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help リーダーに追加 RSS 対人コミュニケーションのストレスとアサーティブな人間関係:2

<<   作成日時 : 2006/09/04 20:10   >>

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人間の自己主張や自己表現の方法には、『攻撃的な自己表現(自分の意見を主張し他者の意見を否定する方法)』『非主張的な自己表現(自分の意見を抑圧し他者の意見を受け容れる方法)』『アサーティブな自己表現(自分の意見を主張し他者の意見も考慮する方法)』があり、この中で最も良い結果を引き出しやすい最善の方法は『アサーティブな自己表現』であると考えられます。

特別な力関係や立場の強弱がある場合には、『攻撃的な自己表現』のほうが効率よく目的を達成できる場合もありますが、その場合には相手の恨みや反発を買いやすいという問題が生じてきます。
また、『非主張的な自己表現』で相手の立場や意見を尊重していれば、相手との直接的な対立や諍いを回避することが出来ますが、自分の意見や要求を押し殺し続けることで精神的ストレスが蓄積します。『非主張的な自己表現』を続けて相手に対する不満や怒りが鬱屈し過ぎると、転換性障害や身体表現化障害などの精神疾患が発症する恐れがあるだけでなく、自尊心が低下して自信がなくなり物事に対する無力感や無能感が強まってきます。

『アサーティブな自己表現』とは、自分の意見や要求を押し通すだけではなく、相手の意見や要求にしっかりと耳を傾けて、お互いが納得できる率直なコミュニケーションをするということです。

相手の主張に安易に妥協して自分の意見を抑圧すれば『非主張的な自己表現』になってしまい、自分の要求を強引に相手に押し付けて屈服させれば『攻撃的な自己主張』になってしまうので、爽やかで後腐れのないアサーティブなコミュニケーションを実践する為には『お互いに相手を尊重する気持ちと率直に意見を出し合う姿勢』が必要になってきます。

『お互いが共有できる客観的事実』を前提として、お互いが了承できる結果を模索する『共感的なコミュニケーション』を進めていくのですが、爽快感と納得感のあるアサーションを実現するには『お互いが何処まで譲歩できるのかのライン』を明確化していく作業がポイントとなります。

相互的な納得感と信頼感を形成するアサーションを成立させる為の技法として、認知心理学関連で功績のあるバウアーが考案したDESC法LADDER法がよく知られていますが、DESCやLADDERは相互的な感情交流の技法であると同時に、一種の交渉術として用いられている状況があります。特に、LADDERのR(Reinforcement)は、行動主義心理学者のスキナーが発見したオペラント条件付けの理論を用いて、相手に自分の要求や意見を受諾させようとする典型的な交渉のテクニックで、多くの人がビジネスや対人関係でこういった交渉や取引を行っています。


DESC法

1.Describe(状況を描写する)

主観的な感情を介在させずに、客観的な状況や相手の行動を描写(describe)する。自分と相手が置かれている状況を、具体的で客観的な表現で描写して『問題・状況を共有する』ことが目的である。この段階では、相手の欲求を推測したり、自分の気持ちを主張してはいけない。

2.Explain(自分の気持ちを説明する)

客観的な状況を具体的に説明して、相手と『問題・状況を共有』できた後に、自分の主観的な感情や考えを説明(explain)する。相手を感情的に非難するのではなく、できるだけ正確に自分の気持ちを表現して、相手に理解して貰えるように努める。

3.Specify(提案する)

相手に期待する行動や要求する回答を提案(specify)してみる。問題解決につながるアイデアやお互いに納得できる妥協案などを具体的な形で提案して、相手に実現可能な範囲を推し量る。

4.Choose(代案を提出する・選択する), Consequence(結果)

解決案や妥協案を提案してみて相手の反応が肯定的であればそれでアサーティブな対話が成立するが、相手が提案に否定的な場合には更に代案を考えて提示してみる。相手がこちらの提案に対してどういう行動をとるのかの選択肢を示して、相手に選択権があることを明確化する。その選択の結果(consequence)、どういう効果や利益を得られるのかを示す。


DESC法で重要になるのは、相手と話し合いが成立する為の『共通の土俵』D(Describe)で作り、相手がある程度譲歩しても十分に納得のいく結果が得られるという『妥協可能な条件』S(Specify)C(Choose, Consequence)で詰めていくということです。


LADDER法

1.L(Look at:自分の内面を見つめる)……自分の心理状態や感情の変化を内省して“見つめる”ことです。『あなたの発言に怒っている』『あなたの行動に悲しくなった』『2人の関係に困惑している』『この状況に強い緊張と不安を感じている』『あなたの意見には同意できない』など相手とのコミュニケーションで伝えたいと思っている感情を明確化し特定しておく段階です。まだ、この“L”の段階では、相手にこの感情や判断、考えを伝えるわけではありません。

2.A(Arrange:TPOをアレンジする)……相手に自分の感情や主張を伝えるのに『最適なTPO(時間・場所・状況)』を考えて判断することです。

3.D(Define problem situation:問題状況の明確化)……自分が直面している問題状況(problem situation)を具体的な言葉と適切な表現で明確化することです。主観的な感情や価値観に基づいて明確化するのではなく、客観的な状況描写や中立的な立場から問題状況を説明します。

4.D(Describe your feelings:自分の気持ちの描写)……自分の率直な感情やありのままの印象を、分かりやすい言葉で表現して相手に伝える段階です。『あなたが……だから悪い』というように相手の発言や行動を直接的に非難するのではなく、『私は……と思う・私は……と感じている』というように自分の気持ちや感想を中心にして『自分の内面心理』を率直に伝達することを心がけます。

5.E(Express:要求や願いの表現)……問題状況の明確化を客観的に行って、自分のありのままの気持ちを伝達した後に、簡潔かつ明瞭に『相手に頼みたい事柄』や『自分がして欲しい要求』を表現してみます。

6.R(Reinforcement:強化)……自分の表現した提案を相手が受け容れるように、行動主義心理学のオペラント条件付けを応用して相手の行動の『強化(Reinforcement)』を行います。相手の利益や快楽となる正の強化子を用いる場合には、『私の提案を受け容れると、こういったメリットや利益がありますから、今回の提案はいい条件だと思いますよ』といった表現を用い、相手の不利益や損失となる負の強化子を用いる場合には、『私の提案を受け容れないと、こういったデメリットや不利益がありますが大丈夫ですか?』というメッセージを送ります。
オペラント条件付けの『強化』は強力な効果がありますが、余りに強引かつ卑劣な方法で強化を行うと、相手がデメリットや不利益を無視して無条件の敵意や拒絶を表明してくることも少なくありません。その為、アサーティブな状態を維持して話し合いを進めるには、お互いに納得のいく条件を共感的に探り、エゴイスティックになり過ぎない譲歩を示すことが重要だといえます。



対人コミュニケーションによって生じる感情や気持ちによってコミュニケーションの種類を分類すると、以下のようなものがあると考えられますが、『個人対個人の関係・個人対集団の関係・集団対集団の関係』によって必要とされるコミュニケーション・スキルや問題解決アプローチが異なってくる為、『マニュアル的な対処』では限界があり『状況適応的な機知と個別対応的な判断』が要請されてきます。



幸福感・安心感を感じられるコミュニケーション

高揚感・面白さを感じられるコミュニケーション

不快感・嫌悪感を感じるコミュニケーション

疎外感・孤独感を感じるコミュニケーション

達成感・自尊心を感じるコミュニケーション

利害関係のある競争・交渉のコミュニケーション




アサーションの対人関係を継続的に作り上げていく為の条件は、人間性心理学(humanistic psychology)に分類されるカール・ロジャースが考案したクライエント中心療法のカウンセラーの基本的条件とオーバーラップする部分が多くあります。

カール・ロジャーズ(C.R.Rogers, 1902-1987)のクライエント中心療法で示されたカウンセラーの基本的態度と日常生活で実現可能なアサーティブな態度とを結びつけて考えると、『“自己一致”が成立する深い水準での自己理解』『ありのままの自分を晒して相手と対等に交流できる“真実性”』『“徹底的傾聴”による相手の話をしっかりと聴く態度』『相手のありのままの感情や苦悩を相手の立場に立って感受しようとする“共感的理解”』『“無条件の肯定的尊重”を実現する為の自己受容と他者尊重』などの要素がアサーションに必要になってくると考えられます。

アサーティブなコミュニケーションを円滑に推し進めていく為にポイントとなるのは、相手の異質性や価値判断の多様性をどれだけ柔軟に受容できるかであり、相手との利害対立を調整する為に、どこまで譲歩できてどこからは妥協できないかを相手の主張を聴きながら判断するところにあります。

『コミュニケーション・スキルを強力に補完する対人評価・対人魅力』を高める為の技術やポイントについて、また機会があればまとめてみようと思います。
アブラハム・マズローの欲求階層説などをもとにして、『相手が自分に何を求めているのか?どういった性格行動パターンを魅力的に感じるのか?』などを考えていくと、人間の一般的な対人魅力の構成要素や対人評価につながる性格類型(行動特性)が浮かび上がってくるのではないかと考えています。


■関連URL
対人コミュニケーションのストレスとアサーティブな人間関係:1

人間性心理学とアブラハム・マズローの欲求階層説

信頼関係を築くコミュニケーションTips!

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