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help RSS 現職閣僚の松岡利勝農相の自殺と『政治とカネの問題』について考えたこと

<<   作成日時 : 2007/05/29 00:43   >>

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前回の記事で取り上げたZARDの坂井泉水さんの死去の話から変わりますが、昨日は、松岡利勝農林水産大臣(62)が衆院赤坂議員宿舎で自殺したというニュースが大きく取り上げられていました。熊本県を地盤に持つ松岡利勝農相は、なんとか還元水の使用(購入)による『光熱費・水道費の水増し請求問題』で世論の批判的な注目を集め、安倍政権下での『政治とカネ』の不正な結びつきをクローズアップさせることになりました。

松岡農相の資金管理団体による光熱・水道費の水増し請求(不明朗な会計処理)の疑惑も看過して良い問題ではないと思いますが、松岡農相に対する批判を更に加速させたのが今、官製談合事件で多くの逮捕者が出ている独立行政法人「緑資源機構」の関連団体からのヤミ献金疑惑です。松岡農相は、緑資源機構の関連団体から多額の献金を受けていたのではないかという疑惑を受けており、そう遠くない時期に、東京地検特捜部の捜査のメスが及ぶのではないかと見られていました。光熱・水道費の不明朗な会計処理(情報公開)の問題については、松岡農相がなんとか還元水などという調査をすればすぐにばれてしまう嘘をついたのが深刻化するきっかけでしたが、結局は、以前は暗黙の了解(政治家の特権)として認められていた『恣意的な水増し(光熱・水道費の使途の自由裁量)』が政治資金の透明性を求める世論の強まりによって通用しなくなったということに尽きるのではないかと思います。

政治資金規正法の改正の流れを追っていくと、最近では客観的な証拠(一定金額以上の領収書の添付)によって『政治資金の使途の透明性(公表性)』を強化する流れになっており、過去の政治のように『政治には多額のお金がかかるのが当たり前であり、機密性の高い政治活動(一般に知られると交渉が難航する活動)も多くあるので、政治資金の使途を全て国民に明らかにして良いわけではない』という政治慣習が国民の多くに容認されなくなってきています。情報の公開に縛られないフリーな資金をある程度確保しておかないと政治活動に支障が起きるという政治家と、財政悪化(累積赤字)の進展などを受けて、政治家の一円の無駄遣いも許さないというような国民世論との対立とも言えます。

更に言えば、『政治家だから大目に見る』という特権性(各種義務を曖昧化できる権利)が段階的に削られていき、政治家と国民の経済面での対等性の意識化が進んでいるのでしょう。政治資金の使途の透明性を要請する大きな流れの中では、仮に、不明朗な政治資金が公務(国益)のために使われているとしても、それを理由に政治資金に関する情報公開の義務を縮小して良いということにはならないでしょうね。

各地の農林行政に大きな影響力を持っていたとされる松岡利勝農相には、官製談合の刑事事件として捜査が進んでいる「緑資源機構」の関連団体からヤミ献金を受け取った疑惑が掛けられており、これが自殺の引き金になったのではないかと見られているようです。この緑資源機構の談合事件は、東京地検特捜部が政権中枢(現職閣僚)へと切り込んでいく大きな事件になりつつありましたが、松岡農相の自殺によって政治家への問題の波及は小さくなるのかもしれません。緑資源機構の談合や献金の問題も、政治資金への監視強化の流れと同様に、『政・官・業の癒着構造(地方の談合の既成事実化)』に対する国民世論の批判が強まっていることと関係していると考えられます。

かつては、政治運営や地方経済にとっての『必要悪』として半ば容認されていた政官業の癒着構造や天下りの既得権益ですが、それらに対する厳しい見方が(既得権と切り離された)国民一般に広がりつつあるように感じます。今までは、慣行的なグレーゾーンとして曖昧に許されてきた政治家・官庁OB・企業の行為(癒着)が、法律や世論に照らし合わせて是非を判断する方向にシフトしてきており、良くも悪くも、古い体質の既得権(利益を供与し合う人的ネットワーク)に支えられた政治手法が通用しない時代に本格的に入り始めているのかもしれません。

戦後初の現職閣僚の自殺となる松岡農相の死が、『政治とカネの問題』や『一部の政治家・公務員・国民(企業)の関係』に投げかけた波紋は非常に大きいと思います。既に鬼籍の人となった松岡農相の冥福を祈りながらも、その自殺によって国民の間に沸きあがっている各種の疑念や不信に安倍政権がどう対処していくのかには注視する必要があります。最近、各分野で大きな動きを見せている検察機関の行動理念や目的意識も気になるところではありますが、東京地検特捜部のような非常に大きな強制力を持った行政機関が、法律の理想と現実の社会、利害の調整にどのような折り合いをつけていくのかによって関係各所に無視できない様々な影響が出てくるでしょう。

封建主義の時代には政治の安定の黄金律でもあった『依らしむべし、知らしむべからず』の統治戦略は、国民に義務教育が普及して『知る権利』を重視する近代的な民主主義国家では通用しなくなりました。そういった国民の無知や従順を期待する政治家は、非民主的であるという厳しい評価を下されるだけでなく、何か国民に知られてはならないことを隠しているのではないかという疑念を生むことにもなりかねません。

事の善悪は別として、現代の政治は清濁を併せ呑むことや是々非々で問題を強行突破することが難しくなっているという印象があり、目的のために(不正・違法・非人道的な)手段を正当化するようなやり方も原則的には受け容れられない傾向があります。その為、かつてのように『聖域化(特殊化)された政治・行政』の内部で色々な物事を秘密裏に処理することが難しくなっており、「情報の公開性(透明性)に関連する説明責任」「是非の検証性(遵法性)」が強く要請されてきているといえるでしょう。


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