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help リーダーに追加 RSS 相手の愛情や好意を惹きつける“対人魅力”と遠距離恋愛を困難にする“単純接触機会”の増加

<<   作成日時 : 2005/03/24 20:07   >>

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私達は、社会生活を営む中で、大勢の他者と出会い、様々な形態の関係を結んでいきますが、相手を好きになれば関係が親密になり、相手を嫌いになれば関係が疎遠になっていきます。
人間関係の中で、相手の注意や好意を惹き付ける魅力のことを『対人魅力』と言います。

人間の“好き・嫌い”“好意・嫌悪”に大きな影響を与える対人魅力には、以下の4つの要因を考える事が出来ます。



  1. 環境的要因……住居・学校・職場が近いなど、実際に出会う機会の頻度が高かったり、言葉を交わす会話の場面が多かったりすると相手への好意が生まれやすくなり対人魅力が高まる。
  2. 外貌的要因……美しくて整った容姿とスタイル、愛嬌のある可愛らしい表情、恰好よくて端整な容姿とスタイルなど優れた外見は、相手の肯定的な注意関心を引き付けやすく対人魅力が高まる。
  3. 生理的要因……強い不安感を感じて落ち着かない時や恐怖を感じて誰かを頼りにしたい時、見知らぬ場所や困難な状況で孤独感を感じている時などには、誰かと一緒にいて不安を緩和したいという心理状態になり、一緒にいてくれる人の対人魅力が高まる。気分の悪い時よりも、気分の良い時のほうが、相手に対する好意が高まる傾向がある。
  4. 性格的要因……趣味や価値観が共通していたり、自分に対する行動や発言が共感的で支持的である場合などには、相手の性格に対する好意が起きやすくなり対人魅力が高まる。




環境的要因による対人魅力の増大とは、簡単に言えば、近くて頻繁に出会い、話す機会がある人に対しては、(余ほど自分に対して不快感や抵抗感を抱かせる相手でない限りは)好意的な態度や親近感が形成されやすいという事です。
この環境的要因による対人魅力の高まりが、予測困難な遠距離恋愛の別離と深い悲しみに繋がることもありますが、それは社会心理学的に考えれば、R.J.モアランドとR.B.ザイアンヌが実験的に証明した『単純接触仮説』によって説明することが出来るでしょう。
その実験とは、女子学生グループに、一週間に一回、男子学生の写真を見せて、その男子学生に対する好意度の変化を調査するというものです。毎回、同じ人の写真を見せられたグループのほうが、毎回、色々な人の写真をバラバラに見せられたグループよりも、その男性に対する好意度が高くなるという結果が出ています。

遠距離恋愛における両者の最大の不安は、距離が離れていればいるほど、相手の実際の生活状況が分からないという事です。
恋愛関係の不安に限定して考えてみれば、職場や学校、私生活において自分以外の異性との接触がないだろうかという心配があり、新しい自分のいない環境で異性からの誘惑を受けて恋人の心変わりが起きないだろうかという不安もあります。
遠距離恋愛が始まって暫くの間は、精神的な愛情や信頼による強固な結びつきをお互いに感じていますから殆ど不安の高まりはないのですが、“実際に会う頻度の低下”が“連絡する頻度の低下”と結びついてくると相手への疑念や不信が高まってくる可能性があります。

遠距離恋愛で、物理的な距離が遠くなるという事は、繰り返し出会って話す機会が減るという事ですから、どちらかが、一緒に居て心地良い気持ちになるような異性と頻繁に出会う機会が増えてくると、その異性に自然と魅力を感じてしまう危険が生じてきます。
初めは『自分には大切な恋人がいるのだから、絶対に他の異性とは親しくならない』という決意があっても、日常的に繰り返し出会うという“単純接触の効果”によって好意的態度が十分に形成されてしまった段階で、相手のほうから告白や誘惑を受けたりすると、遠距離の恋人が嫌いになったわけでもないのに、近くて頻繁に顔を合わせるその異性のほうに惹かれてしまう事があります。

しかし、全ての人が、遠距離の異性よりも近距離の異性を選ぶというわけではなく、『遠距離の恋人を思う信念の強度と恋人の信頼を裏切ることへの抵抗感が十分にあり、他の異性への好意や興味が強まるような接触機会を意図的に回避するような人』の場合には、長期間にわたる遠距離恋愛もうまく継続していくことが出来ると考えられます。

他の異性への好意・興味が強まるような接触機会というのは、実に日常的な些細な行動のことで、具体的には、一緒に食事に行く、ドライブに行く、映画館や美術館に行く、二人だけで会話する時間を作るなどといったデートに似た形態の接触機会のことです。
人間の好意・興味が強まっていく過程には、必然的にそういった二人だけで時間を共有する接触機会の増加が見られますから、本当に遠距離の恋人と絶対に別れたくないという強固な意志がある場合には、他の異性との些細な接触機会をなるべく減らすように努力して、遠距離の恋人との連絡機会を増加させることが効果的だとは言えるでしょう。

しかし、人間の恋愛感情や恋愛関係は、理屈だけでは割り切れないものですから、近くにいる異性に少しでも魅力を感じだしてしまうと、その異性からの色々な誘惑的アプローチを断り続けるのは難しく、そのアプローチを受け容れた瞬間には、遠距離の相手よりも近距離の相手へ愛情や好意が移りかけている状態にあると言えます。


G.L.クロアーらの『強化―感情モデル』では、気分の良い状態や喜びや安らぎといった心地良い感情を感じている状態において、相手への好意・愛情・興味が強化されていきやすいと考えます。
初対面の対話の場合には、相手を異性として軽視するような軽はずみな告白や誘惑の発言、現実的状況や容姿からかけ離れた適当なお世辞などの『自らの軽薄さ・発言の無内容』を前面に出すと、相手の失笑を買ったり、気分を害したりして対人魅力を落とす傾向があります。

反対に、独りよがりな軽薄な態度を取らずに、相手の話すペースと趣味・興味に合わせながら、双方向的な会話を楽しむ感じで話を進めていくと、相手の気分を良くして、自分への好意的な態度を形成しやすくなります。
初対面の相手に自分への好意を抱かせたいと思う場合には、自分の話したい事や相手にして欲しい欲求だけを一方的に話すのではなく、相手の話す言葉をしっかりと受け止めてから、その内容を踏まえながら、自分の伝えたい内容を率直に示すようにすることが大切でしょう。


生理的要因による対人魅力の上昇は、危機的状況や困難な事態を前にした不安・恐怖の感情が高まっている状態で、他者と一緒にいたい、他者と触れ合っていたいという“親和欲求の高まり”という形で起こります。
しかし、不安や恐怖の程度が余りに高くなり過ぎて、不安や恐怖をどのような手段を用いても緩和できないような絶望的な状況になると、親和欲求が高まることがないという事も分かっています。
つまり、不安・恐怖の状況下において、他者と一緒にいたい、誰かに側にいて欲しいという親和欲求が高まるのは、誰かと一緒に居ることで不安や恐怖の感情を和らげて、精神を安定した状態に戻すことが出来るからです。

具体的には、不安・恐怖の状況下において、親和欲求を満たす事には、以下のような効果があります。


現実状況の忘却・逃避……現実におきている状況から少し離れて、他者と何気ないテーマを巡る雑談やお互いの苦境を語る励ましあいの会話をする事で、心配や緊張を和らげて、不安な心理状態を改善できる。実際に支えあったり、励ましあったりする会話をしなくても、誰かに話しかけることが出来るだけでも、孤独感による不安を軽減して、幾許かの安心感を得ることが出来る。

危機的状況の認知的明確化……現在、起こっている危機的状況について他者と率直に語り合う事で、
『今現在の客観的状況』の認知を明確化して適切な判断や行動に繋げる事ができる。

自己認識と自己評価……他人が、この危機的状況に対してどのような行動や発言をしているのかを観察して、今、自分は何をすべきなのかという行動指針を立てて、自己認識を新たにすることが出来る。他人の行動・態度・発言を参考にすることによって、自分が何ができるのか、何をすべきなのかといった適切な自己評価を行う事を可能にする。

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