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<<   作成日時 : 2006/04/18 11:33   >>

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スペリーとガザニガの分割脳実験と認知機能

大脳を形態面で見ると、『左半球』『右半球』から構成されていて、脳梁と呼ばれる神経線維で連結しているのですが、左脳と右脳それぞれの役割機能と相互作用については様々な学説や俗信が存在しています。脳の特定の機能が、脳の特定の部位(構造)で実現されているという考え方を『機能局在説(機能局在論)』といいます。

右利きの人の機能局在では、左半球(左脳)『言語的・分析的・顕在的な優位半球』とされ、右半球(右脳)『感覚的・総合的・潜在的な非優位半球』とされています。優位半球と非優位半球というのは、相対的な能力の優劣を示しているのではなく、言語機能を担当する半球のほうを優位としているだけです。ヒトの意識的な知性の表現手段や理性の確認手段の多くが言語的コミュニケーション(口頭報告・言語記述)に依拠している為に、言語機能が局在する半球を優位半球にしたのだと考えられます。

左半球と右半球の脳機能はある程度の独立性を持っており、視覚機能や運動機能において左右の脳は、それぞれ反対側の視野・運動神経を司っています。視覚の場合には、『視神経交叉(optic chiasma)』という視覚伝道路において、右側の視野の情報は左半球に投射され、左側の視野の情報は右半球に投射されます。左・右の視野が、それぞれ右・左の半球に投射されるのであって、左目の情報が右脳、右目の情報が左脳に投射されるわけではありません。

外界にある光刺激が網膜に届くと、光は視神経で電気的な神経信号(インパルス)に変換され、幾つかの神経細胞の層と外側膝状体(lateral jeniculate body)を経由して、後頭葉の一次視覚野に投射されることになります。大脳新皮質の視覚野に投射されることで、私たちは何を見ているかの視覚を意識することが出来るわけですが、その情報処理過程に視神経交叉(optic chiasma)があります。

しかし、視神経交叉が働くのは、両眼の網膜の鼻側の半分だけです。両眼の網膜の耳側半分のほうは、交叉せずに、右目(右目に入る左視野の情報)は右半球に、左目(左目に入る右視野の情報)は左半球にそのまま投射されます。外側膝状体(lateral jeniculate body)という解剖的部位の基本機能は、『視覚野への視覚情報の入力』です。

運動機能も基本的に視神経交叉と同じように運動神経繊維の交叉によって、左右の半球がそれぞれ反対側の手や足の運動をコントロールしています。ここまで見てきたように、左右の脳半球はそれぞれ、言語機能と非言語機能を役割分担し、左右の身体機能を神経系の交叉によって制御しています。それぞれの脳半球は、独立性と機能局在性を持ちながらも、脳梁で複雑な情報伝達を行って、高次脳機能を共同作業の中で実現していると考えられます。

左右の脳半球の視覚・認知・言語・運動の機能の共通点と相違点について検証した実験に、スペリー(R.W.Sperry)ガザニガ(M.S.Gazanniga)分割脳の実験があります。

分割脳とは、治療目的で脳梁を切断された重症のてんかん患者などの脳のことであり、分割脳の患者は独特の認知機能に基づく言語報告を示します。スペリーは分割脳の実験に基づく左右半球の認知機能の解明の功績によって、1981年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。


■関連URL
脳の解剖学的構造と生理学的機能:脳と心の相関関係

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