自己愛性格、精神病質からその特徴の大まかな輪郭を把握することができる。クラスターC(C群)の特徴は、社会不安障害や強迫性障害、非社会的問題行動などの研究と関連している。

このように3つの分類群を眺めるとパーソナリティ障害には『外向性の過剰(他人と積極的に関わろうとし過ぎる傾向)』『内向性の過剰(他人との関わりを極端に回避し過ぎる傾向)』の極があり、具体的な行動・発言の特徴として『自己顕示・他者依存・他者否定・自我防衛の過剰・社会生活(対人関係)の拒絶』などが発現してくる。外向型性格が適応性を失うほどに過剰になる背景には『(現実の自分の価値とは無関係に)他者から強く承認されたいという欲求』があり、内向型性格が適応性を失うほどに過剰になる背景には『(あらゆる状況と関係において)他者から傷つけられたくないという欲求』が存在している。

外向型と内向型のどちらのパーソナリティ障害の型にも、自尊心(自己肯定感)や自己愛を守るための自我防衛機制が関係しているが、積極的に『自分の価値(魅力・能力)』を他人に認めさせたいとする外向的なクラスターBと、消極的に『自分の自尊心』を他人(外界)から防衛しようとする内向的なクラスターA・Cの一部とではまったく行動の選択が異なってくる。自己愛性格やヒステリー性格の特徴である『自己顕示性・自己中心性』というのは、他人に迷惑を掛けない適度なレベルの自己顕示であれば『ポジティブな自己アピール・印象的な自己主張・個性的なスタイル(ファッション)』として受け止められる可能性もあるが、自己顕示のレベルが過剰になり過ぎると『現実の自分』『自己顕示する自分(理想自己に近い自分)』との落差が大きくなってくる。

自己顕示の心理の平均的な表現形は『自慢・自惚れ・大袈裟な言動・個性的なファッション・批判的な態度』というものであり、これらは程度の差はあれ誰もが何らかの機会や状況で示すことのある自己顕示の形式である。(一般的な自慢話やうぬぼれた態度が嫌いという人も少なくないと推測されるが)他人に迷惑や不快を与えるような過剰な自己顕示というのは、『虚言(うその自慢をする)・欺瞞(他人をだます)・他者否定(他人の能力や魅力などを否定する)・反社会性(犯罪や嫌がらせで注目を集める)』などの要素を帯びたものであり、自己顕示と他者危害(他者の欺瞞)が極めて近い位置づけにあるものと考えることができる。パーソナリティ障害における自己顕示と相関するヒステリー的な虚言傾向について、もう少し付属的な考察を深めたいと思う。






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