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help リーダーに追加 RSS “他者の注目”を求める演技性人格障害と“社会的な価値(他者の好意)”を拒絶する反社会性人格障害

<<   作成日時 : 2007/12/30 10:30   >>

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ウェブサイトで演技性人格障害と反社会性人格障害の特徴と概略についてまとめましたので、興味のある方は読んでみて下さい。クラスターB(B群)の人格障害に分類される『境界性人格障害・自己愛性人格障害・演技性人格障害・反社会性人格障害』に共通する特徴は不安定な対人関係(感情機能)と抑制困難な衝動性であり、その根本には自己と他者の境界線が曖昧になるという『自己愛と対象関係の調節障害』が横たわっています。自分で自分のことを尊重して大切にする自己愛(self-love)は適度なレベルで働けば、自分の能力・実績・個性(特徴)に対する自信を高め、状況への適応力や他者とのコミュニケーションスキルを向上させることが出来ます。

■演技性人格障害(histrionic personality disorder)

■反社会性人格障害(anti-social personality disorder)

『自分で自分を好きになって肯定する自己愛』『自分とは異なる他者を好きになって支援する対象愛』は相補的なものであり、自己愛が極端に大きければ傲慢不遜で自己中心的な人物になりますが、反対に自己愛が極端に小さくなると自己嫌悪が強くなって人生そのものに悲観的な人物となります。自分の発言や行動(能力)、外見に自信を持っていて積極的に色々な物事に取り組み社交的に振る舞う人は、一般的に高い対人魅力と人生への意欲を持っていますが、『自己愛の強さ』『実際の能力・他者への配慮』が釣り合っている場合には、自己愛はモチベーションと他者への影響力を高める効果を持ちます。

社会適応性の高い演技性人格障害の人は、『他者に承認されたいという自己愛』『他者に承認されるための演技的なサービス精神』が適度に釣り合っていて、外向型性格の社交性と活発性が顕著に前面に出た状態になっています。しかし、演技性人格障害には自己愛性人格障害のような非現実的な自己評価の高さ(=他者に対する優越感)がないので、『他人からの注目・承認・愛情』と自己の存在意義や相対的評価が直結していることが多くなります。そのため、演技性人格障害の人は、他人から注目されなくなることや他人の愛情を失うことを極端に恐れ、特定の相手に対する『見捨てられ不安』を示す境界性人格障害とは違った『不特定多数の他者に対する分離不安』を強く持っています。

社会適応の良い演技性人格障害のケースで問題になるのは、『他者に受け容れられるための演技的な努力・配慮の過剰』によって『自己の内面の空疎化=自己アイデンティティの拡散』が起こり、自分が本当は何をしたいのか誰とどういった関係を結びたいのかが分からなくなるということです。演技性人格障害では外向性の性格傾向と内向性の性格傾向のバランスが崩れており、『他者の評価・注目から切り離された自分』をイメージできなくなっていますから、自分がどういった存在であるのかという自己アイデンティティを全面的に『他者のその場の反応』に依存することになります。自分が社会的・実存的・内面的にどういった存在であるのかを自己確認する自己アイデンティティには、他者との関係性や社会的な役割によって規定される『社会的アイデンティティ(職業人としての私,父としての私,友人としての私など)』と自分の価値観(信念)や目的意識によって規定される『実存的アイデンティティ(他者とは異なる唯一の私を示唆するもの)』がありますが、他者の注目を際限なく求める演技性人格障害の場合には、脆弱な社会的アイデンティティのみによって自己を支えていることになります。

自己アイデンティティの基盤が『他者の好意的反応』にあるため、『他者からの拒絶・批判・離別』によって感情的な混乱や精神的な疲弊が見られやすくなり、演技性人格障害の人はますます他人に嫌われないような演技的な振る舞いや、他人の関心を引きつける空想的な作話(虚言)へと駆り立てられることになります。無目的に他人の関心や承認を得るための演技的な努力を続けている人が、ふとした瞬間に自己評価の低さや自己アイデンティティの空疎さ、他者との浅薄な関係の虚しさに気づいた時に精神的危機が訪れることがありますが、それは同時に外向的な承認欲求と内向的な自己探求(内省的思考)のバランスをとるチャンスでもあります。

自分が舞台の中央に立って演技的な行動や誘惑的な発言を行い、『聴衆である他者』の注目・関心を引きつけようとするコミュニケーションのスタイルが演技性人格障害の特徴ですが、『他人に依存しない自律的な自己アイデンティティ』を再構築する過程で聴衆としての他者を必要にしなくなってきます。言い換えれば、『他人が反応してくれなければ自分には価値がない・自分は他人の承認がなければ生きていくことが難しい・私の魅力的な長所は他人に好かれるということだけである』という自己評価の低さ(偏り)を改善して、他者の注目と自己の外観以外に自己アイデンティティを支える何かを見つけ出すプロセスが重要になってくるということです。

反社会性人格障害と演技性人格障害の幼少期の成育歴を比較すると、反社会性人格障害では他者からの虐待や迫害、差別など『他者(社会)への信頼・将来への希望』を破壊するような幼児期体験が多く、できるだけ『他者の好意(協力)』に依存(期待)せずに生きようという極端なアウトサイダー(一般社会から疎外された少数者)としての自立心を育んでいます。一方、演技性人格障害では幼少期から『自分の視覚的な特徴(容姿・ファッション・性的魅力・仕種)』のみに偏った承認(評価)を受けていることが多く、その結果、『自分の内面的な要素・知的な能力(実際的な技能)』に対して意識を向ける機会が少なくなり、『他人に受け容れられる演技的な言動』によって自己アイデンティティを形成しています。反社会性人格障害の基本的信念は、他者(社会)に情緒的に依存しない代わりに『他者への共感性・社会的な規範意識』を持たないということであり、彼らの残酷な加害行為や罪悪感の欠如は『他者(社会)への復讐意識』によって正当化されています。

反社会性人格障害は、適応的な社会生活を送れない劣等性コンプレックスと今までの不幸や苦痛に対する無差別的な復讐心(嫉妬心)によってアンバランスな自己アイデンティティを形成していますが、他者の権利を侵害し社会の秩序を破壊する行動を『過去の不幸の補償(埋め合わせ)』として自己正当化しています。演技性人格障害では自己と他者の境界線が曖昧で依存性と操作性(誘惑性)が強いという特徴がありますが、反社会性人格障害では反対に『自分と他者は全く異なる世界に住む人間である』という明瞭な境界線に区切られた自己意識が強くなっています。クラスターB(B群)の人格障害の多くは『他人からの承認や愛情』を過剰に求めますが、反社会性人格障害では初めから他人(社会)からの承認や愛情を得られないと諦めているために、自分に不利益や屈辱ばかりを与える『既存の社会体系(他者の集合)』に何らかの方法でダメージを与えようという価値判断へと逸脱してしまいます。反社会性人格障害も『自己愛の過剰』というクラスターBの特徴を持っていますが、彼らは『既存社会の評価軸(富・名誉・地位・道徳性・他者の評価)』の内部で自己の価値を認めてもらうことを初めから放棄していて、その既存の評価軸の基盤を破壊する反社会的な犯罪行為(加害行為)に価値を見出しているという特殊性があります。

反社会性人格障害では、他者の苦痛や恐怖を想像して思いやる『共感能力・道徳感情』が著しく欠如していますが、その理由は、『自分と他人には全く共通点がなく他人の利益は自己の不利益になる』という経験則に支えられた認知の歪みがあるからです。他者の権利を侵害して罪悪感を抱かないという反社会性人格障害の人の多くは、『他人はいつも自分を傷つけて騙そうとしている』という被害者意識を持っており、幼少期の頃から他人を信頼して理不尽に裏切られるという苦痛な経験を積み重ねてきています。他人を信頼したり他人に協力したりしても何も良い結果を得たことがないという強固な経験則が、反社会性人格障害の『他人を信用すれば自分が酷い目に遭わされる(自分と他人の利益はいつも相反している)』という認知の歪みを引き起こし、正常な喜怒哀楽と罪悪感の感情機能を麻痺させています。

反社会性人格障害の人が他人を傷つけたり奪ったりしても罪悪感や後悔の念を感じないのは、他人(社会)もいつも自分の権利(尊厳)を侵害して利益を得ているという被害者意識があるからであり、『性悪説的な人間観』に基づく自衛的な加害行為として自己正当化を図っているからですが、こういった認知の歪みを改善するためには、『他者』を自分と同じような弱さや苦痛を背負った人間として認識できるようにならなければならないでしょう。反社会性人格障害の人は、『互恵的な人間関係(自分と他者の利益が一致する関係)』の存在を絶えず懐疑しており、すべての人間関係の中に偽善性(利己性)と計略性を見出していますが、『自己が尊重される人間関係』や『自分に好意や承認がもたらされる社会活動』を経験することで他者の存在を見つめ直すきっかけが得られることもあります。

反社会性人格障害の共感性と基本的信頼感の回復には、自己と他者を同等の痛み(悲しみ)を感じる存在として認知しなくてはならず、そのためには彼らが自己の良心や苦痛から目を背けようとして麻痺させている感情機能を活性化させる必要があります。抑圧していた豊かな感情の働きを活性化させるためには、他者の行動や発言が自分の喜び(利益)になるような援助的体験が必要になりますが、反社会性人格障害の根本は自己と他者との信頼に支えられた互恵的関係をつくれないこと、自分を他者と同じような社会的な存在としてアイデンティファイ(自己定義)できないところにあります。

反社会性人格障害では、他者(社会)から疎外された過去の記憶によって各種の防衛機制と感情鈍磨が形成され、『自己の冷酷な加害性・暴力性の正しさ』を疑えないような状態になっていますが、『自己の行動や価値観の正しさ』を冷静に再検討(内省)できるような心境に持っていくことがカウンセリング的対応では重要になってくるでしょう。反社会性人格障害は、一般的に自分自身の行動の正しさを疑うことがなく主観的な苦悩を感じることも少ないので、精神医学的な対応やカウンセリングを受けることは殆どないと思われますが、クラスターBの人格障害に時折見られる反社会的な攻撃性や予測困難な衝動性、自傷行為を含む自己破壊性の改善は緊急性の高い問題として意識されています。

自己愛の調節障害は、自己愛が異常に強くなり過ぎて『他者の権利・存在・感情』を否定するベクトルと自己愛が異常に弱くなり過ぎて『自己の権利・存在・感情』を否定するベクトルの二つの方向性によって構成されていますが、正常な精神発達過程では自己愛と対象愛のバランスがある程度とれることで『他者への共感性・想像力』が生まれてきます。他者の内面や苦痛への想像力が衰えやすいクラスターBの人格障害では、『他者への共感性の回復』『対象恒常性(内面世界に持続的に存在する信頼・愛着の対象)の確立』が大きな課題の一つとなります。


■関連URI
他者の注目と好意を求めるハイテンションな演技性人格障害の特徴と表層的な人間関係

演技性人格障害の“自己アイデンティティの拡散”と“性的アイデンティティの未成熟”の問題

他者の評価や反応を求めるB群(クラスターB)の人格障害:“特別な自分の価値”を自己顕示する方法の違い

潜在的(covert)な自己愛障害とシャイネスの強い社会性不安障害

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あなたは変われる―言葉や態度に傷つけられた心を救う本
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