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help RSS 『物心両面の生活の豊かさ』の再考と国力による政治理念の変動

<<   作成日時 : 2005/10/01 00:40   >>

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毎日新聞のリンクで、インテリジェンスの業界レポートというものがあり、GDPで世界第二位の日本は『生活の豊かさレベル』では世界11位となっているようです。
確かに、日本は、東京、名古屋、大阪、札幌、福岡といった大都市に機能が集中していて、それらの都市に出歩いてショッピングや娯楽を楽しんでいると、自分が如何にも世界有数の経済先進国のライフスタイルを満喫する文明人であるという意識が高まります。
しかし、いざ冷静になって個人的な生活状況を振り返ってみた場合に、物心両面の豊かさを考えるとそれほど豊かであると満足できている層は厚くないのかもしれませんね。

勿論、自由主義国家には、多種多様な職業と収入があり、あるいは個々別々の価値観やライフスタイルがあるのですから、豊かさの実感や幸福感の感覚といったものには大きな個人差や世帯差があるとは思いますが、日本の毎年3万人にも上る自殺者や毎日報道される悲惨な事件やエゴイスティックな犯罪を目にしていると、必ずしも精神的な豊かさに満たされている人が多数派ではないのかもしれないという憂慮を強く持ちます。
ただ、自分自身が不幸であり悲惨な人生を歩んでいるという悲観的な認知が必ずしも他者を傷つける反社会的な行動を誘発するわけではないので、ここからまた日本全体を活性化して良い意味での生活の豊かさのレベルを上げていければ良いなと感じます。

『経済的・時間的・精神的・知性的』にとても豊かな生活を満喫していると実感できているバランス感覚のある人の割合が多い国ほど、真に豊かな国なのではないかと思います。
日本の場合は、経済的豊かさと時間的余裕というものは両立困難な状況であることが多く、知的趣味に遊ぶ時間的余裕を確保するためには、対人関係の中で楽しむ趣味(旅行・スポーツ・食事・レクリエーション等)をある程度切り捨てなければならなかったりします。

精神的充実感や幸福感というものは、抽象的で捉えどころのないものですが、私は最低限の主観的幸福感の基準として『生きる意欲を肯定的な感情・行動と共に持てている精神状態』を考えています。
ここまでは私の個人的な意見ですが、記事では『生活の豊かさ』を測定する指標としてHDI(人間開発指数)というものを用いています。
記事を読んでみると、HDIは主観的な豊かさの実感の指標といったものではなくて、個人的な能力の成長可能性を示す指標で、QOL(生活の質)と密接に関与する環境条件を変数として用いたもののようです。

「生活の豊かさ」、日本が後退したワケって?


今月、国連開発計画(UNDP)は世界117カ国の“生活の豊かさ”を比べた「人間開発報告書」を発表、日本は2004年の9位から11位に後退した。2001年以来ずっと1位を獲得しているのはノルウェー。続いて、アイスランド、オーストラリア、ルクセンブルク、カナダがベスト5に入っている。

人間の能力がどこまで伸びるか?

ここでいう“生活の豊かさ”は、人間開発指数(HDI)を割り出して比較されている。この聞き慣れない人間開発指数とは、国内総生産(GDP)や平均寿命、識字率・就学率などから生活の質を示したものだ。「健康な生活」「知識」および「人並みの生活水準」という3つが要素になっている。もっと根本的なところでいうと、人間開発指数(HDI)はHuman Development Indexで、日本語で言うと、基本的な人間の能力がどこまで伸びたかをはかるということだ。

気になる順位だが、1〜5位は冒頭で述べた通り。6位からはスウェーデン、スイス、アイルランド、ベルギー、米国と続いている。アジアでは香港が22位、韓国が28位、中国が85位という結果。日本は前年まで5年連続で9位だったが、今回は11位と後退した。



この生活の豊かさランキングを見ていて思うのは、生活の豊かさや人間の能力開発の環境条件整備が、GDPやGNPといった国家の経済的規模と直接的な因果関係を持っていないということですね。
アメリカや日本に住んでいると、私たちは世界でもトップクラスの豊かな生活環境の中で生きているのだという傲慢な先進国意識が台頭してきがちですが、実際のQOLの環境条件では日本よりも優れた国が幾つもあるという現実を思わされます。
日本は現在、生活の豊かさの平均化から寡占化の方向に政策を舵取りしようとしていますが、社会福祉行政の簡素化とセーフティネットの軽微化が将来的に吉とでるか凶とでるか微妙なところがあります。

生活の豊かさが最も高い国であるノルウェーが、自国の最大の財源である石油資源を自由化せずに社会福祉の原資としていることは非常に興味深いのですが、これは、日本ほどに資本主義が高度化しておらず、人口規模や世界経済に果たす役割も小さいノルウェーだからこそ出来る実験的な福祉国家構想なのでしょう。

とはいえ、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランドといった北欧の高度福祉国家の体制は、経済成長力をある程度犠牲にして、現状の経済力と生活水準を巧みに維持することで最大多数の最大幸福を実現する一つの解ではあるのでしょう。
しかし、国民一人当たりのGDPが世界最高水準であるノルウェー以外の福祉国家は、地下資源の絶対量の小ささなどもあって、必ずしも理想的な福祉国家建設に成功しているとはいえない側面、財源の厳しさからの持続困難などの問題もあるようです。

勿論、今すぐに日本がこれらの高度福祉行政を模倣することに実際的なメリットは乏しいですし、日本の占める経済的な地位や国際的な位置づけからも福祉国家として定常型社会を目指すことは許されないでしょう。
また、文化的・歴史的に継続可能性のある社会保障システムを真剣に検討してこなかったことと、現在の年金制度のような場当たり的な継続性に乏しい制度を運用してきたつけが、人口動態に対する楽観的観測と合わさって表面化してきたのが現在の状態だともいえます。

仮に、北欧型の国家モデルを参考にすることがあるとすれば、日本の少子化傾向が長期継続して総人口が6,000万人以下の規模となり、更に移民受け入れを拒絶したいと国民が願うときなのではないかと思いますが、人口動態は予測通りには進みませんから、将来の日本の経済と人口がどういった方向に動いていくのかは予測困難な面があります。

いずれにしても、現段階で高い国際競争力を維持している日本は、経済の持続的な安定やセーフティネットの徹底的な充実という守勢に入るよりも、成長可能性がある限り市場規模を拡大していく攻めの姿勢に入ったほうが、失うものはあるが得るものも大きいということなのだと思います。
人口・資源・経済規模・競争力といった国力に応じた政治理念や社会制度が自然に採用されていく流れになっていくのでしょう。

私が北欧諸国を見ていて興味深く思うのは高度福祉国家構想そのものよりも、国民の政策的なバランス感覚の良さであり何気ない日常生活を楽しむ為の知恵の豊かさですね。スウェーデンやノルウェーといった国々は、OECDなどの国際学力調査などでも絶えず上位に顔を覗かせる教育先進国ですが、人権意識や平和理念の浸透でも日本や米国、ドイツ、フランスを上回るといわれています。
『人が生きていくには何が大切なのか?』という倫理規範の根本を欺瞞なく突き詰めていくような教育、人間に絶えず優しくあれとする教育、知識偏重でない生きる知恵や助け合う寛容を学べる教育といったものを手探りで模索しているのが北欧の先進国であるといえるのではないかと思います。

日本の場合、道徳教育を行っても、非現実的なお説教の水準で子どもに理解されている懸念がありますね。つまり、道徳教育で語られる言説は建前であって、社会制度や生活環境という現実によってそれは無効化されるといった意識を子ども達が持ってしまった場合、表面的な言葉だけの善悪感を暗記するだけでそれに行動が付随しないという無意味な結果になってしまいます。

新自由主義(ネオリベラリズム)は経済合理性や継続的な成長可能性という観点からは非常に魅力のある政治思想なのですが、人間の精神的な道徳性の教育とは相性の悪い思想の側面があり、子ども達がそれらを拡大解釈して社会的ダーウィニズムに堕さないような教育的配慮が必要となってくるでしょう。
といっても、具体的に、ネオリベラリズム政策下においてどういった教育方法があるのかと問われれば言葉に詰まりますが、ネオリベラリズムにおける社会治安の維持や生活水準の最低ラインの確保は、市場の勝者のノブレス・オブリジェ(社会的強者の負うべき公的責務)の自覚の高さに依拠するのではないかと思います。

主観的に感じられる生活の豊かさに話を戻せば、日本でも、本当はそれほどお金がなくても、文化的に生活の質を向上させる時間の上手な使い方や人間関係から無上の喜びを引き出すようなコミュニケーションの方法などがあると思うのですが、仕事をしながらも毎日が不満で不満で仕方ないという人の場合には、まず自分の喜びや楽しみとは何であるのかを現実的な観点(空想的な観点だと欲望は際限のないものです)から考え直してみる必要がありますね。

意外に日本では、まず十分な経済的余裕がないと人生は楽しめないものだという先入観に捉われてしまっている人が多いのかもしれないと思ったりします。
生活するのに十分な収入があるにも関わらず更なる豊かさや贅沢を求めてギャンブルや過労で身を持ち崩してしまったり、薬物やアルコールによる安易なストレスコーピングで意識を朦朧とさせて生の場から逃避してしまったりといった無益な時間とお金の浪費によって、精神の健康が損なわれ、自滅的な状況へと短絡していきます。

個々人が自分にしか実現できないような生活の豊かさや人生の幸福を模索していくならば、それほど自分を追い詰めたり、人生を悲観しないで済むような豊かさの形が見えてくるのではないでしょうか。
他愛ない雑談を大切な相手と公園やファミレスで交わすことでも、自分の部屋で静かに読書や映画鑑賞をして感動や教養を味わうことでも、ありふれた素材で美味しい料理を工夫して作ることでも、自然の景色を楽しみながら散策することでも、意欲的に喜びや感動を見つけようと思えば、無料で楽しめる生活の娯楽や遊興が無限に散らばっているように思います。



CTBT(核実験全面禁止条約)に関するニュースですが、世界規模での軍事的破滅を引き起こす懸念のある核兵器の拡散と改良を阻止するためには、まず、最大の核保有国であるアメリカから実験をしないという模範を率先して示せという話ですが、実行は極めて難しいでしょうね。京都議定書の批准以上に困難なのではないかという感じがあります。


CTBT:「米国批准で未批准国追随」 ブリクス氏講演

イラクで大量破壊兵器の査察に当たった国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)のブリクス前委員長が29日、東京都内で講演し、核不拡散体制について、実効性を確保するためには核実験全面禁止条約(CTBT)の発効が不可欠と強調。同条約に反対する米国が批准すれば、中国、インド、パキスタン、イスラエルなどの未批准国の追随が予想され、「核兵器開発の歯止めにもなる」と指摘した。


未批准国である、アメリカ、中国、インド、パキスタン、イスラエル、どの国を見ても将来に紛争や戦争の可能性が起こらないだろうという楽観を許さない国々ばかりですね。
だからこそ、核兵器の廃棄は無理としても、実験の全面禁止の段階まで各国の調整で踏み込んで欲しいと思いますが、テロリストへの核兵器製造技術の流出の懸念や他国との信頼関係が緊張関係に転ずるリスクなどを勘案して全面的に実験禁止するという宣言をすることに大きな躊躇があると思います。

核兵器は多くの良識ある保有国にとって見せ掛けだけの抑止力であることを信じたいですが、保有国のリーダーシップを取る人物がどのような人物であるのか完全に信頼できないだけに、もしかしたら何らかの緊張事態において核使用を検討するのではないかという恐れがあります。

特に世界に平和と秩序をもたらすという大義名分を掲げて積極的な外交や戦争を主導してきたアメリカが潜在的な核使用の可能性が最も高いように思えるのは不気味なところですし、アメリカの歴代大統領の中には、アルコール中毒の気のあったベトナム戦争下のニクソンをはじめ実際に核を使用するギリギリのラインまで揺れた大統領もいて不安を感じます。
トルーマンとニクソンは、核兵器使用と非人道的な北爆の拡大政策によってアメリカの歴史上でも評価の低い大統領ですが、今後も、こういった激情に流されやすいタイプの大統領がアメリカに決して誕生しないとは断言できません。
また、絶頂を維持しながらも斜陽に傾きつつある米国とこれから隆盛を極めようとする中国との実力差が縮まってきたときに若干の懸念があります。

理性的で倫理的な決断がいつも出来るとは限らない、感情や気分にも左右される不完全な人間だからこそ、決定的な破壊と絶望をもたらす核使用の選択を大統領など個人に任せるのは危険なのですが、いざ戦争となれば迅速な決断を下した側が勝利を得る確率が高くなりますから、国民の意思などを悠長に聞いている暇はないというのが現実なのでしょうか。



以下のマイクロソフトとGoogleの市場競争に関する記事も興味を持って読ませて貰いました。
2Gbという大容量で高速の検索が可能なGMailを持つことは、確かにローカルにあるテキストファイルの資料などをネットワークに移そうという大きな動悸づけになりますね。
今後、ローカルにあるデスクトップのOSからインターネット空間へとその機能が移転されていくことをGoogleが目指しているとすると、ウイルス感染のリスク管理が簡素化したり、ローカルのHDDの残量を気にしながら色々なファイルを保存する必要性がなくなっていくのかもしれないと思ったりしました。
ローカルにあるファイルはバックアップを忘れていると、些細な操作ミスやHDDのトラブルなどで喪失してしまう危険があるので、こまめにバックアップを取るのが大変といえば大変です。
ネットワーク上にストックされている情報も完全に安全ではありませんが、とりあえずローカルで保存しておいてネットワークにも上げておけば完全に情報が失われるリスクはかなり減ると思います。
DVDとかCDとかフラッシュメモリなどの外部媒体に保存しておくことが一番安全なのでしょうけど、実際、毎日増えていく情報をバックアップし続けるのは困難といえば困難ですから。


デスクトップの機能をネットワークが吸い取る---MicrosoftがGoogleを恐れる理由
GoogleとMicrosoftのどちらが優れたネットワーク・サービスを提供できるか

 その証明がGoogleのGmailだろう。Ajaxを使ったアドレス自動補完などの優れたユーザー・インタフェース,Googleお家芸の強力なメール検索,1Gバイトを超える大きな記憶容量から,多くのユーザーはメールをサーバー上においたまま使っている。領域が広いので,Gmailを増設ディスクのように使えるソフト(GMail Drive)もあるくらいだ。

 こうして見ると,Googleが無線LANに進出(関連記事)した理由もよくわかる。Googleは,広帯域のネットワークが常に存在する状況を,自ら作り出し,デスクトップの機能をどんどんネットワークに吸い取ろうとしているのではないか。

 またMicrosoftがGoogleに抱くライバル意識は,最近ことあるごとに報道されている。最近では,MicrosoftからGoogleへの幹部の移籍を差し止める訴えを起こしている(関連記事)。欧米のメディアでも,GoogleはMicrosoftの脅威になるという論調も多い。

 しかし現状ではGoogleが利益を得ている市場は広告市場であり,MicrosoftにとってはMSNで手がけている周辺事業でしかない。同じくインターネット広告市場の巨大企業であるYahoo!に対しては,Microsoftはこれほどライバル視してはこなかった。Googleが,デスクトップOSを無意味にしかねない存在だからこそ,Microsoftはこれほどまでに重視しているのだろう。

 とはいえ,MicrosoftとGoogleという企業同士の競合というよりも,デスクトップ(あるいはパームトップ)からネットワークへという大きな流れのなかでどちらが優れたサービスを提供できるかという視点で考えるべきだろう。


簡単に記事への雑感を書くエントリーを立てようと思っていたら、意外にいつも以上に長いエントリーになってしまいました。
日頃、読み流している記事について改めて自分の言葉で考えてみるというのも、多くの発見があって時にはいいものです。
ある問題や記述に対して立ち止まってゆっくりと自分の頭で考えてみるのも大切ですが、それを言語化する作業というのはなかなか時間と労力を要すものだと思いました。

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