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help リーダーに追加 RSS 『勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド』の書評:経済的・精神的自立と個人の幸福追求

<<   作成日時 : 2008/03/13 11:21   >>

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本書は2006年1月に勝間和代氏が書いた『インディでいこう!』のリメイク版ということですが、基本的には、これから就職活動をしようという女性に向けて『職業キャリア(人生設計)の大まかなビジョン』を提示した自己啓発的な内容になっています。前書きでも、20〜30代の女性向けに書いた本とされており、雇用情勢や将来保障が不安定になる中でインディペンデント(自立的・自律的)な生き方をするにはどうすれば良いのかをテーマにしているとあります。一般的な新書と比較してもページ数が少ない薄手の本なので、通勤途中や講義の合間に短時間で読み終えることが出来るのが利点ですが、インディペンデントな女性になるための『具体的な方法論』というよりは『自己認識の転換』が中心的なテーマになっています。

本書では、自立的な人生設計ができる人物をインディとし、他律的な人生設計になってしまう人物をウェンディとしていますが、本書で示されている『インディの条件』のハードルは一般的にはかなり高いと思います。女性だけでなく男性にとってもインディになる効用は高いですが、『第1章 インディになりませんか?』ではインディの三つの条件を以下のように提起しています。



1.年収600万円以上を稼げること

2.自慢できるパートナーがいること

3.年をとるほど、すてきになっていくこと



『勝間和代のインディペンデントな生き方』の主題は、このインディの三つの条件を巡る叙述ですから、極端なことを言えば第1章を読むだけで全体の内容を概略的に把握できるわけですが、インディの特徴を一言でいえば『自分の人生の主導権を他に委ねない』ということになるでしょう。女性の年収600万円という数字は、女性一人でも子どものいる世帯をある程度余裕を持って支えていけるという水準ですから、統計的にはかなりハードルの高い数字です。男性でいえば年収1000万円程度に相当する数字ですから、一般的な求人(ハローワーク・求人情報誌)に掲載されている仕事でこの年収を稼ぐことは難しく、『付加価値の高い資格やスキル・ビジネスの仕組みをつくり出す発想と実務能力・アイデアを収入に結びつける行動力とストレス耐性・ビジネスを円滑化する具体的なノウハウ』などの要素が必要になってきます。

本書で書かれている内容は、『インディとウェンディのメリット・デメリット』の比較であり『インディになれる可能性のある行動パターン』についてですから、具体的なノウハウや職業キャリアの積み重ね方というのは個別的に考えていかなければならず、そもそも『平均以上の収入を得る方法』について『高学歴を得て大企業(官庁)や専門職に就職する』という以外の一般的なソリューションを提示するのは不可能です。例外的には、アーティストや俳優・スポーツ選手として成功するとか、ベンチャー企業を上場させるとか、スモールビジネスで成功するという方法もありますが、これらは多くの人にとって現実味のある生活設計ではありません。

こうすれば絶対に仕事が上手くいく、確実に高所得を得られるという固定的なソリューションがあるのであればキャリアアップや企業努力の苦労はないわけですが、決まったゴールや絶対確実な方法がないというのが仕事の難しさであり、逆に言えば、決まった道筋がないから働き方の自由度が高まるという魅力があります。インディになるための決まった道筋はありませんが、一般論として『需要が大きく供給が少ない分野で希少性や専門性のある人材になる・幅広い業界に人脈を形成して雇用機会を拡大する』というのが、インディになるための王道だと考えることが出来ます。その意味で、本書で書かれているライフスタイルを実践できるのは、新卒段階から大企業(官庁)に就職している女性か専門的な難関資格を有している女性のように思えますが、実際には、自分の人生を豊かにする人間関係を広げていける社交的な女性もその範疇に十分に含まれます。

本書でも、後半で相互信頼的な人間関係をつくるための対人スキルについて述べられていますが、現実の経済社会では、インディになるための要素として『個人的要因(能力・実績・スキル・資格)』よりも『対人的要因(互恵的な人間関係・他人による自分の評価・成長や向上のための刺激を与え合える関係・プライベートで自分を支えてくれる相手)』が重要になってくる場面が多くあります。

勉強が得意でも仕事がなかなか上手くいかないというケースは多く見られますが、黙々とやった分だけ結果が得られる『コスト対効果』を享受しやすい勉強(受験勉強・資格試験の勉強)と仕事(経済活動)とには大きな違いがあります。基本的に、『勉強』というのは『自己』と向き合う行為であり教養主義的で自己完結的な要素を多く持ちますが、『仕事(職業)』というのは『他者』と向き合う行為であり、自己の欲求充足よりも先にどのようにして相手を喜ばせて満足させるかを考えていかなければならず、勉強以上に不確定で偶発的な要素(市場の需給・他者の感情や評価・その場その場の結果)に影響を受けます。『努力の方向性』が自律的であるか他律的であるかという部分にも違いがあり、仕事の場合には『努力の方向性』を間違えれば時間・労力のコストに見合った十分な報酬が得られないこともあります。無論、仕事の報酬には、金銭に換算される経済的対価だけではなくて『感情的対価・モチベーションの対価』もありますから、自分の好きな仕事をやっていて生活に困らず、精神的にも一定以上の満足感がある場合には、無理をして高所得を目指す必要はないのではないかとも思います。

本書では、インディになるための二つの法則として『1.じょうぶな心』『2.学び続ける力』を挙げていますが、これは心身の健康を維持して仕事を楽しく発展させていくためには男女を問わず必要なポイントですね。全体的な雰囲気として、企業社会で男性よりも不利な待遇を受けやすい女性が、どのようにして経済的・精神的自立を成し遂げていけば良いのかという男女共同参画社会を推進するような主張が感じられますが、その意味では、男女の性別役割分担に対する批判的なメッセージ性を含んだ部分もあります。

男性だからこのように生きなければならない、女性だからこのように生きなければならないという強制力のある規範的な性別認識(ジェンダー観)はナンセンスだと思いますが、それぞれが『自分の理想とする人生』を歩めるような自由社会の原則を確立していくことが重要であると思います。逆に言えば、そういった性別役割分担(近代家族モデル)を肯定する人の価値観も尊重されるべきなのですが、『他者に対する価値判断を含むメッセージ性』を意識するとこの問題(自立と依存に結びついた社会的役割)はかなりデリケートな要素を含んでいますので、それぞれのメリットとデメリットを提示して自律的に選択するというモデルが好ましいと考えます。

経済的・精神的自立性のあるインディになるということは、人生に対する『自律的な選択権』を手に入れて『運命に対するルサンチマン(怨恨)』から自分を解放することだと解釈できますが、社会的な人間の他者との相互依存性を考えると『自分の人生におけるコントロール力を高める』と考えると目的意識が明確になって良いかもしれません。本書『勝間和代のインディペンデントな生き方』の各章のアウトラインは、以下のようになっています。

第3章『じょうぶな心で土台を作ろう』は、職場のストレスや人間関係の問題を克服するストレス・マネジメントや自己アピール(好印象を与える自己呈示)について書かれていて、第4章『学び続ける力でスキルを磨こう』では、上で仕事と勉強の違いについて書いたこととも関係しますが、『勉強そのものを目的にしない実用的な勉強法』について書かれています。第5章『いい男を見分けて選ぼう』では、かなり厳しい基準の異性選択について書かれており、勝間氏の相互自立的な男女関係を理想とする異性観が提示されています。第6章『明日から始める6つの約束』では、インディな女性になるために明日からすぐに始められる6つのポイント(愚痴を言わない・とにかく笑う・姿勢を良くする)が上げられていて、「じょうぶな心」と「学び続ける力」の簡単な実践篇のような感じでまとめています。

分量・内容ともに数時間で気軽に読める本なので、自立的・自律的な人生の歩み方(パートナー選び)に興味のある女性だけでなく、将来の職業キャリアを漠然と考えている若い男性が読んでみても良いと思います。







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勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド
勝間和代のインディペンデントな生き方 実践ガイド (ディスカヴァー携書 022)

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